吉屋 敬著 評論社
Youtubeのオトナの教養講座 をよく見ています。美術に関する知識やトリビアルな楽しみに満ちた動画で、大変面白いです。その中でゴッホについて紹介されていた本だったので手に取りました。
ゴッホについては生で絵画作品を観るまでは、正直そこまで好んでみる作品では無かったと思いますが、『糸杉と星の見える道』を観て、大変面白いと感じるようになりました。本当に星が瞬いているように見えましたし、絵が動いて見えるようなのです。こんな事って初めての経験でした。
その後、数冊ゴッホに関する書籍を読みましたが、山田五郎さんがこの本が良く分かる、という趣旨の発言をされていたので、手に取りました。
読んでみて感じたのは、作者である吉屋さんの強い意思です。かなり強い、と思います。ですので、客観性にはもう少し引いている方が好みですが、知らなかった新事実もあり、なるほど、と感じました。もう少し調べてみるには、やはり往復書簡を読まねばならないと思います。
絵画作品としてはゴッホが気になりますけれど、正直人物としては、近くに居たら非常に好ましいとは言えない人物ですし、私の興味の対象は、弟のテオに次第に移っていってます。凄く厳しい人生だと思います。
足跡を辿る事は出来ましたが、いろいろな謎についての吉屋さんの考察には納得できかねる部分も多いですし、非常にゴッホに寄り添った、というかゴッホになりきる部分があり、これで私が想像するのは小林秀雄なんですけれど、私には全然相容れない感覚でして、まぁ仕方ないかな、とも思いましたが、読み通す事は出来ましたし、楽しい時間でもありました。