井の頭歯科

「100分DE名著 自省録 他者との共生はいかに可能か マルクス・アウレリウス」を読みました

2024年1月19日 (金) 09:28
岸見一郎著
映画「カード・カウンター」で主演のオスカー・アイザック扮するウィリアム・テルが刑務所で愛読していた描写があって気になっていたのですが、岩波文庫が結構な分厚さで、少々ひるんでしまい、こちらを先にと思って読みました。
かなり好ましい、私も非常に感銘を受ける言葉の数々です。
分かりやすく例えると、メメント・モリと、カルペ・ディエムの相反する教義を持ち合わせ、共生の概念を極限まで推し進めた、という事になると思います。
そして、大変厳しい現実を、そのまま受け入れつつ自制しながらも、この厳しい現実を良い事に変化させようと常に努力した人なんだと思います。
哲学者になりたかったのに、ローマ皇帝を拝命し、そして善政を敷いた賢帝と言われています。
これは、プラトンの言う哲人王の政治、と言えなくもないと思います。そして、その効果というか結果は素晴らしすぎるとも言えます。ただ、非常にまれな名君が哲学者を志向していた、とも言えるし、これだけ内省している人、それを幼少期から見出して、皇帝にするべく帝王学を教えている状態とも言えるので、卵が先か鶏が先か?は不明ですし、これほどの賢人であっても、継承に失敗しているそうです・・・本当に継承って難しいですね。
日記ですらなく、自省録、自らを省みる記録、を記していたわけで、誰に見せるでもない文章の連続です。
しかし、非常に心打ちます。私はアウレリウスと比べて非常にちっぽけな、存在しないに等しい存在ではありますが、立派さは理解出来ます。
現実を現実のままに受け入れ、逃げないし、正面から向かって行き、善なる行いをしようとずっと試み続けるその姿勢が眩しい。
どんな人物でも、権力や金を手にして時間が経過すると自堕落で、自分にとって都合よく現実を解釈しだすと思うのですが、このような例外があるのだ、という例を知れて良かった。
2千年以上昔の人物ですけれど、信じられないくらいですね。
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