井の頭歯科

「カンバセーション・・・盗聴・・・」を観ました

2024年7月23日 (火) 09:03

 

フランシス・フォード・コッポラ監督   パラマウント    U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は18/69
コッポラ監督作品の見れる中で未見のモノを追いかけています(YouTubeの番組「BLACKHOLE」の影響です)。
1974年の作品ですが、素晴らしかった!!何も知らないで観てたので、よりびっくりです。
雑踏をズームで屋上から寄っていくカメラが特定の2名の男女を捉えて・・・というのが冒頭です。
これはクラシカルなサスペンス映画ですし、格式の高さを感じます。流石コッポラ監督!
恐らく、当時の最先端機器で行い、しかも1974年ですから、映画の中にも出てきますけれど、ウォーターゲート事件があったばかりですので、盗聴、に対する知識や関心が高まっていたと思われます。
そもそも盗聴という言葉には盗むという漢字が当てはめられている事でも分かりますが、後ろ暗くて、非合法で、違法な行為な事が分かるのですが、英語圏だとどのようなニュアンスが持たれるのか?不明です。ですけれど、その道のプロもいます。
この映画の主人公ジーン・ハックマン扮するハリー・コールはその道のプロの誰もが認めるプロの中のプロフェッショナルです。
プロフェッショナルだからこそ、盗聴と言うモノが、どういう事なのかを、哲学的に理解しています。商売の道具、よりも深く考察し理解しているからこそ、な不安があり、その上での生活なのですが・・・
誰よりも理解して、だからこそ、生活は壊れているとも言えるコールの、商売上の自らに課した規約に忠実に守っているからこそ、あるきっかけで、困惑するわけです。
素晴らしい脚本、素晴らしい配役、素晴らしいカメラワーク。どれも非常に良かったです。
誰だって、盗聴したいとは思っていても、されたいとは思っていないはず、という当たり前の事を心底分からせてくれる映画。
邪な欲求を抱えていたことがある人にオススメします。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想なので、未見の方はご遠慮くださいませ。
これ凄く、ポール・シュレイダー脚本に見えますね。
手段として邪なのに、金の為に、生活の為に、プロフェッショナルであろうとすればするほど、プロフェッショナルな人間に狙われたら防ぎようがない事を知っているコール。
だから猜疑心に強く捕らわれていて、かなり頻繁に告解に通っている模様ですし、女性関係にも細心の注意を払っています。
そして、ここはNYではなく、SF。恐らく、NYには居られない状況に陥ったのでしょう。同業者からも尊敬されている仕事を、どうやったのか?散々聞かれていますし、特に68年のトラック組合(これってマーティン・スコセッシの「アイリッシュマン」の話しなのでは・・・)の盗聴について、どうやった?と聞かれて、曖昧な答えもしていますし、まず、国家レベルの組織と仕事をしたことがあり、且つ、その口止めとして、それなりの秘密を握られた事がある、という仮説が成り立ちます。
だから、凄く神経質で、身元が分からないようにしつつ、生活を送っている。ただの同じフラットの住人の誕生祝に極度におびえるのです。でも、私も何かしらのお祝いの品が、自分の部屋の中にあったら、もっと極度にビビりますけれども。
不安神経症、という名前がついて、病名になれば、病気なんだから仕方ない、私に関係ない、と思っている人だって、誰でも陥る可能性はあるし、現在はもっと巧妙になっている事でしょう。
そう言う意味においても先駆的で先見的な作品。
そして懐かしいジャズの音楽、BGMも最高にセンスを感じさせます。
脚本の練り上げも素晴らしく、恐らく、テープを持って行かれたあの夜は、お酒だけでなく、何かしらの薬盛られたのでしょうし、そうは言いつつ、アジトに仲間を引き入れている訳で、それなりに心が大きくなってしまっていたのかも。ハニートラップ恐るべし。
ラストの展開も見事。ですが、1番驚いたのは、専務秘書がハリソン・ベンのお父さん・フォードだった、に尽きます。驚いた~
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