井の頭歯科

「地下水道」を見ました

2022年9月24日 (土) 08:50
アンジェイ・ワイダ監督     KADR     Amazon prime video
いつか観なくちゃと思ってから四半世紀が過ぎ、50の大台も超え、もういつ何時『死』が訪れてもオカシクナイので、やり残しを潰していこうと思います、それでも時間は足りないんでしょうけれど。
ポーランドの国民的映像作家、という事くらいしか知らないです。あと、観る前にワルシャワ蜂起について、少しだけ調べましたけれど、本当に暗澹たる気持ちになります・・・でも、今のウクライナでも、同じくらい恐ろしい事が起こっています。
1944年のワルシャワ。ポーランド軍が市民兵で蜂起、しかし絶望的な状況下にあり・・・というのが冒頭です。
閉所恐怖症の人には耐えられない映像表現ではないか?と思いますし、ワルシャワ蜂起の話しはもう少し詳しく調べてみたいです・・・物凄く悲惨で、悲しい事件ですね・・・
映像表現として、今観てもフレッシュな感覚、モノクロだからこその陰影の差、それこそカラヴァッジョさながらのキアロスクーロのような絵画を観ているような感覚がありました。
また、私が精神的にネガティヴ思考が平常運転なために、このラストがなかなかに染み入ります。現実世界も不条理な世界ですけれど、だからって映画の中だけでもハッピーエンドが良いかと言われても、そんなことは無いんじゃないか?と思ってしまいます、だって現実に生きているから、映画を観に行けるわけで。リアリティある(映画内リアリティで構いません、時々CGじゃなく実際に、という方がいらっしゃいますけれど、では飛行機墜落とか火事とか宇宙とかをすべて本物でなければならないわけではありませんよね?本物を写す事が不可能な事は様々にあって、表現する手段はたくさんあっていいと思うけれど・・・)映画を観ているからこそ、現実を忘れる事が出来るんじゃないでしょうか?それが娯楽作品、ひいてはエクスタシーと言うモノだと思います。自分を忘れ去る事が出来る(たとえ一瞬でも)なんて、なかなか無い事だと思います。
ポーランドに興味のある方に、モノクロ映画が好きな方にオススメ致します。
現実のポーランド、つまりウクライナの周囲の国、いや、地球の上で影響が出ていない国は無い、と言い切っても良いかと思います。しかし、地理的に近い事もあり、影響は大きいと思います。恐ろしいのは、ロシアのウクライナとの戦争に、いや、その報道に、慣れつつある、という事実です。この映画の中でも、戦争状態やレジスタンス状態に、あまりになれてしまった人間の、人間性が剥奪される瞬間が描かれていて、恐ろしいです。
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