井の頭歯科

「ハロルドとモード/年は虹を渡る」を観ました

2024年9月24日 (火) 09:34

ハル・アシュビー監督     パラマウント     U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は27/89
凄くヘヴィな案件があって、心穏やかに暮らせずに、映画を観る気力が起こらないという困った事態でした・・・
全く何も解決していないし、なんなら悪化しそうな気配しか無いのですが、今は何も出来ないので、島本和彦著「逆境ナイン」のサカキバラ ゴウ先生の偉大な言葉「それはそれ これはこれ」を発動して、映画を観る事にしました。
今年の今の所の1位であるホールドオーバーズのインスパイア基であるハル・アシュビー監督作品だったので。
静寂の中、大きな屋敷の中のらせん階段を降りてくる男の靴辺りをカメラは捉えていて、音楽が鳴りだし・・・というのが冒頭です。
凄く良い映画。公開は1972年、アメリカでも1971年。
やはり通底知っているのはTendernessという事に尽きると思います。これは優しさとか柔らかさとか温かみのあると訳されていますけれど、そしてもちろんその訳が正しいのでしょうけれど、だとしても、英語のTendernessを理解しようとしないと伝わらない部分にこそ、この映画のポイントがある感覚になりました。
主人公は2名、恐らくかなりの富豪である母と二人暮らしの息子であるハロルド(バッド・コート)と、その趣味で出会う事になる79歳の女性モード(ルース・ゴードン)です。
私としては、分かる、ハロルド!という気持ちです。
この人の趣味は狂言自殺なのですが、厭世気分なんですけれど、そりゃそうなりますよね・・・あの母親が元凶で、まぁ境遇は恵まれているかも知れませんけれど、どんな場所にもその人にしか分からない地獄があるわけで、そりゃ、戦地や極貧状態に比べたら恵まれているという事になるでしょうけれど、それでも、その人なりの地獄である事に変わりはないです。
葬式が趣味、最高です。何もかもがくだらないけれど、それが世界なので、仕方ない。そしてモードのチラッと映るある体のパーツの模様で、出身が分かった時の戦慄。
大変良く出来た映画。私も心を新たにしました。
脚本も素晴らしかった。
凄くパイソンズ味のある作品とも言えます。
ホールドオーバーズを観た人にオススメします。
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