アンソニー・ルッソ ジョー・ルッソ監督 Netflix
なんかダラダラとお酒を飲みながら、そう言えば今年はまだライアン・ゴズリング作品を観てなかったな、確かNetflixに新しいのが未見だったな、で見始めましたが、よく考えると2023年の今年はバービーに出てましたね。
最初にNetflixに来た時は、なんだ、アクション映画か、となって、未見だったのですが、お酒が入ると細かな事を考えられなくなるし、ちょうどいいかな、何て感じで見始めましたが、大変失礼しました・・・
面白い!凄く面白いよ!これ2022年に観てたら、間違いなく年間ベスト10に入ってました。
アンソニー・ルッソ ジョー・ルッソ監督、すみませんでした・・・
2003年フロリダ。刑務所の面会室と思われる部屋に受刑者のコートランド・ジェントリー(ライアン・ゴズリング)と面会するCIAのフィッツロイ(ビリー・ボブ・ソートン)がある提案を持ち掛け・・・というのが冒頭です。
スパイ、というかCIAという組織の汚れ仕事をするエージェントになるわけですけれど、とにかく展開が早くて、見やすく、画面が豪華で、キャストも最高です。
確かにアクション映画だと思います。でも、ここまで作り込まれているのであれば、これは非常に精緻に組み上げられた映画で、アクションだけでない、キャラクターの心情まで理解出来る映画に仕上がっている上に、いちいちセリフで説明しないのが最高に心地よいです。音楽も最高です。こういう全てに気を使った作品、もちろん非常にお金がかかると思いますけれど、そのお金をかけただけの大作にふさわしい、素晴らしい作品だと思います。
何しろライアン・ゴズリングですから、もう本当に安心して観ていられます。なにをやっても様になる、現代のハリウッドスターだと思います。
ここに、アナ・デ・アルマスが美しさだけでない、正しさの持ち主として現れたり、ここもイイです、ただの美しさだけで終わらないの最高です。
これに対して悪役としてのクリス・エヴァンスの、そのサイコパスさがまた素晴らしい。誰でもこの男に鉄槌を喰らわせて欲しい、と思わせるキャラクターであり、体現するの、流石。
で、この監督は初めてだと思ったのですが、なんと観てました、全然知らないでラスト2作だけ観たMCU、ま、アベンジャーズの映画ですね。でも私は全然知らなかったけれど、知らずに観たらどうなるのか?を試したかったので。
で、この監督はかなり上手い監督なのではないか?と思いました。脚本もかなり良かった。
ただ、気になる部分が全くない訳では無いのですが、その辺はネタバレになるので、割愛します。
で、出来たら続編みたいですね。
アクション映画が好きな方に、オススメします。
ちょっとだけ、ネタバレありの感想なので、未見の方はご注意を!
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凄く上手いんですけれど、ちょっとシエラ・シックス、ライアン・ゴズリングが強すぎる。凄くカッコイイんですけれど、ちょっと強すぎます。
それと、何でもできちゃうので、少し興醒めする人も居ると思います。ただ、観ている時は、頑張れシエラ・シックス!としかならないですけれど。
あと、水攻撃、これはジャン・ピエール=ジュネ&マイク・キャロ監督の「デリカテッセン」の、あの水の部屋へのオマージュだと思います、素晴らしい!あのシーン大好きです。
ま、クロアチアの城の見取り図はどうしたんだよ、とか、最初に娘(気がつかなかったけど、この人、あの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のあの子役の女の子!!!こわ、成長してるし、可愛い!ジュリア・バターズ、名前を覚えておこう!)の警護している時に、監視カメラの映像が切られたら、警護なんだからもう少しなんとかやり方があるような・・・もし複数いたらどうしていたんでしょうか・・・とか、いろいろ細かいところはあるんですけれど、本当に面白く観ました。
あ、あと、あのFBIの長官とかその手下の女とか罰を受けないのは、続編への期待という事なのでしょうか?
プチ鹿島 ダースレイダー 監督
2023年見逃し後追い作品 その5
2023年公開映画の35本目/今年87本目 36/100 を目指しています。
東京ポッド許可局員としては、ポレポレ東中野に観に行かねばならなかったのですが、まぁ、選挙については、当日に特番を観るのが最も面白いですし、という感じで行かなかったのですが、流石U-NEXTさん、もう入ってます。という事で観ました。
2021年の香川1区の選挙戦(それ以前に大島新監督の「なぜ君は総理大臣になれないのか」の舞台で、この後この選挙戦を描いた「香川1区」が公開される)から、現場に出て、プチ鹿島とダースレイダーが選挙を観に行く、というスタンスで追いかけるのですが・・・というのが冒頭です。
あくまでドキュメンタリーですし、選挙を茶化すのは、正直少し抵抗があるのですが、茶化す、というと語弊があるかも知れませんけれど、知る事の面白さはかなりあります。
香川1区の面白さは、既に大島新監督がやってしまっているので、それ以外でも面白い事がある事を目指していたのではないか?と思いました。
ただ、みなさんご存知の重大事件が起こり、当然選挙活動を観に行くという、有権者とも違う立ち位置にいるプチ鹿島さんもダースレイダーさんも、それなりに考えなければならないところにまで到達します。
それなりに面白く観れましたし、どちらかと言えばスタンス的にはダースさんの方が面白味は大きいと思いますが、プチ鹿島さんの様なヒトも必要ですよね。
でも、実際は自分の選挙区の、投票できる中で、出来るだけまともな候補者を、いなくても、この人はダメだという人を落とす為の投票であったとしても、投票して、選挙速報を見る、というのが1番面白いと個人的には思いました。
ただ、なんとなく、なんですけれど、四国新聞に乗り込む時なんですけれど、結局、プチ鹿島でさえ、自分が正義の側に立った時の居丈高な感じになってしまうのは、ちょっとどうかと思います・・・もちろん四国新聞の問題はデカいですよ・・・でも、そこは普通にしゃべって欲しかったです。
ま、その回答がまた、すんごく、四国新聞らしい、んですけれど・・・
全体的に、今(2023年11月28日)コテンラジオでもやり始めた民主主義の根幹である選挙を、面白がるでもいいから関心を持つ人を増やす、と言う意味では、特にうちの国では意味があると思いますし、有意義なんだけれど、投票率が高いかから、必ず良い結果が訪れる、という事ではなく、その方が全員の合意形成の基、行った結果である事を受け入れやすいからだと思うのです・・・
無論、選挙に行かない、という選択肢をしても、選挙結果には従わなければならないわけです。
でも、どんな政党でも個人でも、自分と全く同じではないんですよね・・・経済政策ではこの政党の主張は理解出来るけれど、内政面では全く合意できない、とか、いろいろですし・・・
選挙に行った事がある人も選挙に行ったことが無い人にもオススメです。
デヴィッド・フィンチャー監督 Netflix
デヴィッド・フィンチャーの作品の黒は本当に特徴がありますし、アバンタイトルというか最初の導入、製作会社とか役者のスタッフロールの部分、つまり掴みが異常に上手いですよね!今作もサイコーでした。
デヴィッド・フィンチャーも60歳を超えているわけで、これからも作品をどんどん作って欲しいです。
資材置き場のような一室で質素な椅子に座っている男が脳内モノローグで語り掛けてきます・・・というのが冒頭です。
まぁタイトルの通り、殺し屋の話しです。
世の中の職業に殺し屋がいるのか?私には分かりませんけれど、フィルムノワールの映画で殺し屋の話しで、デヴィッド・フィンチャーの映画なら、まあ好物です。
主人公はマイケル・ファスベンダーさんですが、この人年齢不詳過ぎますね。調べてみたら46歳!年下!!驚愕!せめて同じ年かと思ってました・・・が、そんなことはどうでも良くて、演技巧者で物静かなイメージですけれど、どんな役でもこなせるのでは?というくらい様々なタイプを演じていると思います。
本当にカッコイイです。
ただ、脚本として、確かにヒーロー、というか主人公が上がるためには、下がる場面が必要です。その場面が、なかなか難しい感じです・・・ここはもう少し映画として長くなったとしても、平時の場面を入れるべきだったのではないかなぁ・・・
しかし、そんな事は些末な事なのかも、観ている時は全然気にならなかったです、何しろ非常に展開の早い映画ですし、2時間にまとまってて、今の流行りの長すぎる(スコセッシ監督の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」は206分!ちょっと厳しいよ~それに前作「アイリッシュマン」イマヒトツだったし、配信なら・・・それに劇場ですぐに終わっちゃったの残念・・・)映画との差別化にもなってる。意味ある長さなら仕方ないけれど・・・
とにかく、画面の端々からデヴィット・フィンチャー印が感じられますし、観ていてとても心地よいです。
デヴィッド・フィンチャー作品が好きな方に、オススメします、劇場で観れば良かった。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想なので、未見の方はご注意くださいませ。
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ネタバレありとしては、まず、脚本についてです。
最初のミッションの失敗の原因は確かに予測不能なのかも知れないけれど、プロならもう少し待ったんじゃないかな・・・というかもう少し待てるのでは?という杜撰さを感じてしまって、ちょっと主人公への信頼度というか、プロの殺し屋としての洗練度、熟練度に違和感を覚えてしまうのが、少し気になりました。けど、デヴィッド・フィンチャーなら当然分かってやってると思いますし、総合的な判断なんだと思います。原作もあるみたいですし。
その他にも、なんで割合簡単に妻の事、襲撃者は諦めてしまったんですかね・・・この辺も少し理解出来ないし、どのような指令だったのか?理解に苦しみます。
だって、任務失敗したプロの殺し屋はそれなりに存在するんじゃないでしょうか?そのたびに、報復してたら、組織としても不安要素が残りますし、綺麗に、クリーンにするなら、ショッカーじゃないけれど、存在を消さないと・・・
さらに、敵というか元組織の繋がりも良く分かりません・・・
元締めに近い弁護士が消されたのであれば、普通もう少し警戒してもよさそうなものですし、1人目の大男は強かったし、最初だから不意打ちは出来ますけれど、2人目のティルダ・スウィントンはもう少し警戒するのが普通な気がします。でも、ティルダ・スウィントンは美しくて良かったしカッコ良かった。
ラストのボスの情けなさ、割合の普通感もリアルで良いのですが、これまでに、ただのタクシー運転手までも殺害して、弁護士に、その助手まで殺害してきた、自分で言う所の「誰の肩も持たない」「判断しない」「予定通りにやれ、即興は弱さ」とかに反して、ココでボスを許すのがちょっと解せないです。
ボスに意味がないのは理解出来たと思いますし、しかしだからと言って自分でも言っている様に「サイレンサー付きの銃を持って何しに来たと思う?」まで言ってますし、まぁ簡単に死んでほしくない怯えて暮らせ、という事なのかも知れないですけれど、今後の自分の身も妻の身にも危険が伴うと思うのですが・・・
それに、いやだからこそ、いつまでも普通でいられるはずがない事を自覚して「安心は負の連鎖」まで考えた上で、すべてを受け入れ、何時危機が訪れて命の危険を感じる事になろうとも、今の時間を受け入れつ事にしたのかな?とも思うのですが、まぁちょっとボスを許した経緯が理解出来なかったです。お家も引っ越したわけじゃなさそうですし・・・
それでも、デヴィッド・フィンチャーらしい黒の色、プロの仕事を見る心地よさ、堪能しました。
熊谷久虎監督 東寶映畫株式會社 DVD
1939年公開の映画です、つまり昭和14年です・・・多分、ですけれど、所謂日本の戦中映画を観るのは初めてだと思います。何しろ、監督とか製作とかじゃなく、最初に出てくるのは 後援・海軍省 です。
もう少し推察すると、恐らく、ですがプロパガンダ映画です。
で、そういう事を理解した上で観ても、かなり一面的な描き方なんです。ネタバレになるのであまり言えないのですが、本当に一面的。
ただ、一面的とはいえ、恐らく本当に当時の上海の、それも本物の戦場の跡地を、実際に映像で、観る事が出来ます。そして、後援・海軍省は伊達じゃなく、兵器については、まごう事無き本物に見えます。
映画として、技術とか演出とかもかなり斬新です。画角の凝り方はちょっと驚きました。演出もかなり良かったと言えます。
ただ、音声がかなり悪い状態で、それでも、国立映画アーカイブからの映像ですので、これ以上は望めないし、プロパガンダ映画ではありますが貴重な資料なので4K修復と課して欲しいですけれど、難しそうです。
プロパガンダ映画だと理解した上で、鑑賞するのは大変面白い体験でした。
主演は上海の租界(海外の地での、他国民の一定管理区域)を守る陸戦隊の奮闘を描いた作品です。かなりの激戦であったはずですし、映画の中の数字はちょっと聞き取りにくい上に、信用するわけにはいかないですけれど、まぁ少し調べれば分かりますけれど、かなり厳しい苦境に立たされた部隊の戦いを描いています。
主演の中隊長に大日方傳、初めて観る役者さんでしたが、抑えた上官の気迫、目の演技の凄み、部下からの信頼が篤い事が分かる配慮演出含めて良かったです。かなり豪快な方の様ですね。
とにかくロケーションが凄いです。一見の価値あり。そして当時の兵器のリアルさにも、一見の価値ありです。
あと、まさかの原節子!が出演しています。美人。ですけれど、かなり複雑な役。
これを素直に見た当時の人はどのような感想を持ったのか?知りたくなりました。
日中戦争に興味がある方に、オススメ致します。
山崎貴監督 東宝 吉祥寺オデヲン
2023年公開映画の35本目/今年84本目 36/100 を目指しています。
2023年公開映画を少しでも消化して置こうと思い、足を運びましたが、客層からして個人的には合わないのであろうな、というのが分かります。
基本的にヒットしている作品だから評価が高い、という事にはならないと思いますし、好みの問題もあると思います。
それにゴジラ映画作品で、正直に言えば、初代のゴジラ、シン・ゴジラ以外はまぁお子様向けコンテンツとなっていたと思います、観てない作品もたくさんありますけれど。
今回初代ゴジラよりも前にゴジラが現れる、という点が、新しいわけです。
山崎監督作品、私は観た事が無いです。と思ったら、スタンドバイミードラえもんは観てました・・・この作品からすると、お涙頂戴なウェットな作品なのかな?という印象です。
先の大戦末期、特攻の一員である敷島(神木隆之介)が大戸島に飛行機の故障を理由に着陸して・・・というのが冒頭です。
結論からすると、全然肌に合わなかったです・・・
この作品は、強いてあげれば、シン・ゴジラと対をなすように、意識して作られているようにも感じます。けれど、あまりに主人公敷島にすべてが収斂している、敷島にとって、都合が良い展開しか起こらない、というのが個人的に肌に合わないんだと思います。
物凄く強引にまとめると、シン・ゴジラは虚構対現実を描いた作品であるのに対して、1個人にすべてを集約させる為の飛躍、ご都合、お涙頂戴、が多すぎて、引きました・・・
それと、ノスタルジー、昭和の初期にノスタルジーを感じられるのって、今の世代で言うとかなりの高齢者(ちなみに、2023年に80歳の人でも先の大戦末期は2歳・・・)でないと難しいと思うのですが、でも、まぁ、浸れる人には心地よい、というか敷島に自分を重ねられる人は、心地よい作りになっていると思います。そう言う意味で古い作りの作品とも言える。主人公に感情移入出来る人には大変心地よく、そうでない場合は、非常に飲み込みにくい作品、というのは基本的に成熟した作品とは言えないのではないか?と思うのです。
出来れば個人的には、作品を観る前には戻れないくらいの衝撃があって欲しい。それはアートな作品、という事になるのかも知れませんけれど・・・
CGは綺麗ですし、ゴジラのギミックは面白かったです。それと異常にゴジラに近づけるのも、特徴です。
終戦じゃなく敗戦だと思うのですが、それを置いても、サンフランシスコ講和条約に署名している事を認識したくない人に、心地よいんだと思います。
敷島を演じた神木隆之介さんの演技は、大変頑張っているし、この方の年齢(現在30歳)であればオカシクナイ配役なんですけれど、凄く幼くも、見えます。でも、頑張ってる。
その敷島を立てる役(というか敷島以外は全員敷島を立てる役・・・ゴジラでさえ・・・)の佐々木龍之介さんや吉岡秀隆さんの演技が、敷島を立てる為だけに調整されているので、結構コミカルというか現実離れしているのですが、これも敷島を立てる為なので、監督の意向だと思いますし、この演技をOKしているのは監督なので、ヒロイックに敷島を見せる為、だけの映画になっているわけです。脇のキャラクターの存在感が薄いんです・・・
あ、それと、SW episodeⅨ を彷彿とするとあるシーンがあるのですが、現実にあんなことしたら大変だと思います・・・
そう言う意味で言うと、女子にハーレクインロマンスが必要なように、男子にハードボイルドが必要、というロジックで作り上げられているので、そういうのが心地よい人にはヒットすると思います。
個人的にはシン・ゴジラの方が面白いのは間違いない。特に人間パート。今作はとにかく言葉で全部説明してくれます、所謂橋田寿賀子メソッドです、そう朝ドラです。
ゴジラの造形ですが、凄く、キングコングみたい・・・筋肉質でなんかもりもりです。それに、ゴジラザウルスって呼びたくなる、ある種のオマージュって言うかパクリっていうか・・・
で、伊福部さんの音楽の強さと言いますか、いい所は伊福部さんが全部持ってった感じです。
ヒロイックな映画が好みの方で、お涙頂戴に違和感のない人に、オススメ致します。
あ、あと、ー1.0って事は、多分、ー100とかやろうと思えばやれるんでしょうね。
アテンション・プリーズ!
ネタバレありの感想です、未見の方はご注意下さい、本作が好きな方には、ただの難癖の可能性が高いです、そういう方もご遠慮くださいませ。
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ネタバレありとして、まぁ仕方ない現実なんですけれど、敗戦国である、という事実と向き合いたくない、受け入れがたい、出来れば愛する祖国が立派であって欲しい、とする人に向けて作られている作品である、と言えると思います。
先の大戦に負けた、それもかなりコテンパンに負けた、自国兵に特攻という命を犠牲にした上に負けた、というトラウマに対して、自国民が自らどういう事だったのか?というコンセンサスが無いからなのかも知れません。その上に、原子爆弾や一般市民を巻き込んだ空爆を受けた事で、自国民を戦争の被害者、というこれまた責任逃れの言い訳で納得してきたからかも知れません。
または、自国をあまりに尊重する為に、他国というか比較対象を貶める事でしか、心の安定を保てなくなったのかも知れません。
いい部分ももちろんあるけれど、戦争には負けているし、ダメな部分もたくさんあるけれど、それでもその責任の一端は自国民にあるし、その上でより良い社会や国家を運営していく、という考えが無いのだとすれば、難しいかも知れないです。
で、敷島が置かれた状況がちょうど、そんな感じで、非常に重いわけです。
特攻から逃げた→逃げた大戸島でゴジラに遭遇するも戦闘から逃げた→という心にトラウマを抱えている訳ですが、いくら何でも作為的過ぎる気がします、終わりを知っていると。
この後
機雷除去作業の仕事に就く→ゴジラと再遭遇→危機一髪で(いやちょっと凄いタイミング)大型船の砲撃に助けられる→自分は助かるが大型船は大破→ゴジラ東京上陸→銀座破壊→奥さんを救いに行くも自分だけ助かる→機雷除去作業の仲間が対ゴジラ対策の作戦立案者→自分も作戦に加入→大戸島の整備兵の人に許されパラシュート装備→敷島がゴジラを倒す→奥さん生きてる→エンド
ええっと、いくら何でも敷島に収斂し過ぎ。都合良過ぎ。伏線回収も、凄く下手・・・というか、あまり気にしていないんだと思います。それくらい、主人公に同調させようとしている。んだけれど、同調させるのも、あまり上手くないんです・・・
それと、多分今の流行りなんで、疑似家族の話しを入れた、と思われます。だって、じゃなんでこの人たちが疑似家族になったのか?の説明が弱い上に、別に伏線があるわけでもないんです・・・なので、個人的には多分流行りで入れたんだと思います・・・
・アメリカ軍が何もしてくれない理由は?
いくら何でもロシアを刺激するかも知れませんけれど、そのロシアにゴジラが向かわない保証もないし、なんならアメリカ本土やハワイの危険性を考慮しないのでしょうか・・・
・民間主体って・・・
GHQが統治しているんじゃなかったでしたっけ?(GHQの統治機関にはいろいろ考え方はあると思いますけれど一応昭和27年までは統治。映画内のゴジラ東京進出時は昭和22年・・・)進駐軍、じゃなく普通に占領軍ですよね?その占領された土地の被害を完全に民間に降ろすのは、ちょっとやり過ぎなんじゃ・・・とは思うのですが、これも民間じゃないと敷島が参加出来ないからなんですよね・・・
・なんでゴジラは東京を目指すのか?
少なくともシン・ゴジラにはそれなりの理由を感じさせる部分があった・・・ゴジラが何の象徴なのか?も分からなかったですね。
・大戸島の整備兵が敷島を許す理由は?
ココは非常に重要な部分なんですけれど、ハッキリした理由がないと思います・・・
・いくら船を引っ張る事があるにしても、その方法じゃ危険すぎないか?
船のへさきにそんなにたくさんのロープで引っ張る事ってありますかね?なんか私も協力した、みんなの努力の結晶、にしようとし過ぎ・・・ロープで固定するにしても、いくらなんでもやり過ぎでしょう?わだつみ作戦というネーミングセンスも、ちょっとどうかと思う・・・
・ゴジラが秘匿されている事に怒って、東京から逃がそうという話しがまるっとなくなるのはなんで?
敷島は、ゴジラが来る事を秘匿している事に、これだけ怒ってたのに、なんで何もしない上に、奥さん(じゃないんだけれど、もう奥さんでいいじゃん)銀座に行くの止めないんでしょうね・・・マジで、ゴジラの前で座りつくすちょうど良いタイミングで出てくるのも、なんだかなぁ・・・
それと、わざわざ銀座を壊してくれるんですけれど、なんか、もっといろいろ壊してもらいたいですよね、なんかたいした事ない感じなんですよ。もっといろいろ壊せるんじゃないか、と・・・少なくともシン・ゴジラの東京破壊は、それこそ、完膚なきまでに、完全に破壊される描写があって、被害甚大なんですけれど、本作は爆風で表現は原子爆弾の比喩ナノは理解するけれど、ちょっともう少し壊して欲しいですよね、GHQもかなりの被害あっただろうに・・・
基本女の人は昭和の理想でしかないので、かなり平面的なキャラクター造形になってます、けど、安藤サクラさんは傷跡残してる、流石。
つまり全体的に、酔える人にとっては、しか考えてなくて、その為に最終場面からご都合よく作り上げた、という雑さを感じるんですよね・・・志の低さ、と言ってもいいと思います。
確かにシン・ゴジラのカウンターで、庶民の話しにしたいんだろうと思うんだけれど、それにしちゃ、所謂政治的決定を下す人が、誰も出てこない、のに、国とか民の責任を負う、というのは法治国家で許されるのか?しかも破壊兵器を民間に託す政府って???となり、違和感がありまくりなんですよね・・・
ま、所詮、私のような一個人が気に入らなくとも、この程度の作り込みの映画がヒットする、というのが、今のうちの国の映画を観に行く人の状況なんで、ま、仕方ないですし、私も「2023年公開映画を1本でも多く観ておかないと」というさもしい気持ちで観に行ってるので、まぁ当たり屋に当たられたくらいの感じですよね。
確かに、このレベルじゃないと理解出来ない、という人も居ると思いますが、それでもまだ、シン・ゴジラには志を感じられました・・・
という感じで、主人公敷島は苦しんではいるのですが、大戸島の整備兵の無念は恐らく変わらないですし、ゴジラを討伐した後も続くと思われますが、仇を取った、で精神的安定も手に入れてそうですね、最後に奥さん(じゃないんだけれど)に「あなたの戦争は終わったの?」と綺麗に全部まとめて許してくれる美人の奥さんになる人がいて幸せですね~
それと、やっぱり1番気に障るのが、ラストのラスト。スタッフロールの最期、監督・脚本・VFX 山崎貴 で、スタッフロールが止まるんですけれど、私の今まで見てきた数少ない映画作品の中で、自分の名前でスタッフロールを止めた作品は基本個人的には合わなかったのですが、今作もその特徴にあってた・・・