望月智充監督 スタジオジブリ若手制作集団 ル・シネマ渋谷宮下
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は42/116
スタジオジブリ作品の中で、もちろん観てない作品もありますけれど、観た事がある中で最も好きな作品、ですが、映画ではなくテレビアニメーション作品なのですが、なんと公開(1993年5月にテレビ放送)から31年も経過しているにも拘らず、映画館でかかると聞いて、足を運びました。原作は氷室冴子さん、何もかもが懐かしいです。
映画館、混んでます!え、30年前の作品で、そんなに有名ではない作品だと思うんですけれど、それもおじさん(私が筆頭の中期高齢者)とおばさんばかりかと思いきや、なんで若い人が????となりましたが、いっぱい入っているには嬉しいです。
色々伝説的な細かなチップスがあるのですが(若手制作の完成品を観た駿おじさんからのダメ出しとか、ヒロインである武藤里伽子の声の坂本洋子さんがすぐに活動を引退されてしまったり、方言指導では島本須美さんが入ってたり・・・)、そんな事よりも、映画館で、この作品が観れた事が嬉しかったです。
吉祥寺に住む大学生である杜崎拓は同窓会に出席するために、地元の高知へ・・・というのが冒頭です。
まず、かなり変わった設定なのが、高知から出てきた大学1年生の夏休みに、高校の同窓会に参加する話しなんです。4月に入学して、8月に帰省する、その際の同窓会・・・卒業して4カ月しか経ってない。
高校の同窓会には、1度も顔を出したことが無い私にも、かつて中学の同窓会の幹事をやらされた経験から、近過去でも過去は過去という時間を味わった事がありますので、ある程度分かります。つまり、18歳の大学1年生が、高校生活の2,3年生の頃を懐かしむ話しなんです。
そんな近過去の何処が面白いのか?を説明するのはとても難しいのですが、とにかく、回想シーンに回想シーンが入る、とても作り方としては上手くない手法がとられていますけれど、この方法でないとイケナイ理由も、私はあると思っています。
一目置いた中学校の友情と、高校時代のささやかな恋愛模様のアニメーション。凄く何も起こらない、でも、物凄く心に残る、そういう作品です。
1990年代、まだうちの国も全然普通に、スレてなかった、と言えば良い言い方になるし、ボンボン育ちと言えばその通りなんですけれど、まぁ牧歌的なわけです。
しかも、何かエモーショナルな事が起きるわけでもなく、現実ラインで(同窓会出席時の時間軸)では、〇〇〇に〇〇して終わりですよ・・・あ、ネタバレか・・・伏字にしました。
拓は基本良い子なんですけれど、男の子としては奥手でしょうね・・・まぁ普通にどこにでもいる、FMをエアチェックしている当時の高校生です。ああ、FMFANとかなつい(個人的造語:なつかしいの現在形 なつい )にもほどがある。
なんならヒロインの性格にも難ありなんです・・・境遇を考えると、そうなってもオカシクナイし、まぁ世の中の顔のイイ女子はスポイルされて育つでしょうから(まぁ基本的女は親からちやほやされて肯定的に育てられているのではないか?と思います、あ、女子の姉妹はいませんので、当方の幻想かも)、高飛車な女も存在するでしょうけれども。なかなかな性格です。
そんなキャラクターなのに、山場なんてほとんどないのにですよ・・・当時もなんでこの性格で?とは思いましたが、やはり顔に勝てる男子は少ない、という事です。顔が整っている、という事実がいかに男子に貴重か?という話しでもある。
名セリフは結構あると思ってます。割合多くの人の心に残る名セリフも、ある。ぼくだってごっつう可哀想やんか、30分で急に大人になったように見えた、僕だって時代劇の役者じゃない、辺りは、結構くるものがあったぞ(松野談)、です。
そして当時は全く知らなかった声優の世界の話しで言えば、主人公拓はカミーユ・ビダンであり、なんなら丸尾末男なんですよ・・・全然観ていた当時は気づかなかったです。
ドラマのクライマックス、それは驚天動地の事が起こらなくても、どんでん返し的な事が起こらなくても、感情や内面をセリフで吐露させなくても、やろうと思えばこれらを排除しても、クライマックスを作れる、という成功例の一つ。
そんな作品は数少ないですし、そして覚えていようと思わなくても、心に残る作品になるし、2024年ル・シネマ渋谷宮下で一緒に観た人たちにも残る作品だといいです、正直少し古びた部分を感じはしますけれど、当時は違ったわけで。
ドラマを描き切る、クライマックスとは?という事を考えてみたい人にオススメ致します。