井の頭歯科

「密輸1970」を観ました

2025年1月14日 (火) 09:13

リュ・スンワン監督     NEXTENTERTAINMENTWORLD    U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   0/3
2024年作品で見逃したのを拾っていますが、これは大傑作!観ておかねばならなかった!後悔しています。観ていたら、ベスト10に間違いなく入っていたと思います。
1970年代半ば、クンチョン 軽快な歌謡ロック調の音楽に乗せて漁船が海をかけていき・・・というのが冒頭です。
脚本、絵の良さ、画角のカッコよさ、演者、音楽、小道具、もうどれも物凄く高いです、最高にエンターテイメント作品!2024年の映画の中でここまで、エンターテイメントに振り切った作品には出会えなかったですから、エンターテイメント度で言えば100点満点中で500点くらい出してる作品です。
まず、何と言っても脚本が素晴らしい。二転三転するケイパーモノと言えると思いますが、仲間なのか敵なのか不明だったり、黒幕のようで、どうなんだろう?と考えさせられます。しかも状況の設定が物凄く上手くて早いんです。
錆びれた港町で、遠景にはもくもくと煙を上げる工場が見えるだけで、海女さんの商売である貝や漁業に影響が出ているのが分かる絵が上手い。そしてただの海ではなく、美しさもあり、綺麗なんです。
時間経過の見せ方も秀逸で、なんだかアニメーション表現だとよく使われる手法だと思うのですが、物語に必要な時間経過さえも楽しませる工夫をしています。手を抜かない!
音楽も非常に心地よい所に多が届く感じで、歌謡曲っぽいところから、もう夕日のガンマン的な西部劇とか決闘で流れる感じもあり、サイコーです。なんか初代ルパンの大野さんの曲みたいな感じさえある。
ここに、さらにキャラクターが乗ってくるわけです。しかもこれはチーム戦もあるし、個人戦もあるし、なんならバディモノでもあるし、頭脳戦あり、肉弾戦あり、ハンデ線まであります。各キャラクターに、必ず見せ場があり、その上性格が妙にとっ散らかった感じの人が多く、予想がつかないです。
あ、基本ブラックなコメディでもありクライムサスペンスでもあり、そしてバディムービー。それもシスターフッドモノでもあります・
特に主演の2名、海女さんのリーダーであり精神的支柱・漁船の船長の娘ジンスクを演じたヨム・ジョンアさん、そして幼少期からジンスク漁師一家の家政婦として働きジンスクの相棒チュンジャを演じているキム・ヘスさんが本当にアツい。しかも、どう見てもこの人たち、30歳くらいかと思いきや、私と同年代でした!!驚愕!!!
この2名とベトナム帰りの軍曹で今は密輸王のクォンを演じているチョ・インソンさんの、悪役における紳士という立ち位置が見事にハマっていて素晴らしい。サイコー。この人の出ている場面すべてがゴージャスに見えるんです、場末のホテルだろうが、雑居ビルの一室でも、ゴージャス、つまり華がある。それでいて何をするか分からない不穏さも十二分に感じさせてくれます。
あ、もう1名良かったのが、やはり成り上がり者なんですけれど、めちゃくちゃ演技が上手くて笑える喫茶店経営者オップンを演じたコ・ミンシさんも凄く見せ場を作っています。
このほかにも、漁船船長、その息子の、もう地元民にしか見えない着崩し方というか服装も最高ですし、1970年代!という感じの色味も最高です。
それと、これは「ファミリー」という渡辺多恵子先生の漫画で知ったローラーゲームのホイップの水中版が観られて、大変アツいです。なんというか急にいろいろ思い出されて本当に記憶って不思議。
これは未来世紀ブラジルでも感じられるレトロフューチャー味があるんです。ただの過去なのに、華やかに強調して見せてくれて、こういう所で、ああコメディなんだな、結局のところちゃんと笑わせてくれるんだな、という安心感を感じさせているひとつだと思います。
女性同士の意地の張り合いや、女だからこその任侠めいた関係性、そして虐げられてきた者たちの巻き返し!しかも腕力に劣る男性に対して、頭脳と特技で挑むのサイコー!
バカみたいな感想ですけれど、頭が悪くなるくらい面白かったです!
それと映画「アシュラ」へのオマージュありましたね、ああいうのも最高。
エンターテイメント作品が観たい人に強く、強くオススメします。

「阿修羅のごとく」を観ました     

2025年1月10日 (金) 08:59

 

 

森田芳光監督     東宝     U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   0/2
今年から目標の数字を上げたので、頑張らないと・・・
というわけで、U-NEXTさんのマイリストの消化もしないとと思い出したのがこちらです。観終わったら、Netfkixさんで、しかも是枝監督で映像化の情報が!!!今見ておいて良かった。
あと、私、森田芳光監督作品があまり好きでは無いのは、最初に「愛と平静の色男」を見ちゃったせいで・・・なんか上手くハマらない監督さんだったのですが、今作は役者さんが面白くて、脚本も面白く、なんと言っても仲代達矢さんが出てるので、最後まで楽しめました。
四姉妹ものって色々あると思いますが、若草物語は未読ですけれど、ジェーン・オースティン著「高慢と偏見」、谷崎潤一郎著「細雪」、そしてなんと言っても金井美恵子著「恋愛太平記」は最高の小説ですから、どれも大好きですし、どの作品でも一番感情移入できるのはやはり父親ですね。恋愛太平記では父は亡くなってたかな?
そういえば、漫画吉田秋生先生の「海街diary」も四姉妹モノですね。
阿修羅の映像にナレーションで阿修羅の辞書的な説明が入ります。そして三女からの連絡を受けて四姉妹が集まるのですが・・・というのが冒頭です。
長女に大竹しのぶ、次女に黒木瞳、三女に深津絵里、四女に深田恭子と夢のようなキャスティングですけれど、まぁこんな姉妹がいたら濃過ぎてちょっと怖いですね。この映画のキャスティングは本当に凄くて、父は仲代達矢!母が八千草薫!次女の夫に小林薫!愛人に紺野美沙子!もうこの人たちにベストな配役だと思います。特に紺野美沙子を連れてきた人、鋭すぎる!そういうふうな人にしか見えなくなってしまいました。
NHKのテレビ版があるみたいで、それ用に脚本を書いているみたいです。
今は過去となりし昭和がセットもあるけれど、結構映像化されてパッキングされているようです。例えば、本当にハッピのような格好の植木屋さん、流しの豆腐屋の笛の音、病室の暗さ、電話の重さ、そういった昭和には普通に存在していた様々な事象が記録されていて、すごく見どころが多いです。
それに基本コメディだと思います。
女性が怖い、というのはなんか分かる話しでもありますし、その怖さって理解が及ばない、という事なんですけれど、女性からしたら男性の方がよっぽど怖いでしょう。
腕力でも、そうですけれど、基本宮台真司が言ってましたけれど『男性は世界を変えたがるが、女性は自分を変えたがる』わけで、それも腕力からきている処世術なのかも知れないし、そういう風に育て上げられ、刷り込まれているのかも知れません。
けれどホモサピエンスの長い歴史の中で、男女平等が、それでもある程度実現しそうな(もちろん程遠い部分もあるし、そもそも完全な平等なんて無いのですが、目指す事は重要 なにしろそれで被害が存在するのであれば特に)現代になるまで、20万年前から存在して、歴史として振り返れる、社会を形成してからどのくらいなのか不明ですけれど、まぁ文字が存在するの紀元前3000年くらいだとして、5000年の間、全然平等に扱われていないわけで、暗い気持ちになりますよね、女性なら当然。
そもそも私は別の生き物な気がするくらい、感じ方、考え方が違う気がしますし、議論とか意見交換よりも感情の肯定をベースにしている感覚もあり、理解し合えないとしても、だからこそ理解しあおうという努力を払い続けるという意志が重要な気がします。
よくできた脚本ですし、役者さんも良かった。深田恭子が何故呼ばれたのか?は不明だけど、垢抜けなさ、なのかなとも思う。今というか、最近と言っても何年も前ですけれど、全然顔が違って見えますね。
女性の方にオススメします。

「チャレンジャーズ」を観ました

2025年1月7日 (火) 08:44

 

ルカ・グァダニーノ監督     AmazonMGMstudios     Amazonprime
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   0/1
あけましておめでとうございます。
2024年に評判が良かったけど見逃している作品を少し拾っておこうかと。どう考えても地雷臭がしたんだけれど、結構な人がこの作品を挙げていたので。
まず、そもそも恋愛関係の作品に興味が向かないのもありますけれど、三角関係って、まぁ当事者の頭に虫が沸いているわけで、本人たちは楽しく執着をかけあっているのでしょうけれど、それを作品として、とくに映画として面白味を感じるか凄く微妙な感じがします。
で、まぁ私向きの作品じゃなかったです。
スローモーションの中、汗が滴る2名の男性と女性の顔がアップで・・・が冒頭です。
まず、この男性2名が、女性に惹かれるわけですけれど、そしてもちろんゼンデイヤですから、分からなくもないんですけれど、この関係性がどうにも飲み込みにくいんですよね・・・まぁボンクラ男性2名のきゃっきゃうふふ的な、妄想逞しく観れる人は良いのですが、なんか、ね。私前期高齢者ですし、そういうのはもう、ちょっと・・・
映画のラストに関しても、んじゃ、今までのはなんだったん???としかならなくて、勢いだけの映画に乗れないと、どんどん醒めていくな、というのがまぁ感想です。
評価している方々は、ここをこそ、評価していて、非常にエモーショナルにアガって昇華した作品を見た事がない、とおっしゃっているのですが、乗れない人からしたら、最後のアレは?????しか浮かばないですし、全然クライマックスになってない気持ちになります・・・
夢中になれるモノがあるって素敵な事です。でもずっとはなかなか続かないモノです。
だってこれ、男女逆にして考えてみたら、恐らく女性側のフェミニストの人たちは怒り出す案件だと思いますよ・・・
夢中になれるモノがまだある方にオススメします。
attention please!


ここからはネタバレありの感想なので、未見の方はご遠慮ください。




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ネタバレ有で言うと、
まず、同じ1人の女性を好きになったとて、同じ部屋で同時に、というのはちょっと意地悪すぎやしないか?とも思いますし、自分だけ抜けて観察も、まぁ意地悪ですよね?これってBLメガネをかけている人であったとしても、壁として観ていたい、という気持ちまでならある程度理解出来るものですが、自ら実行者になるのって、なかなかな神経の持ち主だと思いますし、そもそもその2名から1名を選んだうえで、たまたまケンカした後に選手生命を絶たれる傷を受けたとて、それは試合の中での話しで、ケンカした彼の責任ではないと思いますけれど、どうなんでしょうね・・・
おそらく、BLメガネをかけているという認識がある人には問題ないです、問題があるのは、BLメガネを外せなくなった人だと思うのです。全ての要素に、BL的な人でも物でも対象が好きと嫌いだけの関係性、もしくはそれを隠している、という邪推にも似た関係性しか見えなくなっている事に問題があるのではないか?と思います。
男女が逆転してたら、物凄く都合の良い、男性(誰もが惚れざるを得ないスター性 があったとして、まぁ惚れない人も存在すると思うのですが・・・)が2名の女性を勝手気ままに乗り換えたり、都合よく関係を迫ったり、挙句、子供も居るのに乗り換えたりしてたら、その2名の女性がテニスの試合の決勝戦、公衆の面前で、試合そっちのけで、急にハグする・・・えっと、どうですかね?面白いですかね・・・私はファンタジーに見えます。
ゼンデイヤになって、観てたら気持ちいいのでしょうか?子供もいて、それでも両方から求められる事を?それも御冗談を、という事になりかねないような。
役者さんは頑張ってると思いますけれど、私は男性だから実感あるけど、こういう2人組ってまずいない、夢の存在だと思うけれど。
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