井の頭歯科

「クルージング」を観ました   Cruising/William Friedkin’s Cruising

2024年12月3日 (火) 09:17

 

ウィリアム・フリードキン監督     ワーナーブラザーズ     シネマート新宿
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は45/120
とある方にオススメしてもらったので。まず、フリードキンなので、面白いに間違いないです。が、内容全く知らずに行ったので、凄く、控えめに言って、物凄く、驚きました・・・
NYの港にむけて海の上を走る船舶の上に立つ男が何かを見つけて・・・というのが冒頭です。
肌色多めの映画ですが、オススメです!終わりにしたいくらいですが・・・
人は選ぶと思いますが・・・まず、1980年公開の映画ですが、何故か今リバイバルされてます。
そして、ある意味都会の秘境を描いた作品。サスペンス要素あります、予告でも流れていますけれど、おとり捜査を行う事になった若い警官バーンズ(アル・パチーノ)が潜入するのが、凄い秘境でして・・・
虚心坦懐に、フラットに観ようと思えば、全然出来てしまう、ある種の異世界の話し。私はその異世界にあまり興味が無かったので、一体どういうことなのか?全然知らないのでフラットにみたつもりです。異世界探索とあまり変わらないです。
それと、まぁフリードキンの作品なんで当たり前だと思いますけれど、多分いろいろ本当の人を出演させていると思います。そうでないと、逆にいろいろな意味での偏見に加担する事になりますから。
私は正直フリードキンの作品をすべて見ている訳では無いのですが、やはり、「エクソシスト」よりも「恐怖の報酬 Sorcerer」が好きな人間です。
アル・パチーノが身体を、文字通り身体を張った演技をしていますし、ラストカットなんという目をするんだ!と思いました・・・
1つ多分こういう演出が独特!と思ったのは、演技も最高なんだけれど、ダンスするシーンです。恐ろしいまでにキャッチコピーでも使われている『闇を覗くものは、闇に覗き込まれている』的な沼にはまる瞬間のシーンなんですけれど、恐らくですけれど、これ倍テンポの画像を音楽に合わせて流していると思います。だからこその狂気性がある。で、こういう細やかな演出に手を抜かない、というか抜けないのがフリードキン。恐怖の報酬での技術班が爆破できない物体をNYのその筋の友人を連れてきて爆破させるとか、こういう逸話が多い人です、恐ろしい。
しかし、いつもながら、フリードキンの映画は普通じゃない。
音楽は結構カッコイイけれど、誰が誰やらでした。異世界の住人が歌ってるのか?普通の世界の人間の歌の中に異世界の住人が好きになる曲があるのか?も分からなかったけど、良い曲が多かった。
そういうわけで、異世界に偏見のない人にオススメします。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想になりますので、未見の方はご注意くださいませ。
先ずその異世界が、ゲイの世界なんですね・・・非常に驚きましたよ・・・フリードキンそんな映画作ってるなんて知らなかった。
で、かなりのハードな人達なんだと思いますし、恐らく、本当に、あのような世界が繰り広げられているのだと思います・・・偏見が0ではないですけれど、びっくりしましたし、全然知らない事なので、まぁ興味本位で付いていく感じです。
と言いながら、後から振り返ると、既にフリードキンのマジックにやられていると思います。何しろ主人公と観客が共犯関係にある形になりますから。
まず、この異世界のルールが分からないし、バンダナにそんな意味があったなんて!ですよ・・・
ここで思うのが本当に男性って(私含む)権威に弱いし、権威に縋る生き物なんだなと思いました・・・なんというか、そういう部分に無自覚ですね・・・ヒエラルキーがある世界なら秩序が保たれるけれど、無い世界だと、己個人が1番じゃないと気が済まない・・・というか俺の世界に入ってくる奴は俺に敬意を示せ、的な行動を行ってるように見えました・・・
しかも、めっちゃくちゃに衝動、自我の忘却を目指す事に衒いが無い。私のいる世界の私個人の解釈ではあまりお上品とは言えない・・・もちろん、この異世界にも上品さとかのルールとか作法はあるのでしょうけれど、異世界過ぎて分かりません・・・
そんな中に入っていくアル・パチーノの度胸は凄いと思いました。まぁ野心ですけれど。
で、自らの中の何かが目覚めていくわけですけれど、この映画の終末があまりよく理解出来なかったし解釈が開かれてる。複数の解釈があると思います。
刑事になり、彼女とも関係が修復しているはず。でも、おとり捜査時の隣人が殺害されているし、その犯人は描かれていない。また、あの犯人が本当に犯人だとして、何故遺体を切断したり、放置したり、するのか?不明です・・・
というかそもそも、捕まえた人物は明らかに顔が違います・・・
そもそも、犯人だとする男の生い立ちなり不届きの手紙の束・・・かなりの病質を感じます。
ですが、それが、どうして、殺人衝動に繋がるのか?不明です。
おとり捜査時の隣人の同居人、彼が真犯人だとする何かしらの映画内での示唆があったのでしょうか?見落としているかも・・・
それとも、関連性は低いけれど、いわゆるゲイを毛嫌いする人間の犯行なのか?
または全く関連性のない、単独犯が複数存在しているのか?
アル・パチーノがあの後どうなったのか?恐らく、異世界との繋がりを認めつつも、私の解釈では、上役の刑事部長の驚きの言葉で、新たな捕食者が生まれてしまったのではないか?と思うのです・・・
つまりこの映画、
1 切断している犯人 捕まらない
2 異世界の人をターゲットにしている犯人 捕まらない
3 病質的な学生 犯罪を犯しているか不明 捕まるけど誤認逮捕(?)
4 アル・パチーノの隣人の犯人 捕まらない
5 新たな行為者 アル・パチーノが誕生
という解釈も出来ます・・・
何も解決していないどころか、新たな犯罪者を生み出しているとも言える・・・
色々だ誰かと話してみたいです。
それにあの取調室でのデカい男の、あの格好はなんで???そしてお前は誰??という作品の細部も謎に気になります。
あ、割合冒頭の身元不明死体解剖の部屋は、恐らく、本物だと思います・・・フリードキン恐ろしすぎる。後ろの方にシャーカステンがあって、そこにいろいろ気になる写真が貼ってあるの、あれは絶対、フリードキンが選んでいる気がする・・・
他の人の感想で解けるかも知れません。これからいろいろな感想を除いて観ようと思います、こういう時にネットがあると便利です。
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