2023年12月31日 (日) 11:56
今年もお世話になりました。
今年は大晦日に休日応急診療の当番になり、なかなか大変です、17時までは対応致します。
今年は帯状疱疹になり、体力の限界を感じています・・・前期高齢者として、自覚をもって生きて行こうと思います。
ついに晩年に入ったという自覚あります。
今年は映画館で29本、U-NEXTで36本、Netflixで26本、Amazonprimeで4本、DVDで8本、Youtubeで4本、合計だと107本、うち2023年日本公開映画が46本でした。46/107だったわけです。
毎年新作映画を月に3本くらいみたいな、出来れば年間に100本映画が観れたら幸せだな、と思っていますので、36/100が達成できてよかったです。
今年も個人的な年間のベスト10映画を書いておこうと思います。もちろん、今の気分なので、明日になれば変わります。
10位 イニシェリン島の精霊 マーティン・マクドナー監督
凄く変な映画だと思うんです、話の筋として。でも、壮大な自然の中、ある種の田舎というか完全な孤立した村での人間関係を描いた作品。ちょっとどうかと思う男性同士の関係性、狂気を感じますし、同時に憐みも感じます。こういう時のコリン・ファレルの顔、説得力が凄すぎる。
9位 ザ・キラー デヴィッド・フィンチャー監督
スタイリッシュ!なんだけど、なんか変。プロフェッショナルって何?と考えさせられたのですが、これ振り返って今考えてみると、もしかして笑わせようとしていたのかも?とも考えてしまいます。だとしたら、スタイリッシュ過ぎてしまうと思うのですが。でも好きな映画です。
8位 TAR/ター トッド・フィールド監督
観終わった時にはキャンセルカルチャーという概念までちゃんと理解してなかったのですが、その後確かにキャンセルカルチャーの映画とも言えなくもないとは思うのですが、私は権力者の、それも女性であっても、同じような欠落がある話しなのかな?とも思ってます。
7位 いつかの君にもわかること ウンベルト・パゾリーニ監督
誰しも失われる事を理解した上での未来の話しで、とても小さな作品ですし、小さな話しなのですが、忘れがたい重みのある映画。
6位 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 古賀豪監督
アニメーション映画で出来る事をやりきる、脚本から手を抜かない、その上で積み上げられる事を全部やる、というまっとうな作品で、子供騙しにならない、大人が本気で子供の為を想って作られた傑作。
5位 アラビアンナイト三千年の願い ジョージ・ミラー監督
あの、ジョージ・ミラー監督が、今年も映画を公開してくれた、というだけでも凄いのに。そして非常に丁寧で、お伽話にしない所が素晴らしい。だからこそ、大人に響くお話しなんだと思います。
2位 aftersun/アフターサン シャーロット・ウェルズ監督
今年は同率2位が3作品あります。思い出す中で繋がる作品として、映画体験の体験として、間違いなく傑作で、2023年という年に最もふさわしい作品。しかもシャーロット監督はコレが長編デビュー作品・・・恐ろしすぎる・・・
2位 カード・カウンター ポール・シュレイダー監督
私はこの作品が名作「タクシードライバー」と似ているとは思えないです。似ている、と思えば似ているかも知れませんけれど、よっぽどスタイリッシュ。洗練されていると思いますし、オスカー・アイザックの個性が光る素晴らしい作品。きっとアフターサンはみんなが2023年の映画として記憶すると思うけれど、私はこの作品も同じくらい重要。
2位 普通の人々:彼らを駆り立てる狂気 マンフレッド・オルデンブルク監督
今年観た中で最も、多くの人が観ればいいのに、と思った作品です。ですが、そういう作品はきっと星の数ほどあると思います。たかだか年間100本しか観ていないのに、こういう作品に巡り合えたことが嬉しい。「福田村事件」は作られた事が素晴らしい作品ですけれど、この映画と同じベクトルを含む作品ですが、何もかもこの作品まで届いていないな、と思います。
1位 オオカミの家 クリスト―バル・レオン ホアキン・コシーニャ監督
2023年の映画の中で断トツに突き抜けた作品。観た事が無い、という衝撃度だけでなく、あまりに狂気を感じさせるのに、目が離せない、悪夢の現実化な作品。多分、精神的に支配された事がある人の思考の地獄の可視化。前衛アート作品なのに、キャッチ―。相反する何かが存在する稀有な作品。向かない人には向かないけど。
来年も元気で生きていられたら、映画を観て、現実を忘れたいです。起きているのにみられる夢が、私のとっての映画です。
2023年12月30日 (土) 10:05
古賀豪監督 東映 吉祥寺アップリンク
とても評判が良かったので、個人的にはかなり警戒して臨みました・・・なにしろ世間の評価と私の好みはかなりズレたところがあるのだと、ミッドナイトスワンとか市子とかゴジラマイナス1とか君たちはどういきるのかとかで懲りた1年でしたので・・・
まぁみんな観たいモノを観れば良い訳ですし、観ないと評価も出来ないですし。
で、この映画は当たりでした。人気が出るのも非常に良く理解出来ました。
先の大戦後の復興著しくもまだ傷跡の残る昭和31年。戦争で莫大な利益を得たとされる龍賀一族の当主が亡くなったので、取引のある血液銀行の一員水木が龍賀一族の住む哭倉村を訪れるのですが・・・というのが冒頭です。
大変面白い脚本だと思います、原作はもちろん水木先生なのですが、水木先生テイストの脚本を書いた吉野弘幸さんが本当に凄いです。どう考えてもこの脚本が無いと、それ以外の素晴らしい要素を詰め込められなかったので、吉野さんの功績はかなり大きいと思います。
これは、今年の映画で言うなら「福田村事件」のように、興味のある人しか見ない作品よりも(作られた事は大変に素晴らしい事ですが)、エンターテイメント性を担保しつつ、ストーリーの中にテーマが織り交ぜられているので、どんな人でも観る事が出来る、そして、アニメーションだからこそ、子供にでも理解出来るようになっている点が、本当に素晴らしいです。正直「福田村事件」よりも、恐らく長く観られる作品になると思いますし、そのテーマを理解する人が多くなると思います。
それと、これは凄く当たり前のことですし、なんでこんなことが許されていたのか?全然意味不明ですけれど、この映画の中で語られる『M』と言われる血液製剤って、多分ヒロポンの事でしょうし、そういった割合昭和の暗部にも、調べようと思えば調べられるようにしているのは配慮がなされていると感じました。誠実さがあるのは善き事だと思います。都合の良い事だけ、心地よい事だけにしないのは重要ですし子供騙しにしないのも立派。
そういう脚本上の配慮の良さがあってこそ、なんですけれど、その上に更なる創意工夫があります。
今作はいわゆるバディムービーでして、水木という観客の目線の語り部と、予告で名指しされているので構わないと思いますが、鬼太郎の父のバディが謎を解決する話しです。
しかも、水木はどう考えても原作者水木先生を彷彿とさせるキャラクターで、戦争体験者です。その上、戦争で最下層で戦わさせられた、水木先生と同じ玉砕の命を受けた者なのですが、その事がこの脚本で非常に生かされているのも素晴らしいと思います。
久しぶりに野沢さんの声聞きましたけど、この人年取ってない気がします。
それと、ここまでの悪役、ちょっと今年観た映画や小説、ゲームでもなんでもアリの中でも、ここまでの純粋な悪を感じるキャラクターはちょっといないと思います。
ネタバレは避けますけれど、これは観た人といろいろ語りたくなる作品。
横溝正史 meets 水木しげる + バディ 映画
是非のオススメ作品です。
2023年12月29日 (金) 08:38
リチャード・リンクエイター監督 ANNAPURNA PICTURES U-NEXT
2023年見逃し後追い作品 その10
2023年公開映画の45本目/今年101本目 36/100 の目標は達成しました。
原題は「where’d you go ,bernadette」そのまま、ですね。
極地でカヤックに乗る女性(ケイト・ブランシェット)を背景にナレーションが聴こえ・・・というのが冒頭です。
映画好きの友人に教えてもらいました、ので、U-NEXTさんに入ったので観ましたが、凄く良かった!監督も調べないで観たのですが、さすが、リチャード・リンクエイター監督!
バーナデット(ケイト・ブランシェット)は主婦なのですが、その前に革新的な建築家として働いていたのですが、あるきっかけで心に傷を負い、という内容なのですが、自分とは何か?を取り戻す話しです。
何というか、格言に近い言葉がいくつも現れ、このままでいる自分を凄く押してきます。その押され方が心地よい映画です。
もちろん、正直、バーナデットのそばにいるのは、大変気を使いますし、正直一緒に働きたくないです。ですが、凄く魅力的で吸引力があります。で、そういう人物を演じさせたら、そりゃケイト・ブランシェットは輝きますよね!
才能あふれる、その煌きまで、十二分に感じさせてくれるケイト・ブランシェット、イイです!
また夫にビリー・クラダップが好演しているのですが、この人を見るたびに「Rudderless」(邦題「君が生きた証」この邦題理解はするけれどセンスが無い・・・)の事を思い出すのですが、イイ男です。また観たくなります。
Rudderlessもそうでしたけれど、音楽も最高です!ずるい!そういえば、ローレンス・フィッシュバーンもどちらの作品でも共演してる!
繰り返す毎日に何かしらの鬱屈を溜めている(いない人っているのでしょうか?)人に、オススメ致します。
2023年12月29日 (金) 08:35
リドリー・スコット監督 20世紀フォックススタジオ Amazonprime
そう言えば観てなかったので。ナポレオンも早く観に行きたいですし。ただ、グッチにはまるで興味が湧かないのですが・・・
ただ、この作品は私の天敵であるまっとくんが関わってて、う~む、という感じで昨年劇場をスルーしてしまったわけですが、それをアダム・ドライバーが帳消しにするくらい良かった。それにベン・アフレックも素晴らしくダメ領主をやってて、こういう役で光る人だなぁ、と思いました。
1386年12月28日、最後になる決闘裁判が行われようとして、2人の男が甲冑を纏い、戦の準備をしているのですが・・・というのが冒頭です。
ああ、イイ映画でした。とても丁寧に作られています。そして時代劇なので、とても、衣装、装飾、舞台、城、馬、民衆に、莫大なお金がかかっている。それなのに手を抜かない感じ、とにかく画面が豪華絢爛で、美しいです。
いわゆる黒澤明監督の「羅生門」スタイルで出来上がっています。
第1幕が決闘になる男、ジャン・ド・カルージュ(まっとくん)からの視点、第2幕は決闘の相手であるジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)の視点、そして第3幕が実際の被害者でカルージュの妻マルグリット・ド・カルージュ(ジョディ・カマ―)の順に物語が3度繰り返されるわけです。
この時代だからこそ、の男尊女卑を今の時代の規範で断罪するわけではなく、その中で戦った女性を主人公にしたドラマ、という風に描かれていますけれど、これは本当の所はどうだった?というよりは、その状況に置かれたマルグリットの視点で見ると、2人の男の視点がいかに自分勝手な、大変自己中心的で愚かに見えるか?という事だと思いますし、確かに、愚か・・・でも、きっと私がこの時代に生まれていても、同じだったかもしれないので、批判は出来ないなぁとも思いました。
それだけではなく、とにかく美術が素晴らしく、画面に映るすべてに意味がある様に見える、そしてとてもお金がかかっているのが分かる絵作り、凄いです。これはどうにかしてサー・リドリー・スコット卿のデビュー作品「決闘」が観たいですね。
それと、インティマシーコーディネーターが入ってる、と聞いた作品でもありますし、かなり配慮されていて、その点も心地よさを出しているのかも知れません。とは言え、ヒドイ場面の描写があるわけですけれど。
しかし、まっとくんのキャラクター、多分地なんじゃないの?と思うくらい愚かな感じで、個人的に溜飲が下がる感覚があり、良かったです、これで〇〇〇くれてればサイコーだったんですけれど、まぁいいでしょう。この人、結局自分の事しか考えてない。でも、それぐらい、雁字搦めのレールを歩かされているとも言えて、普通ならもう少し寄り添えそうなんですけれど、まっとくんだから、ざまぁ、とか心では思ってしまいました。なんでこんなに嫌いなんだろう・・・顔か、やっぱり。
アダム・ドライバーは本当にイイ役者さんですよね、何でもできる、凄くイイ役者さんです。学があるキャラクターも合ってるし、兵士、という感じも出せる大柄なのに繊細さを感じさせる素晴らしい相反する要素を持ち合わせていて、さらにチャーミングで愛想があるの、本当に最高です。
ベン・アフレックの、このダメ領主の態度、なんか「ゴーンガール」を思い出してしまいました、いい笑顔で、欲望に忠実。凄く合ってると思いました。本当にこういう人いそうですし。
リドリー・スコット監督作品が好きな方に、是非のオススメです。
ここからはネタバレありの感想です。
未見の方はご注意下さいませ。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
で、ネタバレありとなると、相当にヒドイ話しだと、今の感覚からすると思いますね・・・そして全然変わってないのではないか?と一部のマッチョな人たちや、体育会系の中に存在する感覚も、まだ残っていると感じます。
まっとくんの場合、確かに不幸な境遇ではあるかも知れないけれど、直情型で思い立ったらなんでも行動、察するとかは知らん、黙ってついてこい!的な典型的マチズモの体現者。だから当然なんでしょうけれど、すべての関係性の結び方が、敵か味方で計る傾向にあるし、虚勢を張るのが好き、というよりは虚勢を張らないと安心できないタイプ。近くにいるだけで緊張を強いる感じで、とてもじゃないけれど、部下としても、友人としても、そして配偶者としてならもっとはっきり、NOなんです。しかも、仕事もまるで出来てないのが、妻マルグリットが留守を預かる場面ではっきりするの、つまり3幕目で分かるのが、すげぇ納得感があります・・・全然ダメ・・・というか登場人物の中で1番嫌だ。
対するル・グリさんですが、博識で数か国語が喋れて、数字にも強く、読書もしていて、確かにまっとくんと比べて教養があるタイプ。しかも上の人に好かれ、その上意見具申が出来る、上官と友達になれるタイプ。学のある中では、かなり好ましい人物です。ただし、自分の好かれている、という事に自覚が強く、なおかつ、やっぱり欲望に忠実なタイプ。いや私も男性だから基本的には理解します、欲望に忠実でその事を、良かれ、と勝手に解釈する人たち、今でも多いとも思うし、生物学的特徴とも言えます。が、ホモ・サピエンスなので理性、悟性がある。だからそれなりに相手と段階を踏んで合意を得るのが正しい。のだけれど、この時代の中では、まだまともな部類なんでしょうけれど、それでも、この態度なんです。「誰にもいう名よ」「お互いの欲情に乱れただけだ」「夫に言えばあなたは殺される」だの、予防線を張りまくり、その上裁判では全否定ですよ・・・結局この人も面子の話しをしている。確かにまっとよりはマシかもしれないけれど、ダメ過ぎる・・・
そう言う意味では2人ともNOなんですけれど、この時代で、それは女性側に選択肢が無いというのが恐ろしい・・・でも、きっと、今でもそうなんでしょうね、ある部分では今でも存在すると思います。
それに、まっとくんは仕事さえ出来てないんだと分かる3章、本当に酷い・・・
しかも、裁判にする為に、各所でこの噂を広める、王に直訴、裁判になれば、ヒドイ質問に答えなければならない上、味方かと思った夫は、自分の事しか考えてないので、裁判、という決闘の後、もし、負けた場合の処遇について、黙っていたわけです・・・
しかも神官による、まぁこの時代の裁判では宗教的な場で開かれているのは仕方ないにしても、宗教家が、科学的に快楽を得ないと懐妊しない、とか言い出す始末ですよ・・・
これだけでも、宗教の危うさは、十二分にヤバいと思いますね。神は人間が作った不条理な社会(とか世界とか自然)を生き抜くための方便で、虚像だと言えると思います。
で、まぁマルグリットの後半生に意味があって良かった。
となるのだと思いますけれど、私が個人的に、飲み込みにくい、と感じる事があります。
それは、事件の日の、まっとくんの母親の行動、です。
そんなに都合よく、家人を全員連れて出かける、目撃者が被害者だけの状況、ありえますかね・・・
確かに、ル・グリの従者は、見張っていたかもしれません。顔見知りになっておく必要があったでしょうし。だが、彼は、家人を全員連れて城を出る、という手段がない。
しかもまっとくんは自分の母親に、妻と常に一緒に居るように指示を出していたわけです。
流石にル・グリの従者も、急に出かけたからといって、携帯電話のない時代に主人を呼ぶの、苦労しますよね?
なので、まっとくんの母親は、誰かと共謀しているのではないか?という疑問が残ります・・・んで、その共謀する相手って、考えてもベン・アフレックぐらいしかいない気がします・・・どうせ被害を受けても泣き寝入りするだろうし、いざという時に、自分たちの上司であるベン・アフレックと敵対関係になっているのは得策じゃない、と判断したのかも・・・相手がル・グリになるとは考えていなかった、という事なんじゃないか、と、愚考したわけです。
うがった見方になるかも知れませんけれど。実際、どうなんでしょうね。
マルグリットの感覚は、今の感覚に近いですし、今後も女性の権利や主張を通していく社会になると思いますし、男性の権利や無意識の下駄を脱ぐ社会になって欲しいけれど、その分の責任も女性側に発生するので、多分このままでイイ、という今の社会での家庭での立ち位置に幸福を感じている人たちが、いる以上、ある程度の反撥もありそうですし、なかなか難しい問題ですね。本当の事件の当事者であるマルグリットは何を考えていたのか?原作の書籍を読んでみたくなりました。
2023年12月27日 (水) 08:53
福間雄三監督 トラヴィス 吉祥寺アップリンク
友人のお誘いで、監督挨拶のついた回を観に行きました、市子の後だっただけに期待はどうしても高くなります・・・そして、映画に対して優しい気持ちになってました。
太宰治没後75周年記念作品、となっています。監督も初めての方。
太宰治の短編の映画化、です。
先の大戦末期、先生(窪塚俊介)と呼ばれる作家と思われる人物が上野駅で書生の鶴田(土師野隆之介)を待っていて・・・というのが冒頭です。
未帰還の、と言っているので、タイトルでネタバレなんですけれど、帰らなかった友の話しです。
まず、大変予算規模の少ない中で、よく完成させたな、とも言えます。何しろ、空襲、ジャングルでの戦闘、という戦争部分の絵がどうしても必要な作品なのに、映画化しようというのは、なかなかなチャレンジだと思います。そこを完成させただけでも、頑張ったと言えると思います。
監督のトークショーでは撮影が7日しか無かったそうです。
都内をいろいろロケハンして、昭和初期の色の残った場所を探し出して、撮影しています。
大変ご苦労されたんだろうと想像します。ですから、カメラの画角が大変小さく、バストアップくらいで引きの絵が無い為に、残念ながらとても狭い感覚があります。でも、役者さんたちは本当に頑張ったと思います。
特に、テントの中で寝そべったままの演技を強いられた方の演技は大変良かったです。
それに、仙台弁、というか、ある種の方言を使う鶴田さんの演技に最初は戸惑いました、何しろ、恐らく、ですが、太宰の文体のまま喋るので、少しクドイ上に先生は標準語なので、戸惑います。が、その戸惑いに慣れると、不思議と気にならなくなって、土師野さんの演技は悪くないと感じました。
1番良かった絵は、夕日の絵です。
フィリピンなど、南東に派兵された部分の撮影場面、凄く頑張ってるけれど、とにかく装備とか銃とかがほぼ無いので、大変厳しいと思います・・・人もいない中、頑張ってはいるんだけれど。
という感じで、良い部分もあり、残念な部分もあるとは思いますが、まぁ市子の後なので優しい気持ちになりました。
監督は貫禄のある年配の方にお見受けしましたが、監督作としては3作目、という事で、キャリアはそんなに貫禄は無いのだな、と思うと何となく納得。
太宰作品が好きな方に、オススメ致します。