向田邦子脚本 NHK U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 4/13
阿修羅のごとくは3話で概ね完結していると思います。ただ、恐らく、非常に人気が高く、続編を作りたくなったんだと思います。
その上で、向田邦子が書いた作品、と捉えた方が良い気がします。あくまで母と次女である巻子の関係性、姉妹との関係性の上で、女性の生きにくさ、恐らくモラルとか道徳とか規範の中での葛藤を描いた傑作。
ただキャラクターは生まれたので、キャラクターのその後を観たくなったんだと思います。それに向田さんも書きたかったのか?要望を受けてなのか?はよく分からないのですが。
前回のドラマ化から1年後に放送されていますし、およそ1年後の話し。
そして、やはり主役は巻子である八千草薫さん。
丸谷才一の何の小説だったか?完全に失念して今ったのですが、ラストに妻が軽犯罪を犯すのですが、ほぼ同じ展開で始まります。
このPartⅡは恐らく、この時代の女性のメインストリームである専業主婦の次女である巻子、そして亡くなって不在となった母との関係性と、対比して娘を演じている荻野目慶子との関係性が軸なんだと思います。
もちろん四姉妹も出て来ますし、それなりの比重は増えているのですが、最も強いテーマは娘との関係性で、この時代で専業主婦であれば、離婚という手段が非常に、非常に取りにくい状態での葛藤を描き、さらにここに娘が気付いていく事で、女性であるというだけで受け入れ難い我慢を強いられている状況を描いているのですが、それが再生産される可能性を示唆していて、確かにキツい。
それと、このオリジナル版でしかないセリフも多くて、特に娘との会話で非常に重要な、徹夜仕事の夫に服を届ける場面の重みが全く違うのが印象的。もちろんカットされている理由も、現代のコンプライアンスというか常識から明らかに逸脱しているわけで、理解はできますけれど、それって結局、昭和を描けていない、お為ごかしな訳で、Netflix是枝版の評価が下がる一方です・・・
代役となった巻子の夫露口茂がすごく良くて、恐らく本木さんはこっちを参考にしているのがよく分かった気がします。
そしていつも思うのだが、それが真実だとしても、違ったとしても、私の目から見ると、気分によって行動が変わり、その後先をあまり考慮していない、ように見えるとか書いてしまうところが全人類の半分を敵に回してしまいやすい私の特徴・・・確かに相手に共感する力、感応力が強くそれが軸なんでしょうけれど、相談じゃなく話を聞いてほしいのだというのは理解できるけれど、それを相手がどう考えリアクションするかは相手の自由、というような考え方が私に取ってはフェアであると思うので、フラットな状態が無いというのは、なかなか大変だろうとは思います。行動に発生する責任とか義務とかまでは考えてないというか、行動こそに意味があるのように感じます。あなたと私の関係性は特別、というのがそもそもの出発点なんでしょうか?この辺は全然ワカラナイ。
岸辺一徳が出てくるのも、唐突な気もしますけれど、まぁそういうこともあるんでしょう。
相変わらず父の佐分利信の重み、コメディ要素ゼロ。この辺が素晴らしい。父周囲の演出もカメラもアップを多用しているのですが、それだけでなくローアングルも多くて余計に小津安二郎味が強い。
昭和50年代、私も生きてましたけれど、この時代はまだ戦前の記憶があり、南無阿弥陀仏の威力もちゃんとあるのが、たった40年前のドラマなんですけれど、感覚が全く違いますね。
蛇足、とまでは思わないけれど、ちょっとメロドラマ感は増してるし、予告の煽りも不要だとは思いますが、もし再ドラマ化するのであれば、やはり舞台は現代、令和にしないといけなかったと思います。
向田邦子作品に興味のある方、Netflix版や森田芳光映画版を観た方にオススメします。