井の頭歯科

「街の灯」を観ました

2023年2月28日 (火) 08:53

 

 

チャールズ・チャップリン監督   ユナイテッド・アーティスツ   吉祥寺アップリンク

フォーエバー・チャップリン映画祭を吉祥寺アップリンクで行っていたので、すっごく何年ぶりか自分でも分からないぶりにCityLightを観ました。

しかもリマスターでめちゃくちゃ綺麗!!!

よく考えると、私に嫌いな(すみません、私は好き嫌いが多い人間で、しかも自分の事は神棚よりも高く掲げる傾向がありますので、読まないでいいですよ)傾向である『監督が主演する』という項目に当てはまるのに、チャップリンだけは例外的に観た事ある作品みんな好きです。

物凄く身体を使った芸風ですし、基本ドタバタのコメディです。ええ、ベタです。でも、こんなに長く映画の中で愛されている人って他に思い当たらないです。

そして最後にちょっとだけホロッとさせる。

そうすると、みんな観て良かった、という気分にさせて家路につかせる事が出来る事を、映画という文化のかなり初期に、既にやってる。

 

私が観た回は観客層はかなり雑多で。老若男女様々でしたが、笑いも、鼻をすする音も、みんなで体感する事が出来ました。これこそ、劇場でしか味わえない体験です。ちなみに満席でしたよ。

 

今作では、目の見えない女性を巡っての騒動なんですけれど、いつも同じ放浪紳士としてのチャップリンなんですけれど、私はお金持ちとこの少女を結ばせるんじゃなかったっけ?なんて勘違いしてしまいました。たいしてたくさん映画を観ているわけでもないのに・・・そろそろ老化現象が始まった!という自覚も出てきました、先日は海外の女性の方に、電車で席を譲られるという事件(私にとっては事件なんですけど)があり、今後は高齢者を自覚して生きて行こうと思います・・・

チャップリン映画祭、なかなか足を運べる時間ではないけれど、もう少し見てみようと思います、流石に版権も切れてるでしょうし。

「完本 1976年のアントニオ猪木」を読みました

2023年2月24日 (金) 09:23
柳澤 健著   文春文庫
私はプロレス弱者です、今までどちらかというと、冷ややかな目でプロレスと言うモノを観てきました。いや、正確に言うなら見てすらいないです。例外的に、小学生から中学生くらいの時にタイガーマスクが出てきたときに、何回かテレビで見た、程度で、その後は本当に数試合テレビでパンクラスを観た事があるというプロレス弱者です。そしてプロレスへの愛がないので、どうしてもよく分からない感想になりますし、そういう文章を読みたくない人には読まないで欲しいと思います。すみません。ですが、いろいろ考えた事をつらつらと。
まず、一番良く分からなかったのが、なんでみんなそんなにプロレスが好きなのか?という事です。ここが1番良く分からなかった。ファンタジーやスペクタクルは他のジャンルでも十二分に味わえる、でも、プロレスにしかないロマンみたいなものがどうしても理解出来なかったです。でも、とにかく、好きな人は凄く好きで、そうでもない人には全然伝わらない熱量みたいなモノがあり、人によって違うんでしょうけれど、外から見て、この書籍を読んだ後に感じたのは、熱狂です。とにかく熱狂してい、言葉は悪いけれど、自我を失うくらいに熱狂している。
では何故そこまで熱狂しているのか?が分からないけれど、とにかく、熱が違い過ぎると感じました。
著者である柳澤さんは「プロレスとはリアルファイトではなく、観客が求めているファンタジーを見せる演劇的なショー」と言っています。かなりプロレスを観ている人たちの中でもどの程度なのか?分かりませんが、異質なのではないでしょうか?この本の中には様々な立場の格闘家やプロレスラーが出てきますけれど、ショーならば、わざわざ最高の格闘技はプロレスである、なんて言わなければ良いと思いますが、その辺も事情を込みで好きなんだと思います。かなり幼い頃に、好きなのか?違うのか?がはっきりするジャンルのような気がします。後天的にプロレスが好きになった人の話しを聞いてみたい。サンプルとして少ない気がしますけれど、どうなんでしょうね。
あくまでショーなのに、格闘技として最強、とか凄く話しを盛っている感じがしますし、それも込みで今でいう『炎上商法』のようなやり方だと思います。それでも生身のライブで行われているショー、つまり舞台芸術なのだとすると、まぁなんとなく理解出来るとば口には立てた気がします。実際のプロレスを観るよりも、私はこのような検証性の高いルポルタージュの方が飲み込みやすかったかも知れません。
なんというか、みんなで虚構を信じよう、その信じている人達の結束が非常に強い感じがします。なんだか信仰の話しみたいです。
さらに、プロレスの中でも(私にとっての)代名詞のようなアントニオ猪木さんについては、なんか張り手をする人、とか、参議院議員だった、くらいしか記憶が無いのですけれど、この人が、プロレスよりも私には分からない人でした。凄く執着の強い人に見えました。多分、ご本人の話しが無いと、確執と言われている馬場さんとの関係については、何とも言えない気がしました。
著者の言う通り、モハメッド・アリ選手とプロレスをした方が、明らかに得が大きかったと思いますし、その際も巻末のインタビューでも言葉を濁していますけれど、感情による、それも自らがフェイクというか演出をこれまでもしていて、しかもその上に大変誇大妄想的に見える『プロレスが最強の格闘技』という自らが提唱しているファンタジーを、急に尊重し始める辺りが、凄く飲み込みにくかったですし、だからこその人気なんだというのも理解はしますけれど個人的な好みでは無かったです。凄く子供じみているようにも、見える。その辺の説得力が、直に肌で感じられている人には響くし、心酔している(という表現になってしまうのですが)人にはカッコよく映る、という事なのかな?とも思いました。
この点も著者が何度も言及しているのですけれど、ルールが違う競技は普通、試合にならないわけです、フットボールとラグビーでは試合にならないわけですし、全くその通りなんですけれど、そう書いている著者も、それでもプロレスに対する思い入れが強い。この辺が清濁併せ持つ、とか半信半疑、というよりも、心情として肩入れする側が存在している感覚を覚えました。プロレス好きで知られるプチ鹿島さんはどう読んだんでしょうね。
にしても取材力とか文章の読ませる力はとても高いので、かなりぐいぐいと読ませます。結局どうなるのだろう?という先が気になるフックが強い。
なんにしても、凄く感覚が問われる読書体験でした。感覚と言う意味で私には合わなかったというだけで、ルポルタージュとしてとても面白く読めましたし、木村正彦が出てくるのも面白かったです。

もし、最強の格闘家が存在するとしたら、それは、相手のルール、競技で戦って勝利し続けられる人だと思います。だって、オリンピックだって、競技の中に階級やら男女別やらたくさんありますよね?そもそも格闘する人たちが違うルールで戦っているので、その中の1位(と言っても団体とかいろいろあるんでしょうし)が最高位でいいんじゃないかと思いますけれど。

多分プロレスというスポーツ(いやスポーツじゃないかも、競技でもなく、ショーでもないし、そういう事を明確にしない事にしているのかも)が好きな人は心の何処かで、なんとなく、負い目を感じているんだと思います、フェイクなんじゃないか?とか周囲の人に疑いの目や、揶揄を受けたからこそ、最強の競技である事を証明したいんじゃないでしょうか?柔道の選手は柔道の世界選手権の優勝やオリンピックの優勝を目指すでしょうし、プロボクサーはチャンピオンを目指していると思いますけれど、プロレスは最初から世界最高の競技である事の証明を、他のスポーツや競技と比べようとしている気がします。そんな事しなくても面白ければいいんじゃないか?とは思いますし、多分、猪木さんがファンタジーとして、最強を謳った手前、そのストーリィから逃れられなくなったんじゃないかな?とも思いますけれど。
それでも、個人的に数少ない私の友人の中にも、たくさんの方々がプロレス好きを公言されていますし、個人の感覚としては、男性の7割くらいの人がプロレスが好きな人な感じがします。そう言う意味では私は少数派です。もうある意味マジョリティなんですから、あまり世界最強を謳わなくてもいいような気がしますけれど。
でもそんな私の感想なんてどうでもよいくらい、私の世代は圧倒的にプロレスに好意的ですし、猪木さんの訃報を聞いてショックを受けている人が多かった気がします。

今回手に取ったのは、師匠のオススメだからです、押忍!まだまだ精進が足りない気がします・・・

異種格闘技について興味のある方、日本のプロレスの歴史が気になる方にオススメ致します。

「イニシェリン島の精霊」を観ました

2023年2月21日 (火) 08:50

 

 

マーティン・マクドナー監督    SEACHLIGHT PICTURES   吉祥寺オデヲン

 

久しぶりに劇場で20世紀フォックスのファンファーレを聞きました。これだけで何故か気分が上がります。

マーティン・マクドナー監督作品は「スリー・ビルボード」(の感想は こちら http://www.inokashira-dental.jp/blog/?p=3068  )しか観れていませんけれど、凄く記憶に残る映画だったのですし、大変面白かったので、観に来ました。最近は基本的には予告編すら観ないで鑑賞作品を選ぶようにしています。その方が期待し過ぎる、というのが少なく、結局より多くの映画を楽しめると思います。

基準は出演者と、脚本そして、監督が最も大切なんじゃないか?と思い始めてきました。私にはこのやり方が合ってるのではないか?と。でも、映画館で映画を観る、とどうしても予告編を観る事になりますし、私は結構上映前の、予告好きなんです。これから始まる本編を早く見たいけれど、その前に映画会社の宣伝なのは重々承知の上で、この先も映画は続いていくんだな、という希望を感じられるので。

1923年、アイルランドの西の外れにあるイニシェリン島は自然の非常に厳しい世界で、不思議な石の積み上げられた道があります、ちょうど胸の高さくらいの石積みです。そこに住むパトリック(コリン・ファレル)はいつものように飲み仲間のコルム(ブレンダン・グリーソン)をパブに誘いに彼の家を訪れるのですが・・・というのが冒頭です。

なんか、凄くいろいろ解釈の分かれそうな映画です。私は映画の感想を文字にしてみないと考えがまとまらないタイプの頭の悪い人間なのですが、個人的には好きな映画です。何しろ、説明があまりないので、どう感じたか?が重要ですし、それは人それぞれなので、私の場合を文章にする事で、他の人の感想が伺いやすくなります。批判も含めて。でも、みんな感想なんて違って良いですし、なんなら誤読も誤解も、その人のモノ。後で考えが変わったりもすると思いますし、転向する事も、もちろんありますし、絶対に考えが変わらない、と思う人の方が、絶対的な価値が定まってしまっているからこそ、他者に乱暴になれるので恐ろしいと思います。それに人間(の中でも特に頭が悪いという自覚がある上に、性格にも問題があり、嗜好もちょっと、という私)という生き物はしょっちゅう間違います。その間違いを認められる方がまだいいような気がします。

閑話休題

凄く、ストレートに、あらすじだけを追えば、単純な話しです。そして言葉では説明されない部分を、どう捉えるか?で評価ががらっと変わる作品。

でも、風景がとにかく凄いし、脚本も見事でした、納得です。まぁ、もう少し、アレは控えめにして欲しかったですけれど。

パトリックをどう解釈するか?どう捉えるか?でかなり評価が分かれると思います、田舎怖い映画でもあります。

コーエン兄弟映画が好きな方にオススメ致します。

 

 

アテンション・プリーズ!

 

ココからネタバレありの感想になりますので、未見の方はご注意くださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大変豊かな映画、と感じました。 まず、風景が、そして時代設定と場所が凄く重要だと思います。 偏見もかなりある世界です、現代から見ると。そして非常に閉鎖的な世界というか地域。そう田舎です、辺境と言ってもイイ。 その世界で、外部とも繋がってはいるし、身近に戦争もあるけれど、それなりの平和が保たれている。そんな中でのたった2人の男性同士の友情とその崩壊を、関係性を描いています。

 

 

ただ、コリン・ファレル扮するパトリックをどう捉えるのか?普通のナイスガイと、周囲の人は言うけれど、どう考えても私には、バリー・コーガン扮するドミニクに、凄く近い人間なんだと思います。まだ、適応障害とか、障害の概念も違った、それこそ社会の中の包摂されていた(もちろん詳しくはないですけれど)時代なんだと思います。

 

 

だから指さして、病名を問われたりしない、みんなが優しく、包んでいる世界なんだと思います、ドミニクはそれ(閉鎖されたカトリックの支配するムラ社会の掟)を逸脱したんだと思う。パトリックは逸脱はしていない、そして妹という保護者がいる。その妹にしろ、自身の夢を捨て、良い人、となるべく感情を遮断し保護者という立場を演じている振る舞いをしています。家だって妹のモノなのです、兄パトリックの家ですらない。

 

 

描かれていないパトリックとコルムの友情と言ってもいい関係は、コルムの優しさ、良い人として振る舞うべき規範(もちろん宗教的、そしてアイルランドはカトリック的)と分別を持って接していたのではないか?と思うのです。

 

 

だからこそ、コルムは自傷まで起こしても、関係を断ち切りたかった、その友情という欺瞞の罪に対しての自己犠牲を持ったのではないか?と想像しました。

 

 

そしてコルムの今後の人生の去り際までも考えて、そして関係を断つ事で、あわよくば、妹を世界に送り出す事が出来る波紋を、この閉鎖された空間に、立てたのではないのか?と思うのです。

 

 

そうでないと、自傷行為まで行えないと思います、もちろん偏屈な人間でもあるコルムが何処までを予想していたか?は微妙ですし、指が無い、という自分を生きてみたかったのかも知れません。退屈な人間しかいない、知らない人間のいない、この閉鎖空間には、静寂さという得難い部分もありますし。

 

 

田舎、なかなか恐ろし処です。田舎には田舎の人にしか知り得ない闇もあるし、それは形は違えど都会にも闇はあるけれど、逃れられなさ、と言う意味では田舎の方が闇が深いと言えなくもないと思います。

 

 

その田舎で逸脱したドミニクこそ、もしかしたら生き物として無垢なる存在だったのかも。もし、事故ではなく自死だったら、という想像もしてしまう。しかし、バリー・コーガンの演技の質の高さ、驚愕です。年齢的に考えても凄い事をしています。もう、そういう人にしか見えません・・・恐ろしい俳優です。

 

 

暗喩された2つの死が何を指しているのか?ドミニクとロバでもいいし、私はドミニクと『良い』パトリックが死んだのではないか?と今は想像します。逸脱してしまったパトリックがこの後、この閉鎖された空間で、どのように生きていくことになるのか?大変恐ろしい後味。

 

 

とは言え、カサブランカみたいに、あの後コルムとパトリックに友情がもう1度、それもある種の対等さを持って生まれたかもしれない、とも思います。

 

 

 

 

観た方とどう受け取ったか?を話したくなる作品。

「しにたい気持ちが消えるまで」を読みました

2023年2月17日 (金) 09:12
豆塚エリ著   三栄書房
手に取ったきっかけはラジオ番組でしたが、そもそも私がネガティブな思考が平常運転なので。それと、恐らくどんな人にでも当然のごとくある瞬間だとも思えます。ただ単に、タイミング的に合致しなかったから生きているのではないか?とさえ考えてしまいます。簡単には出来ないですから。
著者はその地点の先、一度は踏み越えた方です。リアルに、踏み越えた。
そんな方の気持ちの変化を追ったエッセイです。
まず、凄く、読ませます。非常にリーダビリティが高い。どんな人にでも、ある程度読ませる、続きが気になる、とさせるのはかあり凄いと思います。
そして、非常に扱いに注意が必要な事柄を扱っているのですが、言葉は誠実でおためごかしではなく、それでいて重みがあり、著者の感覚を共感させるに十分だと思います。特に、若い女性ならでは、より響くのではないか?と思います。
平易な言葉だけを使って、深度のある言葉として聞かせると言う意味で非常に難しい事をしていると思います。かなり推敲された文章なんだと思います。あるいは詩人、という所にこの文章の刺さる感じの素があるのかも知れません。
コミュニティの中で自立して生きていく事、なかなか難しい事なんですけれど、車いす生活で行えている部分に対しても、素晴らしさを感じます。
引用になってしまうけれど「迷惑をかける事で迷惑をかけられている人に出来る事を与えている」という趣旨の文章は、前にも何処かで見た事はありましたが、実感が伴って感じられる文章と言う意味で豆塚さんは凄い。
身体が厳しい時、心に余裕のない時に陥った人間の自然な心の動きに興味のある方にオススメ致します。

「非常宣言」を観ました

2023年2月14日 (火) 08:53

 

 

ハン・ジェリム監督   KLOCKWORX  吉祥寺アップリンク

航空パニック映画です、密室の中の出来事ですし、かなり特殊な状況と言えると思います。

出演陣もとても豪華ですし、斬新な映像が凄くたくさんありました!

飛行機における「非常宣言」の字幕説明があって、ソン・ガンホ演じる刑事はいつも休暇が取れずに朝起きると娘が出かける所で、妻は料理を残して既に家に居ません。イ・ビョンホン扮する父親は娘を連れて空港で飛行機搭乗の手続きをしていますが・・・というのが冒頭です。

物凄く豪華で、これ、多分日本映画には今は完全に出来なくなったスケールです。韓国映画の勢いというかバジェットの大きさ、完全に溝をあけられてしまっていますが、ただ、映画ってバジェットが大きければ良いと言うモノではありません。ありませんが、多分今の日本映画には真似できない予算規模でして、いいなぁ~と思いました。日本映画にももっと出資が集まって欲しいですしポテンシャルはあると思いますが、世界で勝負できる映画ではない、もしかすると目指してもいないのかも。

とにかく、豪華な出演陣、豪華な絵作り、豪華な予算で撮られた航空パニック映画の新たな作品です。

序盤、様々な人々がそれこそ説明っぽくなりかねないのに、交通整理が上手くなされていて、説明っぽさ全然無くて、本当に上手いです。様々な人物、犯人役、飛行機に搭乗する人物たち、主人公親子、夫婦、地上で対応する人々、かつてないバイオテロの状況などの説明パートが凄く手際よく描かれていて、ココは本当に素晴らしい。

当然、ソン・ガンホさんの演技はもう納得するしかない序盤ですし、いざ事が起こってからの鬼気迫る当事者感には、大変説得力があります。途中のカーチェイスシーンでは、どうやって撮っているのか?分からないくらいですし、絶対スタントマンがいないと成立しかねないのに、ここは私の個人的カーシーンのベスト作品であるスパイク・ジョーンズ監督「アダプテーション」のカーシーンに勝るとも劣らない出来栄えですし、凄かったです。

恐らくの主人公親子のイ・ビョンホンさん、私はたくさんは見ていませんけれど、確かに上手いし、説得力ありました。違和感なく、結構難しい役どころを演じていて、イイです。あと、子役の子もとても上手い。

また、運輸大臣役でチョン・ドヨンさん、久しぶりに観ましたが、イ・チャンドン監督作品「シークレット・サンシャイン」の主演女優さんでしたね、この人の説得力も良かったですし、この人主役目線で、もっとシリアスにした脚本で、もっとソリッドな脚本演出だったら、良かったのに!とも思いました。

でもその上、個人的な驚きで韓国俳優陣の層の厚さを感じたのが犯人役のイム・シワンさんです。もっとこの人の動機の部分にも焦点を当てて欲しかった。ただ、確かに世界は理不尽で意味不明に、悲劇が起こる事があります。

本当に斬新な映像もたくさんあって、良い所もすっごく多いのに・・・

とにかく、途中まで凄く良かった。布石も伏線も全然悪くないし、心地よい驚きに満ちた素晴らしい作品です。でも気になるところも結構ある作品。

ネタバレは避けると欠点については何も言えないのですが、最初に思い出したのは「宇宙戦艦ヤマト」です、もうこれに尽きる。

でも新しい映画が好きな方、驚きたい人にオススメの映画です。

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