ブレイディみかこ著 筑摩書房
患者さんからいただいたので読みました!
ブレイディみかこさん、初めて読むのですが、ラジオ番組にゲスト出演された時に聞いたことがある方です。イギリス在住の保育士でライターの方ですね。有名なのは「僕はイエローでホワイトでちょっとブルー」という書籍なんですけれど、こちらは未読です。
ブレグジット、EUからイギリスが離脱を決定した、という時期から2020年くらいまでのイギリスに住む著者の周囲の人々、とくに50代を越えた、著者と年齢的に近い、主に男性の、つまりおっさんの生態の観察エッセイです。
日本に住むとは言え、同じおっさん(というかもう初老を通り過ぎた気がします・・・)である私にも身につまされる話しが、とても多かったです。特にお酒関連の話題は、非常に胸が痛くなります・・・
ただ、50代を、子供の頃はとてつもないオジサンと考えてきましたけれど、実際に50代になってもなお、人間として残念ながら高校生くらいから成長がほとんどない、というのが悲しい事実です。人によっては成長される人もいらっしゃるとは思いますが、知識は増やせても、教養に結びつかない、という部分で、本当に悲しくなります・・・
この書籍に登場する、実際のところの人物は、妙に偏った知識や考え方に見えるようでいても、実際の所はそうでもなく、信条というよりは、生活のサイクルに伴って癖として見についた思考、とでも言えるようなモノであり、それこそ誰しもが当然のように影響を受けているのであって、それはイングランドでも日本でもジンバブエでも変わらない気がします、イギリスもジンバブエも行った事が無いですけれど・・・
それと、イギリスにおけるNHS(National Health Service)がどのように機能しているのか?を知る事が出来たのは良かったです。本当に日本って恵まれていますし、そして世界で1番(医療的な意味で)成功した社会主義国だと思います。社会主義が何を指すのか?によっていろいろに考えられるかも知れませんけれど、医療的な、公平性のある機会の平等性と言えるのではないか?と思います。もちろん完全な平等なんてないですし、公平も無いのですが、比較的、世界の状況を考えて、と言う意味です。NHKが中立な立場を考慮しているのと同じで、NHKが中立な存在だとか、NHKが中立を決定出来ている、という事でも無くて、中立性を求めている、という事です。言葉って本当に難ししく、定義の大切さをいつも感じます。
登場人物の中でも、特にショーンに、近い未来と、行く末を考えさせられて、暗澹たる気持ちになりますけれど、でも、自分がそういう人間なんで仕方ないかな、とも思います。
ついでに、数人だけ、私の周囲の様子を、ワイルドサイドを歩いているおっさんたちの日本の状況を報告しつつ(ただし本人たちの許可を取ってないのでもちろん仮名)あくまで私の周囲の愛すべきおじさんたちへのエールを送りたいです。
40代中盤のAくん、酒場で知り合った友人であるが、なかなかな拘りの強い人なのに、人懐っこく、イイ仲の女でもいないのか、と30代までは心配したものだが、それも過去の話しになり、今は親族のトラブルに・・・いろいろ大変だけれど、行動的。案外保守的。
50代中盤のBさん、いきつけの店が同じで知り合いましたが、博学で息子もいるのに、どうやって時間を捻出しているのか、様々な文化的な事に身を費やしつつ、最近新たな彼女の噂が・・・持ってる人間は違う。
50代前半のCさん、長い友人だが、子供はいない夫婦。でも、帰宅難民(自ら望んでの)。大変そうだけど、まぁ中年を過ぎても己の欲望を飼い慣らせる人間は稀有なんだから案外普通なのか?健康面が心配。
40代中盤のDくん、おしゃれ、というのでは無く自分のスタイルを持っている、目指そうとしているおっさん。割合最近結婚してもいい友人。なのは奥さんが出来た人だからだと思う。細かな趣味趣向が似ていて怖い。ホームシアターがうらやましい。
日本のおっさんたちも頑張ってる!