https://www.youtube.com/watch?v=WunaLWbs37A
木村麦 アスミックエース
友人に強くオススメされたので観ましたが、確かにこれは面白い!です。そして、群像劇が私は好きなので、そういう意味でもハマりましたし、非常にレイヤーがいくつもあって、そこが面白さをより深いものにしていると思います。
また凄く現代的なSNSについての言及も面白く、主人公の性格の良さ(くらもちふさこの著「天然コケッコー」の第1話・・・)がまた非常に好感を持ちましたし、タクシーの中でラジオが流れていて、ラジオが好きな方にもオススメ出来ます。
現代日本のような社会でありますが、登場人物はすべて動物の姿。タクシー運転手である小戸川(おどかわ セイウチの姿)は不眠症に悩んでいるのですが・・・というのが冒頭です。
41歳のタクシー運転手を主人公にする、というだけで、非常にニッチな世界を感じますし、動物の姿をしている世界観なのに、地名や記名は妙になじみがあるのも不思議です。ですが、最終的にはかなり伏線を張り巡らされていて、その回収は大変心地よく、さらにすべてを文字、セリフで説明しないその心意気、受け手を信じない限りに出来ない作り手の志の高さを感じます。
これは恐らくヒポクラテスの時代からずっと言われ続けているのですが「最近の若い人は・・・」という感覚になってしまうのですが、何でもかんでもセリフで説明、片手間に観ている人にも配慮という橋田寿賀子メソッドには閉口します。幼い、未成熟な人に向けられた作品であれば仕方ないのでしょうけれど、作り手(それはどんな文化的なモノであっても)が最下層にだけ意識を砕いているのは、いかがなものか?文化的なモノが衰退してしまうのではないか?と危惧します。けれど、それって、ずっとずっとず~~っと前から、当たり前のように人類が感じている事だという事も理解はしています。
名作(はちょっと言い過ぎかもしれませんけれど)群像劇の有名映画、ポール・トーマス・アンダーソン監督「マグノリア」を思い描いていただけたら、近い作品であると共に、あまり情報を入れずに楽しめると思います。
群像劇が好きな方に、オススメ致します。
注 オッドタクシー はTVドラマ13話とそれを再編してドラマの直後を付け加えた映画版「オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」があり、出来ればTVドラマを鑑賞後に、映画版を観ていただくのが望ましいと思います。実はさらにオーディオドラマがあるようです。とても込み入った話しにもなっています。
アテンション・プリーズ!
ココからネタバレアリの感想です、未見の方はご注意下さいませ。
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この作品は映像でなされている、叙述トリック作品だと思います。
非常に難しいチャレンジだと思います。例えば「ファイトクラブ」と「シックスセンス」は個人的には叙述トリックな作品と私個人は考えますけれど、映像化は大変難しい。そもそも文章だからこそ成立するジャンルです。
最も有名な作品はアガサ・クリスティーの「アクロイド殺し」でしょうけれど。
ただヒントは結構溢れていたと思います。それもアニメーション作品なので、そこが親和性はあると思えます、擬人化された動物が喋っても、アニメーションであれば違和感が無いですし、きっと他にもいろいろあるのかも知れません。
叙述トリックは、叙述トリックだ!、と理解されたらそこでネタバレになってしまうので、当然、小戸川の視点ではなくとも、擬人化動物は避けられないので、この表現はアニメーションであれば不自然ではないので親和性が高いですし、ここはアリだと思ってます。厳密にやるのは無理があるんだけれど、アニメーション表現であれば、より説得力が増していると思います。ココが1番のオオネタだと思いますし、この着眼点は素晴らしかった。
それぞれのキャラクターの意図と、タイミングを合わせるのがなかなかに難しいのですが、これとても精緻に組み上げられていますので、上手いと感じました。
まず散りばめられた謎、そしてその解決、ですね。
1小戸川の過去
はメインの謎なんで、最終話でネタバレでOK。高次脳機能障害。
2三矢ユキ殺害の犯人
これもメインの謎でしたが、2代目三矢ユキ(ワダガキ)で確定。
3ditch-11の正体
これは推察でしか無いのですが、ゲームアプリの顔がドブさんなんでドブさんで決まりじゃないかと。消しゴムを持ってて(恐らく他に存在しない)+悪事なんで、ほぼ決定。
4田中の銃の球数
これは、大門弟が田中と接触、その上で1発銃弾を渡している、と解釈できます(大門弟は始末書を書いている事が判明している)。それ以外にこの作品内で拳銃の弾を調達出来る人間がいないので確定(叙述トリックの場合は見えている書かれているモノの中にすべてのヒントがあるのが普通で、ココを逸脱すると何でもありになってしまうので)でいいんではないかな。
5三矢とワダガキの関係性
似ている、という事は、もしかすると、父親が同じ、という可能性も捨てられない。捨てられないのではありますが、これは深読みなんではないか?というのが個人的意見です。何故なら、ドブさんの親分はマレーバク、そして三矢ユキの親はマンドリルのドンラク師匠。マレーバクとドンラク師匠が友人であるので、もし、ワダガキとドンラク師匠に繋がりがあるのであればもう少し繋がりが示唆されていたはず。また映画版でワダガキが捕まった後の描写でドンラクと繋がりに言及が無い、驚きの表現も無いのが判明していないので、ワダガキの父親がドンラク師匠説はかなり薄いと思います。
6白川の突然の登場 と アルパカ発言
ココが解せない。マネージャー山本の小戸川襲撃時にあまりに都合よく白川が登場するのは、ちょっと謎。唯一の解決策は、ドブさんが小戸川の所在を追跡しておきたくてタクシーに発信機、その受信なりGPS情報を白川も手に入れていた。なんだけど、そこまで譲っても、襲撃は予想できない。ココが1番謎で解せない。もうひとつは小戸川の「この辺にアルパカはあんたしかいない」発言への応対。含みを持たせる、のも分かるけれどアルパカは唐突過ぎるし診察中の剛力=ゴリラ発言の場であれば不自然ではないが・・・
7スマートフォンでSNS世代で41歳はWe Are The Worldネタを笑えるか?
これも別に後から知った、でもいいけど、設定(wiki情報)だと1980年生まれの41歳だから2021年設定。でもWe Are The Worldは1985年、5歳時で体験で、とも思いましたが・・・しかし全編に渡ってギャグセンス、その切れ味は大変良かったです。カポエイラ周りのギャグ、その間、テンポが非常に良かった。これはもしかするとプレスコで製作されている事の良い点の1つなのではないかと思います。凄く自然。
あと、音楽のセンスもよくて、カバサワくんの歌ってる曲はモーモールルギャバンで、知ってる人は知っている、とても、ヘンテコリンなバンドです。それに、スカートにPUNPEEとMETEOR、これはコアなファンならタマラナイ世界だと思います。私は全然詳しくない世界ですけれど、流石に名前は知ってる。でもチョイスにとてもセンスを感じます。
というような感じで、大変いろいろ思索を広げる事が出来て楽しい時間を過ごせました。