ジェイソン・ライトマン監督 ソニー・ピクチャーズ
予告編も、とにかく何も情報を入れないで観に行きました。最近は予告編でさえ、壮大なネタバレをされる事が多く、予告編の作り方に、特に国内の場合は煽りの要素が入っている事が多く、非常に不快感がありますし、そもそも情報を閉ざす事が難しい社会になって久しいのに、もう少し配慮があって欲しいです。ですが、もう自衛するしかないところまで来ていますからね・・・今は情報を閉ざしている事の方が価値があるんです。
今作は特に、過去作の1作目を劇場で観た事がある人は是非見に行かれる事をオススメ致します、できるだけ情報を閉ざして、タオルは持って行きましょう!あと、代えのマスクも!終わりです!
今回は私にとっては珍しく、非常にエモーショナルになっています、それぐらい良かったんだとお思い下さい。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想です。是非みなさん劇場に観に行ってください!私が行けた平日の吉祥寺オデヲンですと、私含めて観客が4人しかいませんでした泣もっとたくさんの人がみるべき傑作です。
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まず、ジェイソン・ライトマン監督の話しをしたい。 今までジェイソン・ライトマン監督作品ってすごくウェルメイドな作品が多いと思いますし、非常にビターな、現実に即した映画が多いと思います。特に「マイレージ・マイライフ」(の感想は こちら )と「ヤング≒アダルト」の2作はめちゃくちゃ上手い脚本、そして完成度です。この2作だけで、ジェイソン・ライトマン監督作品であれば観に行かねば、というくらいに上手いし、好みです。
ですが、ゴーストバスターズ軸で考えると、お父さんであるアイヴァン・ライトマンがゴーストバスターズ2の監督なんですよね!しかも今作の製作にも名を連ねている。かなり考え抜かれた脚本になるのも納得です。
この親子の差、意識の違いは割合「大きさ」で区別できると思うのです。父であるアイヴァンが得意とするのは、割合「大きな」話(世界を救う!とか)であり、場所(NYとか)であり、当然予算がかかる。息子ジェイソンの得意なのは「小さな」話し(場所も)だからです。ですから、舞台がNYから移った田舎町オクラホマ州サマーヴィルになったのはとても良い判断だったと思います。
脚本の素晴らしさは、こういった時間が空いての続編を考えると奇跡のような丁寧さを感じます。それこそ駄作で終わったSWのⅦ、Ⅷ、Ⅸの惨めさ(特にⅧは馬鹿丸出し。Ⅸに至っては恥を知れ。と冷静に今となっては思う)を考えると、本当に素晴らしい完成度であり、確かにオヤジ接待な部分も無くはないのですが、それを非常に制限していて、ちゃんと今の、新たな、ゴーストバスターズ誕生秘話になっているのが本当に素晴らしい。
決着の付け方、その伏線としてのプロローグ(全然言葉を発していないのに!)も最高です。
また、今作の主役は間違いなくフィービー(マッケナ・グレイス)です。この孫設定が本当に上手い。親子の物語を1つ世代を変えただけなのに、子供でありながら頭脳明晰な祖父譲りで、丸メガネや髪の毛のくせっ毛感もイイですし、祖父の意思を継いでいるようで、実はフィービーの自らの意思で新たなゴーストバスターズになっている、という点が本当に尊い。この子の、つまり子供だからこその純粋さ、無垢さが、あざとくないギリギリの年齢設定で、家族の小さな話しにしつつ、ちゃんと結果的にイゴン・スペングラーの意思を継いでいるんですよ。本当にいい子。しかもちゃんとギャグ寒い、というネガティブポイントもある。そういうきめ細かさ、全部何でもできるわけじゃないところも最高です。
相棒になるポッドキャストの存在も見逃せません。この子もある意味はぐれ者です。そういう意味ではフィービーと同じ。だからこその結束、バディ感があってとても良かったですし、音に対する拘りがあの変な笛に繋がっててそこも良かったです。
それと、お兄ちゃんトレヴァーの人が Stranger Things(の感想は こちら )のマイク!びっくりしました。でも何気にあってる!それにローラースケートという80年代アイテムをわざわざ出して、そこの女の子に一目ぼれってホント80年代チック!そういう部分も悪くないです。何と言っても1作目のゴーストバスターズが84年の作品ですから。背伸びして年齢ごまかすのとか、こういうのこそがグーニーズってもんでしょう?と、私は思います。
ま、ちょっと気になると言えば、一目ぼれは仕方ないにしても、なんで彼女だったのか?はもう少しそのためのカットが合っても良かった気がしました。
あとサマースクールの先生!このキャラも結構イイです。ダメ男子大人版で、冴えない。でも、何処か好感が残ってる。この辺の匙加減はかなり難しかったと思いますが、キャスティングも素晴らしいです。しかも、この人が鍵の神になる展開、最高です。同時に母親が門の神になるわけでその辺も良かった。
イゴン・スペングラーには意思があって、世界の崩壊をずっと1人で止めていたという事実が明らかになってからのテンション高い展開、みんなが、新たな、ゴーストバスターズになる瞬間の高揚感は、ここ最近ではMCUのスパイダーマで味わったスパイダーボーイがスパイダーマンになる瞬間のような煌きがありました。正直、こういう王道な展開で、心が躍るような事はここ数年、いやもっと無かったかも。非常に自分でも驚くくらい、びっくりしました。
ガジェットもサイコーでして、まず、当時はあのチープでDIY精神しか感じなかったプロトンパック!それが、ちゃんと古臭くてカッコイイ感じになっていて、重みも感じさせる演出、サイコーでしたし、ECTOー1の座席外出し演出もサイコーでした。プロトンパックの射手、運転手、ゴーストトラップ、本当にそれぞれが頑張ってる感じが凄くイイですし、まるでスピルバーグの映画かよって感じのスリリングがたまりません。
だから、もう少しイゴンとみんなが連絡を取り合ってたら、とかいう妄想は、脇に置いて、旧メンバーの勢ぞろいには号泣しか無かったです。映画館で目から水が出るのって2013年の「風立ちぬ」(の感想は こちら )くらい前だったと思うけれど、自然と目から水が出てきた。
それにビル・マーレイがちゃんとピーター・ヴェンクマン博士になってて、そこも良かったし、割合冒頭にあのメガネの受付アニー・ポッツが出て来てくれて嬉しかった。
大団円のみんなの、全員が何らかの役目を負って、それぞれが自分の持ち場を守る展開、本当にアガりますね。最高の瞬間での大団円。
その後にファンムービーで、まるでMUCスパイダーマンのヴィランを救う話しみたいに、過去の出来事の落とし前を付ける為、だけに、シガニー・ウィーバーを連れてきて、ESP実験するの、サイコーだし、恐らく未発表テイクであろう、アニー・ポッツとハロルド・ライミスの会話シーン、マジで泣ける。その上で、ECTOー1にも花を持たせるのサイコーかよ。
その上エンディングまで1回もテーマをかけない演出も本当に抑制が効いてて、だからこその音楽だけでの目から水が出る演出にやられまくりでした。
亡くなっているハロルド・ライミスを、ここまで救う映画って本当に素晴らしいし、だから、娘である母親が、たかが壁の写真だけでほだされるの、凄く気になるんだけど、飲み込めるよ!全然飲み込める。こういうこの映画が大切過ぎて飲み込みずらい事を飲み込ませる映画って本当に素晴らしい。これが大きなバジェットの、いわゆる80年代アメリカハリウッド映画の素晴らしい所で、それをやってたのが父のアイヴァン・ライトマンのやっていた事で、それが現代ではめちゃくちゃ難しい事なのに、再現しているの、本当に素晴らしい事で、基本的に全肯定したい。まさに愛を感じる。
40年くらい前の、今しか出演は叶えられなかったのに、ここであくまで主人公はフィービーってところを譲らない。ココが本作の最もエライ部分。ここで、私は今までずっとジョン・ベルーシのゴーストバスターズを観たかったという気持ちが完全に霧散しました。やはりジョン・ベルーシじゃなく、ビル・マーレイの映画でした。ありがとうビル・マーレイ!!