井の頭歯科

「東京裁判 4Kデジタルリマスター」を観ました

2024年9月6日 (金) 09:43

小林正樹監督     講談社     モーク阿佐ヶ谷
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は25/84
敗戦の日に観ました。
映画の感想としては、みんな観た方が良いですよ、かなりフラットですよ、で終わりです。
ただ、今までの総決算的な、私にとっての映画だったので、徒然なるままに。長くなりそう・・・
私は基本的に、自分で考えさせてくれ、資料を基に。という考えです。もちろん現在の状況含む、過去の出来事の全てを理解している訳では無いですし、基本的にすべての出来事は、誰が、どの方向から観たか?によると思いますが、多角的な方がより良い、とも思います。信じる、を基本的に嫌いますし、信仰はかなり目を曇らせる事になると思います。
だから、いちいち言葉が気になりますし、主語が無い事でふわっとさせるのが嫌いです。日本語はそもそもふわっとさせる言語なのではないか?と思いますし、ハイコンテクストで、主語を入れないでも、雰囲気で分からせる言語としての能力が高いと思います。そういう風に出来ている・・・責任の所在をはっきりさせない文化・・・
いちいち検証が個人的な納得が済むまでは、あくまで現在の個人的回答であって、それだって新しい事実が理解出来れば、更新される、あくまで途中の、中腰の状態ですし、恐らく死ぬまで本当の事はワカラナイと思います、はい、面倒な性格です。
だから保守的ではないと思います。最も、保守を自称する人のほとんどが、保守と言ってる私が好き、な人で、保守主義で生きているのも大変に厳しく辛い事だと思いますけれど、人の事はどうでも良いです。ただ、話し合うのであれば、相手を、基本的には尊重して、話し合いたいです。同じホモサピエンスなんだし。国籍なんて後から作ったものだし、言葉でさえ後付けの文化のひとつなのに、完全な訳だって存在しないとも思います。本当に難しい。
今までに読んできた、様々な先の大戦に関わる文章、そして映画、いろいろありましたけれど、その集大成的な作品でした。
かなり私はフラットに語られているドキュメンタリー作品だと感じましたし、謙虚さもあります。しかし、ドキュメンタリーだからと言って、完全な嘘はつきにくいけれど、観客の考えをある方向に向ける事は出来る芸術作品だと思っています。監督はその点についてかなり厳しく注意をして、この膨大な資料映像を、1本のドキュメンタリー作品に仕上げています。
日本の夏は、どうしても先の大戦を想う夏になりますし、毎年いろいろ手に取る時期もありましたが、段々と読書が難しくなり、目も衰えて、ついに老眼になりました・・・そんな私が2024年の8月15日の敗戦の日にこの作品を見れた事は大変良かったと感じています。今までいろいろ書籍を読んできて良かった、という感慨にふける事が出来ました。
終戦ってなんだよ、ただの負けた日なのでは?進駐軍ってなんだよ、占領軍なのでは?こういう言葉のごまかしが非常に多いのも特徴だと思います。自衛の戦いなら負けたらダメだし、言い訳しても仕方ない。なんなら講和じゃなく無条件降伏、完全な負け。この無条件かどうかに拘泥しているプライドのかけ方の私から見たら変わった方々もいると聞きますが、条件が一つ二つあったとして、ここまで負けてるんですから、ほぼ完敗で同じじゃないですか?
戦勝国が敗戦国を裁くのであれば、こういう結果は確かに。そこに裁判の公平性を鑑みても、未だ完璧には程遠い現実の着地点として(前例は僅か数カ月前のニュルンベルク裁判しかない)、この結果を受け入れざるを得ないです。茶番だとして(私も茶番だと思います、ある意味)も、その茶番をするに至ったのは、負けたからです。負けた現実を認められずに茶番に文句を言うのはオカシイ事だと思います。
そもそも満州国を作る事でロシアの南下を防ぐと言ったみんな大好き石原莞爾は、その劣化版が同じ事をする事さえ見抜けなかったし(なんで自分は良くて他の人はダメなのか?そのやり方を見せたらやる人が出てくるし、基本軍旗を乱しているわけですよね?正攻法では無かったですよね?)、なんなら世界最終戦争だって起こってない。
特攻という行為、作戦を考えた人のその後を考え、例えその人物が割腹自殺をしたとしていても、作戦で亡くなられた人は生き返りませんし、その効果がどうだったのか?を考え調べてみると、なんとも悲しい数字が残っているだけだし、そもそも、その上で敗戦している訳です。
この作戦の実行者に過大に共感しても、それと結果は別なのでは?と思う訳です。この作戦で亡くなられた方を悼む気持ちは私にもあるし、その気持ちの大きさや量を測れるわけでもなく、それよりも、その結果が敗戦なんだという事実をどう考えるのか?が重要なのではないかと思うのです、でないと有名作家がロマンティシズムに浸りまくった死をタイトルに入れて「俺は君の為に死にに行く」みたいなことをいいだすわけです・・・結果、その君が生き残ったのかどうかは本当にその作戦で違ったのか?は全然別の事なのではないか?と思うのです。もちろんそういう小説(まあ嘘ですけどね)を読んで感動する人が居ても良いですけれど。
そして、これもいつも思う事ですが、日本の民間人も被害にあってはいますけれど、他国の民間人にも多数の被害者を作っていて、その加害性には全然触れられずに、あくまで被害者の面だけで語られるのは本当にどうかと思うし、作戦立案を担当するエリートの失敗なのか?不明ですが、その作戦実行の能力が足らないのかも不明だが、そもそも戦死者の何割が餓死者なのか?の数字だけでもかなりの衝撃だと思います。
さらに、自国民を検閲し、その権力をかさに着て暴力や横暴、私腹を肥やした輩の存在も語られています。
民間人の日記、特に文筆家であったとしても、開戦に喜びの声をあげ、神州とか竹やり訓練とかを考えると、火炎放射器や機関銃や爆撃機にどのように立ち向かったとして、目も当てられないのではないか?と思う次第です。そりゃ米国兵だってこの戦争で死にたくないですけれど、もしご聖断が無かったら、というIFを娯楽として楽しむのは良いですけれど、現実は負けて終わったんですし、そのIFに乗るなら、命令があれば、多分損害が大きくとも、作戦を遂行するでしょうね。
そもそも民間人に正確な情報が下りていないのも大きな原因ですし、大本営発表の数字のズレについて(ズレっていうか故意の希望)も信じる(客観性が担保出来ない・・・だから信仰になってしまう)しか無かった状況で、その状況を望んだ(は言い過ぎかもしれんせんけれど、有権者がある程度の責務があるとも言えませんか?今だって、同じでしょ?)国民の責任も多大にあると思います。それに唯一対抗していたのが、共産党なわけで、この事の悲劇性も大きいと思いますね。
この映画でも描かれていますけれど、実際、戦勝国が敗戦国を裁くのではなく、自国民が何故この結果に陥り、何が問題だったのか?という事について、戦中に牢屋に入っていた人たち以外で開かれた場を設けているのが少なすぎますし、座談会(有名なのもあるし同名の映画は傑作)はあるんでしょうけれど、自国民でその加害性についての検討や、失敗の分析をしていない気がします・・・多分最も必要だったのがこの作業で、これをしないから、被害者の意識だけになってしまう・・・パル裁判官の言葉の、言葉だけを浅く受け取って悪くなかった、良いこともした、という部分だけに縋るのも本当にどうかと思うしパル判事の態度には尊敬に値する事と、加害性を無視して良いこととは別だと思います。
もし本当に良いことをしていて、それでも国策で、教育で、洗脳に近い教育をされているのだと考えているのであれば、凄く了見の狭い考え方だな、と思う訳です。中村哲さんの様な方が居た事を洗脳だけで変えられるモノでしょうか?民間でも語られているでしょう、酷い事をすれば当然。良いことをしても当然です。
玉砕攻撃やススメ一億火の玉になったとして、敵を心胆寒からしめたとて、全滅してしまっては、領土を完全に失っては生きて行けてないです。さらに、天皇陛下のご聖断が無ければ、もっと酷い結果になっていたとしか思えないのに、その玉音放送を食い止め徹底抗戦をしたい将校軍人がいる、という事は軍の統制が取れていない、という事になります。
そして昭和16年当時に総力戦研究所が既に敗戦を予告している訳です。合理的に既に負けているし、なんなら4倍くらいの差があったのに、この映画の裁判でも裁かれている男は、4倍くらいなら気力で何とかなる、と言っていたわけで、気力で裁判結果を変えて見せて見ろ、とは思うのが当然のような気がします。
戦陣訓を書いた人が、結果どうだったのか?はこの映画内で描かれています。勇ましい事を言うのは簡単ですが、言った人がどのような結果であったか?その戦陣訓を守って何人くらいの人が亡くなられたのか?について考えると、非常に重い暗い気持ちになります・・・
東京裁判は意味が無い、そもそも公平ではない、茶番だ、というのは気持ちのイイ事でしょう。でも、それでも、この極東軍事裁判を受け入れて(というか敗戦国で占領されてるので、それしかない)ないと、サンフランシスコ講和条約を履行できないことになってしまいますよ・・・という事は国際社会に入れてないわけで(もちろんロシアとは未だにだからこそ、北方領土問題が存在する)経済復興も出来なかった世界に行くわけで、それはないな、と思いますし、現実に受け入れているわけです。
なんだかんだ言ってもアメリカの凄い所は結局自治を促しつつ、コントロール下に置いていて、それは戦後ずっと続いていているわけで。憲法を書き換えると独立国家として、とはならないと思いますよ。アメリカから見たら、別に変わらないと思うし、そこに拘泥しているよりはやる事が他にあると思いますし、そろそろこの辺で変えておいても良いけれど、凄く、憲法の事分かってない人たちが変えるのは恐ろしいと思います・・・緊急事態条項なんて、そんなに急いで帰る優先順位の高いものかな?自衛隊の明記くらいじゃないですかね。
ながなってしもうた・・・
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