キム・ブランストラップ監督 アップリンク 吉祥寺アップリンク
確かに伝説と遺産。
しかし伝説部分については口伝と、振付作品を、結構狭い舞台、しかもイギリスで最初に踊った舞台というのは理解出来るけれど、なんでオケをステージに上げちゃったのかな??
とは言え、全てのダンサーが、ある種尊敬の念を抱いているのも十二分に伝わってきます。今観ても、振付が超絶に難しく技巧的な感覚なのに、それをノーブルに踊れる、易々と踊っている、ように見せる事の難しさを、感じました。
フットボールでも何でも構いませんが、必ず、競技は進歩します。例えが古くて申し訳ないけれど、そしてバレエはスポーツではない事は百も承知の上で、それでも、進歩しています。だから、90年代には絶対真似できなかったプレーやテクニックを現代の選手は行えるし、身体能力は間違いなく向上しています。それだけ科学的なトレーニングを取り入れていると思います。多分フットボールの90年代の試合を今観ると、とてもテンポが遅く感じるでしょう。それはスポーツだから、当然なのかも。
でもバレエの世界でも同じように、確実にテクニックは向上しているし、恐らく、科学的なトレーニングも取り入れられていると思いますし、プロポーションと言う意味では確実に現代のダンサーの方が美しく見られる事への配慮や手間がかかっている。
にも拘らず、スターが、この人にしか出来ない 何か がかつてのエトワール、超一流のダンサーはたくさんいた気がします。それも非常に個性的で、多種多様に。
テクニカルと言う意味では、現代のダンサーの方が上手いのに、印象に残るダンサーは少ない気がします。
2部構成のこの映画は、1部がヌレエフの振付作品のバリエーションやパ・ド・ドゥを、2部ではヌレエフ財団のスカラシップを受けたダンサーがヌレエフ作品ではないバリエーションを踊ります。
1部のパ・ド・シスは初めて観れました、面白かった。でもどのダンサーも普通に見える。もちろん生ではないので分からない事も多いのだけれど。総じて1部に出てくるダンサーの方が上手い。
でも、個人的なヌレエフの振付で今の所の1番は、ルグリのスーパー・バレエ・レッスン の模範指導を踊った、エルヴェ・モローと若き日のドロテ・ジルベール(←もちろん偏見に満ちていますが・・・)のロミジュリのバルコニーのシーンです。
マクミラン版の有名なフェリのバージョンと、何でここまで?というくらい技巧的で大変な振付にしているのか?とも思いますが、好きです。