Cody Clarke 監督 KILL THE LION FILMS Amazon prime video
普段からサメが出てくると言うだけで映画を観るという事は無いのですが(サメ映画弱者です)、それなりに噂になっているのを聞いたのと、とある方の短いレヴューをみて、観てみようと思いました。
NY近郊に住んでいると思われる、20代前半くらいの女性が、私はサメの食事になりたい(自死では無い)と願いつつビーチに佇んでいて・・・というのが冒頭です。
人によっては、面白くないとか、つまらないという感想になる方もいらっしゃると思いますし、伝わってくる事象だけで判断しようとすると、低い評価になると思いますが、すごくいろいろ考えさせられる映画でした。つまり凄く余白の大きい映画だと思います。
余白は大きいのですが、膨大な情報量です。このギャップは非常に新しいと思います。
基本、音楽はエンドロールでかかるのみ。それ以外の環境音さえなく、基本ビーチの風景+主人公の女性のモノローグだけで出来上がっています。出来上がっていますが、これが非常に膨大なモノローグでして、画面の字幕含む映像としての情報量が大変に多いです。
映画を作るのってすごく、お金も時間も手間暇もかかるので、特に何も考えないで作る人は皆無だと思います。それなりに趣味趣向を凝らしている、何かしらの計算、魅せたいモノがあると思います。
そういう意味で考えさせられる映画。
どうとでも解釈出来そうで、それでいて大変に計算されているかのような印象を受けました。結構集中力を必要とする映画だと思います。
何が起こっていたのか?を汲み取りに、受動的に映画を体験するだけでなく、能動的に映画を楽しめる人に、オススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ネタバレあるの感想になりますので、未見の方はご注意を!
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まだ通して1回のみの視聴なんで(とは言えラスト4章は翌日にもう1度鑑賞しました)細かな部分は分からないところも多いのですが。
まず、主人公と思われる女性の容姿、そして記号的にさえ感じさせるアクセサリーや水着含む服装が独特です。NYでは平均的なのかも知れませんけど。しかし当然これも監督の意図があると思います、絶対に似合ってない、と多くの人が感じるであろう(とは言え日本人の感覚なのかも)水着の色といい形といい着こなしといい(よく知らないなですが、ビキニのサイズが合ってないのでは?)個性的!でも、この個性的!という事を印象付けたい、というのであれば、確かに個性的。なにしろサメの食事になる事を夢見ているわけですから。
また、モノローグがほぼ全編続きます。それも割合ネガティブな内容です。ですが、字ずらではネガティブなんでしょうけれど、私はとてもポジティブに、目的的に一途なだけで、確かに死に直結しているけれども、それがこの人物の願いであり、また他者に語り掛けている訳では無い(もちろん映画なんで観客には、語り掛けている)ので、そこまでネガティブな印象を持ちませんでした。
サメの食事になりたい、なかなかなキラーワードです。恐らくなんですけれど、これギャグなんじゃないでしょうか?ブラックではあるけれど・・・
何しろ、俺様サイコーな意識の持ち主であり、謙遜を美徳とするうちの国の美意識からはかけ離れてはいますけれど、でも、他人が心の中で何を考えていようとも、そこは自由で構わないんじゃないかな、と思った次第。だってホラー映画や猟奇映画はいっぱいあるわけで、そういう作品を好む人だってたくさんいますし、こんな作品があってもいいんじゃないか、と思います。
そういう全部ひっくるめて、新しい。その点は評価したい。
最後の方にはいかにもサメ映画で襲われそうな外見の(それがどういう外見を指しているのか?はワカラナイけれど、本人が自白している)女性が、同じ願望をもって映画に出てくるなんて、ご都合主義なのは分かっていても、ここでも被害者がいそうで、実は願望が叶えられているわけです、元の女性の願望は、実はサメの食事になるのではなく、自身がサメだった、という風に変貌はしているのだけれど。
途中から主人公女性の俳優が変わっているのも、変身したって事なんじゃないか?それを俳優を変える事で暗喩しているんじゃないか?とかいろいろ考察できそうです。
なりたかった自分になった。
ラストの曲もサイコーでした。
つまらない評価の人がいてもいいし、個人的にはそこまでダメな映画じゃなく、新しいな、と思った次第。
あと、何気なく見ていた2回目のエンドロールでえ?ってなって、とある方の名前を見つけ、もしや、と思って確認したらご本人だった、というオチが付きました。 見つけた私も凄いけど、お金出してる知り合いの方が凄い。