グレッグ・モットーラ監督 ミラマックス
「宇宙人ポール」のコンビであるサイモン・ペッグとニック・フロスト出演作は面白かったので、今度は監督だったグレッグ・モットーラ作品を追いかけて見ました。
1980年代のアメリカ。ジェイムズ(ジェシー・アイゼンバーグ)は大学院進学を控えての夏休み。残念ながら彼女にはフラレたけれど、夏の卒業旅行で回るヨーロッパでの放蕩生活を勝手に皮算用する垢抜けない、しかし真面目一辺倒でもない、でも何処か現実に馴染めていない思春期後半の典型的モテない男子です。ところが、父親の減給により全ての計画がなくなり、ひと夏をアルバイトして大学院の学費を稼ぐはめになってしまいます。落ち込むジェイムズに追い討ちをかけるかのごとく、見入りの良いバイトにはなく、寂れた遊園地である「アドベンチャーランド」でバイトをするのですが・・・というのが冒頭です。
この作品も青春モノであり、そしてよく考えると「宇宙人ポール」にもそういう要素があります。この映画はしかし、直球の、青春モノであり、その年代が80年代に置かれているからこその、知っている人にはノスタルジック感であり、知らない人には不思議な世界に見えて面白いと思います。
キャスティングも絶妙でして、「ソーシャルネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグに「イントゥ・ザ・ワイルド」のクリスティン・スチュワートだけでも素晴らしいのに、その脇を固める役者さんも素晴らしかったです。個人的にはジョエル役のマーティン・スターと遊園地園長役のビル・ヘイダーが素晴らしかったです。
そして何より音楽の使い方、その場面にあっていて最高です!いや~私も80年代を生きた1人の人間としてヤラレました。ネタバレになってしまうので書けませんが、久しぶり過ぎましたし、当時としても異色中の異色なアノ曲を今聴くことになるなんて、しかもアドベンチャーランドではヘビーローテーションでかかっていたなんて、可笑し過ぎます。
ジェシー・アイゼンバーグの、内省的でどこかピントがズレた感覚の演技にも非常に説得力があり、眉間にしわがよる様や微妙に自信を覗かせる瞬間の瞳のきらめきが、個人的にはグッときました。また、相手役のクリスティンの微笑みはまさに美少女でゴージャスでありながらも、日常にいるギリギリのラインでいてくれてなんだか納得。おそらくコスチュームや服装のせいだと思いますが(特にアドベンチャーランドのTシャツの凡庸さは、たとえ凡庸さの極みを目指していとしてもなかなか表現できるレベルではないです、なので今凄く欲しいTシャツです、一見の価値ありです!)、どうしようもなく平凡で浅いことを、まさにジャンクの時代だった80’という感じで良かったです。
ストーリィ自体は割合よくある話しかもしれません、しかし、その説得力の大きさ、そして何処か映画のストーリィとしてのスムーズさと荒さがアンビバレント且つ奇妙なバランスがあって、リアルに感じさせてくれます。その説得力の出し方(が、何処かにいそうで、しかし映画的だけれど少し違和感も残したキャラクターであり、設定だと思うのです)を、この監督グレッグ・モットーラが目指して作ったのなら、稀有な作品だと思います。
青春モノが好きな方、80’を生きた方にオススメ致します。
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