スティーブン・スピルバーグ監督 ユニバーサル・ピクチャーズ U-NEXT
コテンラジオで聞いたオスカー・シンドラーの話しに興味が湧いたので、重い腰をあげて、観る事が出来ました。コテンラジオさんに感謝です。
どうしても、個人的な体験を思い出してしまうホロコーストの話しです。もちろん私はユダヤ人ではないし、ホロコーストが事実である証明は出来ないけれど、どう考えても、無かった、とは思えないのですが、とある飲み屋で、全然知らない若いカップルと話しをしていた時に、カップルの男が私に投げかけた「ホロコーストって無かったみたいですね」という問いかけに曖昧な答えをしてしまった事を後悔しています・・・歴史的な出来事ですし、否定派がどんな意図でなかった事にしたいのか?分かりませんけれど、様々な事象を鑑みても無かったとは言えないと思います。
そう相手に言うべきだった、けれど、お互いに酒が入った状況だったし、どういった方が良かったのか?今でも悩みます。
オスカー・シンドラーという人物がどのような人物であったのか?ホモ・サピエンスの善性(と言ったのはコテンラジオの深井さん)とはどういったモノであるのか?を考察するのに非常に興味深い人物であると思います。犯罪者の美術作品をどう評価するのか?という事に似ていると思いますし、吉野朔実著「ピリオド」でも言及されていましたが、殺人を犯す人は殺人の事ばかり考えている訳じゃない、明日の食事の事を考えたりして、生きているわけです。
ナチの党員であり、金儲け主義で、女にだらしがなく、そしてユダヤ人を救ったという事に、興味があったので。
1939年9月、ポーランドを占拠したナチスドイツが首都クラクフでユダヤ人を迫害していくのですが・・・というのが冒頭です。
全然知らなかったので驚愕したのですが、オスカー・シンドラーをリーアム・クワイ・ガン・ジン・リーソンが演じています・・・なんか圧倒的な存在感!!
そして、そのシンドラーの理解者とも違うし、同志とも違うのだけれど、利害関係がゆるい一致を見せるイザーク・シュターンがいる事の物語上の意味が良く分かりましたし、現実はもう少し違ったのでしょうけれど、とても良い関係だと思いました。
オスカー・シンドラーという人の心の移ろい、映画の中のキャラクターとして、史実と違ったとしても、ですけれど、よく分かる理解出来るキャラクターになっていたと思います。
同時に、アーモン・ゲートという人物についても、凄く考えさせられました。人はなんで残虐な行為を行えるのか?それこそホモ・サピエンスの悪性についても考えが及びます。そのアーモン・ゲートでさえ、オスカー・シンドラーの人柄にある意味惚れている感覚があります。
モノクロで良かったと思いますし、様々な建物についても、よくこんな事が出来るな、と感心します・・・
多分としか言えないのですが、無条件降伏の報告があった後の工場でのスピーチは、史実では無かったと思われるけれど、とても良かった。
逆に、車の前での独白は、ちょっとやり過ぎな感じもしましたが、本当にどういう人なのか?余計に分からなくなります、コテンラジオのその後のオスカー・シンドラーについてを聞くと・・・でも、それが、ホモ・サピエンスなのかな、とも思うのです。その時の気分で変わる生き物。
それにしても、久しぶりにスピルバーグの映画を観ましたけれど、本当に上手いというか手慣れている。そして、手堅くて、見事な映画化だと感じました。