ウ・ミンホ監督 クロックワークス Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は49/129
「ソウルの春」の評判が良いので観たいのですが、韓国の近現代史が全く分からないので、ちょっと調べてみると、ソウルの春に直接繋がる時期の映画が、このKCIAという事で観ました。
何というか、史実にどれだけ近いのか?は全然ワカラナイのですが、1979年の大統領の暗殺事件を扱った、一応フィクションという事になっているようです・・・というか、1979年って私9歳です・・・生まれている時代の政治劇なのに、軍事独裁政権・・・なかなか衝撃的です。
1979年10月26日にキム・ギュビョン(イ・ビョンホン)は仲間と頷いてそれぞれの道に向かうのですが・・・というのが冒頭です。
私の感覚で生きてる時代で、軍事政権だったのか?と思うと、独立するまでに、というか現在だって朝鮮戦争は休戦中で、非常に複雑な状況なのは、なんとなく理解出来るのですが、軍事政権時代がどのくらいまで続いていたのか?さえ知らないので、とても興味深く観ました。
非常に抑えた政治劇なんですけれど、革命を起こした人たちが権力を手にした事で、より強権的になっていった様が、それとなく伝わる様になっています。そして、凄く、マッチョイムズの世界。そして面子の話しをしています・・・まぁ私も男性なので、そういう部分がある事は認めますけれど、事象に対しての対処、その対処が、他者というか目上や立場が上の人の面子を潰すか潰さないか?の話ししかしていないように、見えます。凄く男性社会の話し。
途中、イ・ビョンホンが、危ない場面で声すら出せない、という場面があるのですが、その時の心情の移ろいを、表情と汗と目の演技だけで納得させられるの、凄い!!!!と思いました。
1970年代のファッション、というかスーツについても気になる映画です、イ・ビョンホンのスーツのテクスチャーまで感じさせる絵がイイです。
それと、韓国だけではなく、アメリカやパリにまで、その行動や監視があって、確かにCIAっぽい。
権力を握った人の、その人に任せると言っているようで、後から幾らでも難癖をつけられるセリフ、アレ恐ろしいです。これはコテンラジオのカルタゴ壊滅の際の、ローマ兵が言った「カルタゴ市民はどうすればいいか、良く分かってるよね」と同じだと思いました・・・
面子と権力、とても男性的だし政治的、というか政局の話し。
これはソウルの春が楽しみになってきました。
とは言え、この映画の結末、そしてエピローグに語られている部分、革命とかクーデターとか民主化だのいろいろありますけれど、結局ホモサピエンスは何処からか、ゲパルト暴力を用意しないと言う事を効かせられないわけで、とても動物っぽくもありますね。
それと警護室長、こういう所謂虎の威を借る狐的な権力をかさに着て威張るの、本当にイヤだし、下品。そして権力を握る事に執着しての自己顕示欲を満たそうとするところだけは真似するの、いますよね・・・
鳥居耀蔵を思い出させる人物。まぁそんな人物になりたくないけど。
面子も承認欲求もやっかいだけど、えばりたい欲はホモサピエンスの4大欲求に入れて欲しい。
韓国の近現代史を知りたい人にオススメします。
今敏監督 ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント Amazonprime
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は49/128
恐らくこれで未見の今敏作品は残り1つになってしまったわけですが、もう仕方がないですね、没後10年ですか・・・本当に残念です。
もう色々な所で言われてますけれど、今敏の影響力ってすさまじいものがありますね。
年末の東京のホームレスであるギンちゃん(江守徹)、ハナ(梅垣義明)、ミユキは・・・というのが冒頭です。
今敏作品としてはかなりギャグに寄せていて、大変に面白い作品。でも通してみたのは初めてです。これを観てしまうと、残る1つが「千年女優」だけになってしまったのですが、異教徒の祭りが近づいているので、何となく見始めてしまった・・・
当たり前ですけれど、大変に面白く、江守徹の存在感はちょっと別格に面白い。梅垣さんがこの映画の肝なんですけれど、まぁこの方もイイです。ミユキの人だけ、浮いた感じがするのですが・・・
話しは単純ですしどちらかというと連続スケッチみたいな感覚で観られます。
ノリも昭和な感覚が残っていて、90年代な感覚かと思いきや、製作は2003年!そうですか、という感覚です。
それでも、今敏監督作品、貴重な作品です。
今敏作品が好きな方、昭和が懐かしい方にオススメ致します。
フランチェスコ・ツィッペル監督 QUOIATFilms U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は49/127
エクソシスト、恐怖の報酬(Sorcerer)を撮ったウィリアム・フリードキン監督へのインタビューと、周囲の人や共演者、同業者の話しもまとめたドキュメンタリー作品です。
エクソシストを観たのはかなり前ですけれど、覚えていますし、まぁ小学生の頃だったので、怖い、で終わってたと思いますけれど、恐怖の報酬は、その前のアンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督作品と見比べても、私はマジック・リアリズムの感じられるフリードキン監督作品の方が好きです。そしてこの前に観たクルージングもそうだったのですが、とにかく物議を醸しだす監督に見えると思います。ですが本質的にはとても真面目な監督、真摯に映画に向き合ってる監督だと感じます。
そんな監督のドキュメンタリー作品なので見て見たのですが、まぁフリードキン語録がまさにパンチラインの連続で凄いです。
なので感想よりも、気になった言葉を抜き出して記録しておきます。
(エクソシストを作った時)20世紀にカトリック協会で悪魔祓いをした例はアメリカ国内では2件しか無かった
(エクソシストの子役のオーディションで)あなたはしたことが無いの?この一言で私はこの子に決めた
当時テレビ制作の学校なんか無かった 現場が学校だ 私が同世代の監督と一線を画しているのはそこだ
21歳の時に「市民ケーン」を観て映画監督になりたいと思った 200回以上観ているが何度見ても発見がある
「人民対ポール・クランプ」はドキュメンタリーとしての出来はよくないが1人の男の命を救った なんて強いメディアなのかと感じた
ドキュメンタリーの手法でフィクションを撮れる
(映画「フレンチ・コネクション」について ロイ・シャイダーが演じた刑事のモデル)ソニー・グロッソがまだ生きてるから電話して聞いてみると言い 1961年当時の事件をどのくらい再現しているか?と 95%は現実だ、と答えるに違いない
準備が出来たらカメラを回す リハーサルはしない リハーサルは臆病者とバカの為のモノだ
(ある撮影現場で)カメラマンが慌てて「ちょっと待って」車の車体の部分にカメラマンや撮影スタッフが映ってしまっているんだ だからどうしたんだ?撮影にカメラを使ってるのは誰でも知ってる だから車の車体にカメラが映ってたとしても誰も驚かない
私は完璧な映画など求めていない 自然な演技が欲しいんだ
俳優も監督も職業だ 芸術家だなどと抜かすバカがいるが頭がイカレてる
仕事をこなした先に芸術が生まれるかも知れないが 芸術家と呼べる人は少ない
フェリーニ、アントニオーニ、クルーゾーは芸術家だ フィリッツ・ラング、チャップリン、バスター・キートンは芸術家だ
私自身は芸術家だと思っていない そんな事を思ったら終わりだね
プロフェッショナルに徹してただ努力する事だけが大事だ
(映画「恐怖の報酬」について)リメイクだと思っていない 「ハムレット」は1601年に書かれて以来5000万回以上上演されたはずだ そのどのバージョンもリメイクではない
ハリウッドはこの一言で表現できる 成功すると多くの父が現れ、失敗すると孤児になる
最高のチェイスを撮った監督はバスター・キートンだ バスター・キートンに匹敵する人物は誰もいない 「キートンの大列車追跡」を観れば分かる
アメリカ最高の監督はキャサリン・ビグロー監督だと思う今のアメリカでは1番だ 若い世代で良いのはデイミアン・チャゼルだ
現実が映画にとって1番重要だとは思わない 現実を超えた作品を撮れる監督には敬意を感じる
映画のコンペティションなんて信じない だからどんな映画祭であれコンペ部門には出品しない 私に言わせればコンペティションは悪いジョークだ コンペなどと言うモノは宣伝に使われているだけだ
評価など主観に過ぎない
もちろん、コッポラやタランティーノの言葉も凄いんですけれど、本人フリードキンのインパクトの強さ、ちょっと凄すぎる。
フリードキンのファンの方にオススメします。
私もヤラレマシタ。サイコー。
サイモン・モックラー著 冨田ひろみ訳 東京創元社文庫
小島秀夫さんがラジオでオススメしていたのですが、そのオススメの仕方が大変に興味をそそり、手に取りました。
私の感想よりも小島秀夫監督のオススメを聞けばそれで良いのですが、私の備忘録なので・・・
1967年12月。アメリカCIAの陸軍病院で精神科医のジャックは頭と手を包帯で包まれた男と話をする事になります。ジャックはCIAの職員ではありませんが、CIAに勤める旧友から、時々このような仕事を任されています。しかし今回はなかなか変わった事件で・・・というのが冒頭です。
ミステリであり、どちらかと言えばハードボイルドなジャンルに分類されてもイイと思います。
アメリカ軍が秘密裏に、グリーンランドにとある施設を建設。その施設そのものは放棄する事になったのですが、その際3名の隊員が残されてしまい、救出に向かうと、完全に形を残さない程の焼死体というよりも歯と骨の塊の遺体、そして原型を留めている焼死体、そして手と顔面に重度の熱傷を負った男1名だけが救出されます。しかしこの男は記憶喪失になっていたために、精神科医ジャックが呼ばれたわけです。
この段階でかなりの謎が散りばめられています。一体何のための施設だったのか?何故3名が取り残されたのか?そして火災の原因は?何故焼死体の程度がこれほど違うのか?男が記憶喪失になったのは何故か?
この謎を解いていくわけですが、非常にリーダビリティが高く、ハードボイルド風味に仕上がっていて、謎解きのカタルシスも素晴らしく、帯のうたい文句のとおり、「真相の『その先』に、また驚く!」とありますが、本当にその通りでした。
映画化されそう!そして、凄くメタルギアソリッド的な話し。小島監督がオススメするのも納得です。
ネタバレにもならないのですけれど・・・私、この小説の登場人物の中でも特に家から連れ出された人が、かわいそう過ぎる・・・
ニック・ステイシー監督 Netflix
2024年公開映画/2024年に観た映画 目標 36/100です。 現在は49/126
まぁ当たり前の話しには聞こえますし、この映画が為になる人に届くか?が1番重要なんですけれど、あまり届いていかない気もします。
基本的にはリテラシーの話しだと思いますし、衝動を押さえつける訓練をしたことがあるのか?という事に尽きます。
もしくは足るを知る、という事。
でも、ね・・・2024年12月13日現在、次期アメリカ大統領が生まれると、嘘をついても別に問題ないし、なんなら得をする事、金持ちになる事にてらいがなくなる世界に突入するんでしょうし、環境汚染なんて存在しない事になるでしょうから、まぁどうなんでしょうね、という気分にはなる。
地球の為には早めに人類が滅びた方が良い気にはなる。
抗うのは難しい事でしょうけれど、知りたい人にオススメします。