クリストバル・レオン ホアキン・コシーニャ監督 DISTRIBUEE PAR ZAZIE FILMS
根暗で真摯にホラー作品を作るアリ・アスター監督が絶賛した、という情報だけで、観に行く事にしました。予告も観てなかったのですが、超絶の大傑作です。間違いなく、観る前に戻れない作品。
まず、何も知らないで映画を観た方が良いので、基本的にオススメです!終わりなんですけれど、
1 ストップモーションアニメーションである
2 クエイ兄弟作品、もしくはヤン・シュヴァンクマイケル作品が好きな方に特におすすめ
3 チリの軍事独裁政権ピノチェト支配下でのコロニア・ディグニダにインスパイアされた作品
である事は知っていても問題ないと思います。
私も、コロニア・ディグニダについて、ほぼ何も知らなかったのですが、これからもう少し調べようと思います。
あるドイツ人コミュニティで暮らすマリアは、動物が好きな事から、ブタを逃がしてしまい、コミュニティからの逃走をして、森の中の1軒屋に逃げ込むのですが、そこにはブタが2匹いて・・・というのが冒頭です。
褒めていますが、狂ってます。もう最高です。ここまでやる人は本当に人類初なんじゃないでしょうか?ちょっと凄すぎます。
基本的に何も言えないとも言えるし、観ないとワカラナイ、かなり新しい形の芸術で、映画の形を採っているだけ、とも言えます。
これはDVD欲しい。
あ、ちなみに、私は公開3日目の平日の朝一に行きましたが、撃混みですので、要注意を。しばらく続くんじゃないかな。
アテンションプリーズ!
ココからネタバレありの感想です、未見の方はご注意ください。
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ネタバレありの感想ですけれど、まずある種、自国の難しい問題が起こった過去に着想を得て、その具現化を目指すという考えが、ほとんどの人には発想し得ないと感じました。 しかも、徹底ぶりが恐ろしい・・・
音楽はノイズであり、ノイズは音楽だ、とパンフレットにも書いてあるのですが、こういうポイントを掴んでそれ以外はかなり自由に製作し、しかも製作している事そのものが、アートになっているのが凄すぎる。
で、出来上がっていく作品が、度を越して初体験の連続。確かに、ヤン・シュヴァンクマイケルっぽさ、ブラザークエイっぽさ、あるのだけれど、それだけじゃないし、なにより実物大の大きさで行いつつ、ドローイングもして、しかも、それを国を越えて美術館で行いながら撮影って本当に常軌を逸している。 アリ・アスター監督が好むのも、よく分かる。
これが長編デビュー作だというから、もう何回驚かされているのか分からなくなります・・・
映像の恐ろしさ、そのぶっ飛び加減、なんというか、脈絡は無いけど、うっすら何となく、繋がりが伏線がありそうにも感じる、というギリギリを攻める事で、観客の思考を止めさせず、しかも驚きの体験が続きます・・・まさに悪夢を見ているとしか思えない。
しかも音がまた、絶妙に気持ち悪く、製作時の音も入っている気がしますし、全くの別音源を当てているようにも見えますし、これもここでしか聞いたことが無いような不気味さがある。 それでいて、驚かせよう、という下品な音使いは皆無。個々も潔さが凄い。
また、初回の段階で、コロニア・ディグニダの事を全く知らなかったので、なんでドイツ語が混じってくるんだ?という他言語での(イタリア語もあった気がするし、それだけでなくスペイン語も)恐怖、意味の通らなさの不気味さも相まって、大変恐ろしく見れました。
悪夢的であり、且つ即興性も担保して、それでいて背後にはコロニア・ディグニダのファウンド・フッテージ映像だという宣伝も加わって、もう何が何やら?というクラクラ感は初回でないと味わえないので、これは何も調べないで行って良かった。
これから、もう少し調べてみたい。 悪夢が美しく見える、というのを今作ほど実現した映像は私には無い。 ちなみに、マリ~アの恐ろしさ、マジスゴイですよ、音声担当の人も相当にヤバい人にように聞こえました・・・