まだ全部読んだわけじゃなく、あくまで「不揃いの林檎たちⅤ」を読み終わっただけなのですが・・・
脚本、すべてのドラマの基本だと思います。長く続けられたドラマシリーズですし、個人的な思い入れも、もちろんありますし、何と言っても、シナリオを読むだけで、頭の中で、配役されたキャストの喋りが聴こえるくらい、完全に刷り込まれた状態なので、大変面白く読みました。
出来れば実現して欲しかったドラマですけれど、このドラマの場合、主要キャストを変える事は難しいと思います(無論、小林薫だけは変更されてしまいましたけれど・・・)。
そして、最後まで読むと、この作品で、不揃いの林檎たちシリーズが完結した、と感じました。4流大学、学歴の事を主軸に、その後シリーズ化して、それぞれのキャラクターが生きている感覚に陥るくらい、生き生きとした人物を描き続けた山田太一さん。最後を知れて良かったです。
そして、良質なドラマと言うモノは、私は脚本にあると思いますし、キャストは旬というだけでなく、オーディションで質を担保するべきだと思います。山田太一さんのドラマはそのクオリティがとても高かったと思います。
中でも「岸辺のアルバム」の完成度と衝撃度は、刷り込まれてしまったレベルです。
そして山田太一さんは、映画監督木下恵介の弟子筋、というのがしっくり理解出来ます。
映画という文化が育てた部分、あると思います。
そんな山田太一さんが亡くなられた、というニュースを聞くに、追悼の意味でもTBSはドラマを観れる状況にして欲しいですし、NHKは「獅子の時代」をもう少し見やすい環境にして欲しいです。
大きな物語ではなく、日常のドラマを見せる事の難しさ、丁寧な作品を観る事によって、その他の作品も相対化出来ると思いますし、批評性が出ると思います。
今、山田太一さんのドラマ「不揃いの林檎たち」を観ても、それなりの衝撃があります。
これからもシナリオ集を読んでいこうと思いますし、未見の「早春スケッチブック」とか「男たちの旅路」を観て行こうと思います。