セリーン・ソン監督 A24 U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は27/88
まだU-NEXTさんの消費しなければいけないポイントがあったので。
かなり評判が良かったですし。PAST LIVESという単語にも興味あります、過去に生きてる、と捉えてしまったので。
深夜4時のバーカウンターで座る、アジア系の男女と白人男性をカウンター越しに見ていると思われる英語圏の話し声で、どういう3人組なのか?想像している会話が聞こえていて・・・というのが冒頭です。
ラブロマンスものって基本的に興味が無いのですが、過去に生きる、という事には興味があります。誰しもそういう部分があると思うのです。そして女性よりは男性はロマンティックな生き物。というか、恐らくそういう風に育てられてもいます。文化圏は違っても、恐らく全世界的には、男性が生きやすいように設計されているとも言えますので、夢を見ていられる。
とは言え、この映画の状況はかなり特殊ですし、まぁ主人公に感情移入して見ているのであれば、大変心地よい映画体験とも言えます。
会話劇です。かなりビターと言えなくもないけれど、それだけじゃなく、文化圏の違いも扱っていると思います。
で、ロマンティシズムに満ちているとは思いますけれど、何と言いますか、昨今のこの手のロマン的な映画に詳しくないですし、こういう場合は男女を逆転させても成立するか?を考えてしまいます。でもそれはネタバレになるので、後述として、映画そのもの、俳優の演技含めて、悪くなかったです。
私は男性の精神年齢はマイナス20歳だと思っているのですが(特にうちの国は)、この映画の中でもそんな感じです。
12歳で移住してから会っていない男女が、12年後の24歳時にSNSでテレビ電話(という表現が古くてすみません、スカイプとかいうのが正しいのでしょうか?)で再会するも、NYとソウルに離れていることが分かり・・・の後はネタバレに繋がりかねないので、ご想像にお任せしますけれど、そういう話しです。
私は男性なので、どちらかと言えば、男性の感情は分かる気がしました。逆に女性の人の考えがあまり理解出来ませんでしたし、最後の最期の行動は謎。なんでそれ???ってなりました・・・
ロマンス要素だけを求める人には向かない作品とも言えるので、現実をそれなりに楽しめている人に、大人の人に、オススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想です。未見の方はご注意下さい。
とは言えまぁネタバレがこの映画にはあまり問題ない作品ではあると思いますが・・・
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ネタバレありとして、まず、この女性ノラは何を求めているのか?という事ですね。まず、カナダへの移住を求めていたわけではない。それは親の都合です。
ですが、NYへは移住している。しかし、カナダからNYへの移住も困難でしょうけれど、ソウルからNYへの移住は難しさが段違いな様に見えますし感じます。そして、NYで生きてる私、つまり自分の尊厳の一部になっている気がします。もちろん凄い事ですし、上昇志向の強い人間は、何時かはソウルから、もっと言えば儒教的な世界や男尊女卑文化から距離を取ろうとしたでしょう。ですが、それでも、ヘソンがNYへ行く事のハードルの高さは、なかなかだと思いますね。
決して上昇志向が悪いわけではありませんけれど、ノラも旦那に言っているように、ヘソンが男性主義社会のソウルで生きてて、だから凄くコリアンに感じる、と言ってますけれど、それはある種当然で、ヘソンもノラにニューヨーカーを感じたでしょう。お互い様なんだけれど、上昇志向とか、私という主導に合わせろ、という感覚を感じるのです。それは、実は凄く男尊女卑社会の男性社会で観られる権威主義的。ヒエラルキーを敏感に感じ取って、その中での礼節を重んじる、なんなら忖度する。
ヘソンの一人っ子で収入の面で結婚出来ない事に対しても、割合自分の感覚だけで、結婚した方が良い、という発言があり、まぁマウントに、見ようと思えば見える。またそれ以上に、自分の環境に、無自覚とも言える。結婚しない自由もあるし、ここはニューヨーカーとは思えぬ発言で、同じニューヨーカーにはこんな事言わないはず。つまり、です。親しみもあるけれど、心の奥底で、イケテる進んでる自分と、ソウルというかつて自分も居たが遅れた田舎から来た男、という図式をノラの頭の中で捉えている振る舞いに、感じるのです。
ソウルが恋しいけれど、そこが嫌なら出て行けばよいし、なんでNYの私の所に会いに来てくれないの?という主張が強いのも、上昇志向の強い人に(男女関係なく)よく見られる傾向な気がします。
そもそもノラは訪ねられて、迎えてるわけで、ヘソンとの友情を感じていても、愛情は既に醒めていると思われます。
で、ココで個人的にイヤだな、と思うのが、男女逆だった場合、何となく、後ろめたいなら隠すような気がします。オープンにしているようで、夫やヘソンという 選べる立場 を楽しんでいるように見える、という事です。
難しいのは夫の方で、非常に好感持てる感じです。言い分も分かるし、卑屈な感覚に、普通なります。そこで卑屈になり過ぎずに、相手を気遣う。イイ人。
もし、男女が逆で、NYに居る男の妻と一緒に、ソウルから女性が訪ねてきたら、一緒に食事するでしょうか?なんとなく、しない方が礼儀で、それはそれ、これはこれ、な気がします。それに遭わせたら会わせたで、嫉妬心や逆に自分を尊重して見せるようなわざとらしいマウンティングをしてきそうです。それか、後で不機嫌になり、何年たってもこの同じネタで不機嫌の際には必ずこの話題を出されて、赦しを乞うても、次の怒りの際には忘れて同じテンションで怒り出す事でしょう。そんなポイント貯めない方が良いに決まってるし、既婚者の人々がこういう問題をどのように解決しているのか?全く不明です。何年たっても新鮮に怒れる人が、私の考える女性の恐ろしい所ですし、全然全然全然全然理解出来ませんし、別の生き物だとも思います。
まぁ言うても、ヘソンだって踏ん切りをつける為に来ているのは、まぁ間違いないですし、なんなら少しくらいは何かあってもいいかも、は思っててもオカシクナイです、男性ってそういう生き物ですし。でも、結局彼は強引な事は何もしない紳士的な男で、優柔不断に見えても、道を踏み外さない男。それだけで男尊女卑社会でソウル社会の中で生きてて規範を求められる社会人の中ではかなりまともな部類なんじゃないでしょうか。
とりとめのない話しになりつつありますが、私が良かった!と思ったのは、ヘソンが学生時代も、兵役義務の時も、就職してからも、同じような4人組で楽しく飲んでいる事です。
これは男女とも、同性の友人こそ、気遣い鳴く、変なマウントもせず、目減りしない資産(出典はジェーン・スー スーさんは女性に対しての発言だったかもですが )です。私もそう思います。きっと帰国したヘソンは同じ4人組で楽しく飲んでると思います。
逆に、ノラは最後、なんで泣き出すのでしょうか????これ考えても全然意味わかんないです。
忘れてはいない、信じられない時があるだけ
韓国語を覚えるのは妻の寝言を理解する為
こんな旦那最高じゃないですか、みんなこっちがいいに決まってる。それでも過去のロマンスの、ロマンス味だけ楽しんで、ヘソンには特に感情も、この後の友情もないわけです・・・
友情くらいはあってもよいと思うのですが・・・
PAST LIVES 過去に生きる、だし、縁、でもあるけれど、輪廻転生とか、前世っていうのはなかなか危険な思想ですよ~そんなものは無いけど、一期一会的な縁なら、分かる気がします。
ヘソンはこのNY滞在のそれなりに幸福な、好きな女を訪ねたという思い出だけで、それなりに生きていける気がする。そして、私はそういう男性を、結構知ってる。