パク・チャヌク監督 CJ ENM Amazonprime
2023年見逃し後追い作品 その1
今年もついに11月がやってきました、残り2か月を切ったし、年末までいろいろ忙しくなるので、早めに履修を始めようと思います。
現在、今年観た映画(及びドラマ作品も全部見たら1本とカウントしています)77本、うち2023年日本公開作品は30本ですので、月に3本新作を観るとして年間一応36本の新作を含む年間100本くらいが私の自由になる時間で出来る文化的な行為だと思っています、この辺が限界。
その為の今年78本目で新作映画の31本目として選びました。
射撃訓練場で2人の男が話し合っています。刑事として働いているのですが・・・というのが冒頭です。
かなり面白い作りの映画で、序盤からなんだコレ?と思ってしまい、グッと心掴まれました。
序盤の設定や人物の紹介が物凄くスマートで、主人公の刑事ヘジュンが既婚者ですが別居婚していて、さらに不眠症を抱えている事を僅か3分くらいで説明しています、凄い!
そして事件の発生です。
登山をしていた男が転落死、事件性があるのか?を捜査するのですが、そこに男の妻ソレに容疑があり、となっていきます。ここまでは、この映画を観た人からも、言われていたのですが、あの増村保造監督の「妻は告白する」にそっくりです。設定が、ですけれど。
で、ここからがこの映画の、映画としての、そして脚本としての進化だと思うんですけれど、ネタバレ無しの話しで言えば、個人的にはこれは「妻は告白する」よりも、ヒッチコック監督の「めまい」だと思います。凄く、サスペンスであり、ミステリアスであり、そして恋愛劇でもあります。そう言う意味でも「めまい」っぽいのです。
なので、ヒッチコック監督の「めまい」が好きな方なら断然のオススメ作品です。
パク・ヘイルさん、初めて観る役者さんだと思ったら、ポン・ジュノ監督作品で私が初めて観た韓国映画の「殺人の追憶」の容疑者役だった方でしたか!そうか、確かに!と思い出されました。
かなり細かな目の演技が素晴らしく、まばたきの回数さえ、コントロールしているように見えますし、凛々しい部分と、可愛らしい部分の二面性があり、凄くカッコイイです。
その相手訳を務めるのがタン・ウェイさんで、凄い美人。そして中国の方なので、言語の壁というか隔たりがあるという設定が非常に大きな効果を生んでいると思います。脚本、本当に素晴らしい。
恋愛劇ではあるんですけれど、なんというか、恋愛表現は出来うる限り抑えられていて、だからこその効果が、貯めに貯めたクライマックスの効果は、ちょっと見た事が無いレベルでした。まさに大人の恋愛模様。
しかも、この作品も恐らく2000年代初頭から続いている、何度もの視聴に耐えうる作り、1回ではすべてを掬い切れないように細心の注意を払って仕上がっているので、画像も新鮮さがあるのですが、何度も見返したくなる作品になっていると思います。
パク・チャヌク作品である事を忘れるくらい、スタンダードに綺麗で美しく、そしてもの悲しい作品、パク・チャヌク版の「めまい」堪能しました。
ヒッチコック監督の「めまい」が好きな方にオススメ致します。
ちょっとだけ、ネタバレを含んでしまいますが「あなたの未解決事件になりたい」ってスゴイパワーワードですよね、口に出して喋りたい単語。使う意味も用途も相手もいないけれど・・・