井の頭歯科

「ビリーバーズ」を観ました

2022年11月1日 (火) 09:25
https://www.youtube.com/watch?v=DxvIeN-zyOE
https://www.youtube.com/watch?v=DxvIeN-zyOE
城定秀夫監督     クロックワークス     U-NEXT
原作漫画、週刊漫画誌で読んでました。凄く、いわゆる新興宗教が流行していた頃、1999年です。恐らく俯瞰して見れば日本における1970年代以降の新興宗教を新新興宗教と呼んでいると思いますが、当時は新興宗教と呼ばれていたし、それが1995年にカルトと認定されるようになった事件後の連載でしたので、とても良く覚えています。そんな原作漫画を、映画化!しかも今2022年に!という事で気になっていたのですが・・・・
監督さんが城定秀夫さんで、凄く相性が悪いです・・・
別に映画はスノッブじゃなくてはいけないとか、重くて暗い映画が好きだとかではない(あ、でも重くて暗いのは結構好きかも)のですが、軽すぎるノリについて行けないです。なんか、凄く、この程度でもいいのでは?という投げやりな感覚を感じるのです・・・あと見た事がある作品が肌に合わなかったのかも知れませんし・・・それとエロティシズムに拘りのある監督、という事になっているようですが、私からすると、そのテーマでさえ、軽々しく扱っているように見受けられるのです。でもそういうのは人それぞれですし、今日から11月、なのに今年もあんまり今年公開映画を観れてないし、という事で、せっかくU-NEXTさんが早々と配信してくれたので、見てみました。
夏。とある無人島に3人が生活していますが、奇妙なシャツを同じように着こなしています。オペレーターと呼ばれる若い男、副議長と呼ばれる若い女、そして議長と呼ばれるおじさんの3名は、ある目的でこの無人島で生活しているのですが・・・というのが冒頭です。
漫画にかなり忠実だと言われていますが、結構昔の話しなので詳細を覚えて居なんせんでした・・・観れば思い出すかな、とも思ったのですが・・・そして完全に宗教を扱った映画でした。
宗教って結構怖いものですし、幼い人類の発達期には必要な事もあったと思います。それを否定はできないし、残念だけれど、数学や化学が発達した何割かのきっかけにはなっていると思います。でも、結局のところ、みんなの為、と言いつつ、みんなの為じゃなく、少数の選民の為のモノでしかないと思います。この映画を観て宗教の恐ろしさを味わえる人はモンティ・パイソンの「Life Of Brian」を観た方が良いと思います。もっと笑いに特化した映画ですし。
でも、日本的な、非常に日本的な、沼を描いた作品のようにも見えます。
エロティシズム、という事で言えば、別にそこまでかな?とも思いましたが、何をエロティシズムと捉えるのか?は人によって違うのですが、裸になる、という事がそのままエロティシズムという事にはならないような気がします。関係性の方がよほど、とは思いますが、それとは別に役者さんの話しがしたいです。脚本は多分、原作漫画に準拠していますし、悪くないと思います、でも、ちょっと、長い。とは感じました。多分90分に出来る。
オペレーターの磯村勇斗さん、かなり絞った身体されてて、眼差しも悪くないですし、イイですね。見た事無い人だなぁ、と思ったら、何作かで観ていました・・・やはり私の目はHUSIANAです・・・顔もカッコイイです。でも漫画版から考えると顔がかっこよすぎる気がします。もっと普通の顔の人に演じて欲しかったような・・・ただ磯村さんの演技は良かった。
副議長の北村優衣さんは完全に初めて観る役者さんでしたが、想像と比べ声の低さに驚きました。なんかもっと声が高いような、勝手な私の先入観がありました。ナンデダロ?ワカラナイけれど。でも演技は良かったと思います。自然な感じを受けましたし、とても良かったと思います。かなり心情の軌跡は難しいキャラクターだと思いますが、いそう!と思わせるのが凄い。
議長の宇野祥平さんは、最も難しいキャラクターですし、声の大きい人ですから、オーバーアクションにならないようにもう少し加減というか、暗い怖さも出して欲しかったですけれど、1番気になったのは、活舌です。でも、そういう演技なのかも。その方が、何と言いますか、凄く裏のある人な感じになりますし。
自分の行いは正しい、と思い込んでいる人間は何処までも残酷になれる。というのはある種の真実に近いと思いますし、だからこそ気をつけなければいけないし、判断を他人に任せる事の恐ろしさに気付けると思うのですが、手放そうとする人はいますよね・・・自分は神のような全知全能では無いのだから、何処かに死角が無いだろうか?と半信半疑、自分への不安定な信頼が続く事に耐えられるのが大人のような気がします。
エロティシズムを扱うのは、なかなか難しいですし、役者さんやその他さまざまに細心の注意を払うべきですから撮影現場も非常に困難を伴うと思いますが、今作は嫌いでは無かったです。原作が好きな事もあるかと思いますが。でも、もう少し短く出来たんじゃないかな・・・
それと、原作の山本直樹さんのコミック「レッド」講談社コミックは、同じ意味でオススメ出来ます。イデオロギーでもカルトは生まれるんだな、と。
それと、宗教で言えば私は無神論を信仰しています。神が人間を作ったのではなく、弱い人間が神という存在を作って縋ったのだと考えています。その方が納得できるので。
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