井の頭歯科

「アインシュタインと原爆」を観ました

2024年3月29日 (金) 10:25

アンソニー・フィリップソン監督     Netflix
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は3/25
そろそろ、オッペンハイマーが来ますので、その前に関連でいくつか観ておこうと思っておいた中の1つなので。
でも、この作品はドキュメンタリー作品ではなく、あくまでフィクションの部分と、ドキュメンタリーと、ない交ぜになっていて、過去の映像の部分、写真の部分もあるのに、アインシュタインを演じる役者さんも居て、それなりに寄せてきているので、微妙な感じです。
ただ、全然知らない事はあまり無かった気がします。

もう一つ、どっちにしろ、中途半端な感覚でした。

 

 

アインシュタインに興味のある人にオススメします。

「BLUE GAINT」を観ました

2024年3月26日 (火) 09:10

立川譲監督     NUT     U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は3/24
今回は確実に、こちらが当たりに来た感じです、当たりに来られても困るでしょうけれど、作品を発表する、というのはそういう事だと思います。なので、他人の負の感情が込められた文章を読みたくない人は(ほとんどの人だと思いますが)読まれないようにしてください。
とは言え、凄く複雑な気持ちになります・・・
まず、良かった所。
・アニメーション表現としての、奥深さ、かなり随所に工夫されていると思いました。
・演奏者、私は詳しくない人ばかりですけど、本当に上手い。
まずこの2点は、本当に素晴らしい。傑作って呼びたくなる気持ちの人が居るのも、納得出来ます。
以下、凄く複雑な気持ちを、複雑なままに表現した、つもりです。でも、他人の不快な感情をわざわざ読まなくてもいいと思います。基本ディミアン・チャゼル監督「セッション」と同じ感想なんですけれど、こちらはアニメーションなので出来る事があるのですが・・・しかし、もしこれがあなたの好きなジャンルの話しだったら、と考えてみてくださいよ、という気持ちになります。
2023年ですから、当然人類も進歩してはいるけれど、娯楽においてスポ根モノはやはりベタだと思います。
そして音楽にスポ根を持ち込むのって、安直なやり方ですけれど、ベタなんで大衆受けはするでしょうね。
大衆に受けないと、ヒットしないし、お金にならないので、そう言うモノだと思う。
という事を頭では理解しています。まるでこれじゃアメリカン・フィクションのモンクみたいですけれど、だからと言って、いくらなんでも、
世界一のジャズプレイヤーになる
ってドユコト???と思ってしまう訳です・・・
世界一有名?上手い?音がデカい?ダサい?とかいろいろありますけれど、凄く、ぼんやりしてて、頭が悪い。
もう凄く、頭が悪い。そして能天気。
でも主人公である宮本は全く抵抗される部分が無い。
無心で天才的、という事になっているんですけれど、音楽というジャンルで天才って、とにかく努力の天才しかありえないのではないか?と思います・・・魅力、くらいなら出せる人もいるでしょう。でも確かに魅力はあるんだけれど、そして、その音を出しているのは、恐らく、音大を卒業して専門的な知識に裏打ちされたプロの演奏だと思います。
努力している外側の部分だけ、を見せてくれるのですが、その内容とか楽理の話しを学ぶ部分を少しでも出してくれたら、まだ説得力があると思うのですが、これが恐らく、分かる人にしか伝わらない表現になりますけれど、全勝優勝が好きな人、には通じない、きっと喉に突き刺さる小骨になってしまう表現なので、描かれなかったのだと思います。
確かに努力もしていますけれど、楽器の事考えたら室内で練習しないとだめですよ・・・まして雪の中って・・・でも、確かに野外の方がなんか土着の天才みたいな感じが出るアニメーション表現ですよね。分かります、私の難癖なんです。
この作品を観た人の中で、ジャズという音楽が好きになってくれる人が少しでも居たらいいな、という感覚なんでしょうね。
ここからネタバレありの感想になりますけれど、まぁ最初に警告させていただいたように、あまり心地の良い表現では無いですので、未見の方やこの作品が好きな方は読まないでくださいませ。
全国の吹奏楽を演奏している有名小学校、中学、高校の中だと、物凄い努力をしている人たちがいます。それでも、なかなか天才っていないんじゃないかな、とも思いました。
あと、個人的には事象の地平面が出てきたときは、笑ってしまいました。凄い遠くまで行き過ぎ。
その上に、なんでも泣く表現に安易に走りがち・・・
うん、「JASS」って命名も、まぁ20歳前の男性の考える事ですから、そりゃ幼い。個人調べで申し訳ないのですが、うちの国の男性の精神年齢はマイナス20する感覚でちょうど良いので、まだ生まれてすらいません。なので、しょうがない。
あと天才度、で行ったら玉田さんの方がすごくね。
そして、事故とか、ぐるっと2周くらい回って、斬新な表現なんでしょうけれど、個人的には寒い、と思ってしまいます。昭和でもなかなかな事だと思うのですが、こういう手垢のついた表現は、誰にとっても、その初回性と言うモノがあります。その人にとっての初めての経験、重くて重要な事だと思います。という事はやはり、オジサンが観に行ってすみませんでした、という事なんだと思うのです。

「AMERICAN FICTION」を観ました

2024年3月22日 (金) 09:06

 

コード・ジェファーソン監督    ORION    Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は3/23
いろいろ忙しいのでなかなか劇場に行く時間が取れません・・・こうしている間にも、どんどん新作が公開されているし、仕方ないけれど。でもそう言えばAmazonprimeで観られるって、「BEAU IS AFRAID」の解説動画で興味深かったぷんすこ太郎さんのTwitterでこの映画面白いって言ってたな、と思い出したので観ました。
めちゃくちゃに面白い作品です!今年の映画の中の軸になる作品。これより面白かったら、間違いなくベスト5には入る。
大学で文学を教え自らも作家(アメリカだとよくあるみたいですね、うらやましい)であるモンク(ジェフリー・ライト)が学生に講義をしていますが、古い作品の中に現代では差別用語にあたる単語について学生から質問があって・・・というのが冒頭です。
風刺 映画だと個人的には捉えましたが、本当に声に出して笑いました。凄くおかしい。面白いとか興味深いとかファニーとか笑いとか、そういう事をまとめていうと今作品はまさに風刺の効いた現代映画だと思います。
凄く、馬鹿馬鹿しい話しですし、原作があるようなので、読んでみたいと思いました。
でも、狙いが凄くイイですし、風刺だけでなく、入れ子構造になっているのも素晴らしいし、時折入る風景や構図の素晴らしさも、エッジが効いています。緩急が見事ですし、そこに合わせる音楽もサイコー。ジャズが好きな人だと思います。
役者さんも皆さん素晴らしかったですし、何というか、そういう人に見えるんですよね、そういう部分がリアルに感じさせてくれる何かだと思います。
本当はきっと、誰でも、特に文章だと、肌の色なんて関係ないし、優れた文章を書く作家を、優れた作家と呼ぶのが正しいと思うのですが、そういう事にはアメリカでもなってないようです、本当の所は知りませんけれど。日本では一時期は文学賞メッタ斬りという文学賞批評が機能していてくれたのは面白かったのですが、私が年間で本を数冊しか読めなくなったので、この手のジャンルまで理解する事が出来なくなり、だんだんと距離を置いてしまいましたが、映画よりも、読書はずっと能動的ですから。余裕が無いと出来ませんよね。
心情として、作家で憤りを感じているモンクに共感してしまうんですけれど、でも、ちょっと、という気もする。
それに字幕だと、兄さんだったり弟だったりと、ちょっと気になると思うのでもう少し精度を上げて欲しい、字幕を読むのは気にならないけれど、さっきと違う表現で呼ばれてると、ちょっと思考の遅れが生じてしまうので。
しかし、アメリカで生活するのって、凄くお金がかかるんでしょうね・・・うちの国は随分と貧乏になったし、自業自得なんだけれど、きついね。
本のタイトルを変えるシーン、マジで大爆笑でした。
ロバート・アルトマン監督作品が好きな方に、是非のオススメですし、風刺が好きな方にオススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想になりますので、未見の方はご注意を。
モンク(絶対これセロニアス・モンクから来てると思うんだけど)は本当に世の中つまらん、なんでこんなに馬鹿にされて怒らないのか?と考えていますし、だからこそ、自分の手で、その馬鹿々々しさを本にしてみたわけです。だって私だってアフリカンアメリカンなのに!というわけです。
なにしろしょっぱなから、白人の学生が、黒人の別称を言及してくるんですけれど、それは、その時その時代はそう呼ばれていたし、そういう扱いを受けていたわけです。本当にそうだったし、その時代使われていた単語を現代では差別用語になったからと言って、しかも授業で、不適切だから止めて欲しい、というのはやり過ぎだし、過去を変える歴史修正主義と言うモノだと思うのですが、その後もあまりに書籍が売れない、しかも売れているアフリカンアメリカンの女性作家のタイトルといい、あまりの酷さに、それなら俺もやってやる、とばかりに書いた書籍がバカ売れしそう、という話しなわけです。
でもこのモンクは、家族の他の人間は全員医者で、家政婦もいて、ま、上級なクラスの人間なんです・・・教養もある、それに白人への理解もある人なんです・・・
それがステレオタイプな小説や表現を用いてベストセラー作家になっているなんてオカシイ。と、思っている。
だから自分もそれくらいは書けるし、偽名で書いてしまうのですが、どんなに馬鹿々々しく、つまらない話しを書いたつもりが、前金で大量のお金が入ってくる、皮肉。
やることなす事上手くいかなかったのに、突然馬鹿なふりして書いた本が売れる、嬉しくはあるのですがモンクの心中は複雑ですよね。だってバカにして書いてるのに、それすら白人からしたら、リアルに見えているってどれだけ距離が存在するのか、という事になってしまいます・・・
馬鹿にするつもりで書いたら、本気で取り上げられてる・・・しかもあまりに頭に来たので、Fワードのタイトルに変更しなければ契約しない、とまで言ったのに、OKされてしまう、これどこまでオリジナルの原作者の体験談なんでしょうね。
モンクの家庭は凄く上品で上流です。お金持ち。そんな家で育っていても兄弟にはホモセクシャルな人もいますし、とても開かれている。だからモンクは想像で書いてるのに、リアルに感じられるって・・・
そんな上流階級でも、アルツハイマー、介護、離婚、とかが襲ってくるわけです。
可能性って言う言葉は不遇な境遇にいる人が使う言葉、には結構納得してしまいました・・・
皮肉もあるけれど、これは入れ子構造で、しかも映画化する事の脚本として、とラストはなってて、その上、結末に問題を感じて監督から変更させられて、その上、個人的には1番最初の案、結末は想像にお任せする、というのを却下された後に、警察に撃たれて死ぬパターンが大絶賛・・・いや、監督よ、それはもうずっと描かれてきてるよ・・・せめてスパイク・リー監督作品は観ておこうよ!とは思いましたが、こうやって幻想のアフリカンアメリカンが再生産されているのかと思うと、タイトルのAmerican Fictionというタイトルの意味がDoublethinkみたいにも取れるし、上手い。
しかもこの監督長編デビュー作品みたいですね、マジでシンジラレナイくらい上手い。

「ゴッホ 真実の手紙」を観ました

2024年3月19日 (火) 09:33
アンドリュー・ハットン監督     BBC     Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は2/21
ゴッホ、特別に好きな画家、という訳ではありません。が、数年前に東京都美術館で行われた(ゴッホ展 響き合う魂ヘレーネとフィンセント)で観た「夜のプロヴァンスの田舎道」の凄さ、まるで糸杉が蠢いて、星が瞬いて動いているように見える絵画にヤラレマシタ。確かに、これは凄い!となりましたし、ゴッホが特別好きになる人がいるのも、理解出来ます。
そして、いろいろ調べたり読んだり映画化されたものを体験しているうちに、私が気になるのは弟のテオなのだと理解出来ました。
全然売れる予想もなく、非常に感情の起伏の激しい、それでいて完全に生活を依存されている弟のテオの、心情が気になるのだと思います。しかも絵の1番の理解者でもあり、家族という遺伝子的にも逃れられない他者の中で最も近い存在でいる事の苦しみみたいなものに興味があるのだと思います。
残念ながら、テオとフィンセントの書簡のほとんどは、フィンセントがテオに宛てた者ばかりが残っていて、私にとって肝心のテオがフィンセントに宛てた手紙はほとんど現存していないのです。でも、そういう所も、また惹かれる部分でもあるのですが。
で、そのフィンセントを、ベネディクト・カンバーバッチが演じている、しかもBBCだ、という事で観ました。
特に目新しい事実もなく、淡々と進んでいきます。どちらかと言えばテレビの特番のような感じです。カンバーバッチもイイ感じで軽めの力の抜けた演技で好ましく感じました。
フィンセントが亡くなった後、ほぼ半年後にユトレヒトの精神病院で亡くなる事となったテオの事を考えると、そこに美しい兄弟愛とか、援助を惜しみなく注ぎ込む献身とか、そういったホモサピエンスの善性も理解はできるのですが、それだけでない、負の感情も沸き起こりつつも、それでもよき理解者で援助者であり続けられ、同時に、フィンセントの死をきっかけに衰弱してしまうテオの心情を知りたいと思うのです。とても複雑だとは思うのだけれど。
フィンセントに興味がある方にオススメします。

「悪魔はいつもそこに」

2024年3月15日 (金) 09:10

アントニオ・カンポス監督     Netflix
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は2/20
何となく、Netflixで検索していると、え、トム・ホランド?それにライリー・キーオ!え、ロバート・パディンソン!!わ、ヘイリー・ベネットまで!!!!という事で、キャスト陣の豪華さから視聴しました。すっごく、豪華。
オハイオ州のノッケンスティフとウエストヴァージニア州コールクリークという名も無き小さな2つの街が存在するのですが・・・というのが冒頭です。
これは小説が基にある映画化作品なのですが、まさにナレーションで読み込まれ、神の視点からこの事件というか関係性の顛末を眺めるタイプの作品で、読書体験に似ている作り、演出になっています。そう言う意味では好みではある。
しかも、どの役者さんも、かなり良くて、抑制の効いた演技であり、上手いです。これはトータルでの演技面の抑揚という意味で気が利いている。
中でも特にヤバめの演技、その顔の印象の強さで、ハリー・メリングを知れたのは大きかったです。名作漫画、富樫義博著「ハンター×ハンター」の中に出てくるヒンリギ=ビガンダフノにそっくりです・・・
因果応報と言いますか、第2次世界大戦からベトナム戦争が拡大するまでの時代を描いた、それも数奇な運命を生きる2つの街の人々の、世代を超えた不思議な関係を見せてくれます。
私は無神論者で、神を発明したのが人間で、それはこの世の理不尽を乗り越える為の方便だと思っていますし、なんなら信仰とまではいかないけれど、宗教よりは科学を上位に置く者ですが、ベトナム戦争って1955~1975までの事なんですけれど、つまり1950年代ってまだ、全然、宗教的な規範が強かったんでしょうね。
あと、警察も仕事しているのは良かった。
ナレーションの声の人も、声、良かったです。
でも、小説の数奇な運命ってどうしても、作為を感じてしまいますね。
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