ジョージ・クルーニー監督 松竹
ジョージ・クルーニーは出演作のレベル高いと思いますし、演技も上手いと思うのですが、監督作品は見たことが無かったのと、なんと言ってもライアン・ゴズリングが出演している、という事で見ました。ライアン・ゴズリングと言えば個人的な2010年に見た最も衝撃的映画である「ブルー・バレンタイン」の主役であり、スタイリッシュ作品の「ドライブ」の主人公でもあります。なので興味惹かれました。
民主党の予備選挙を戦う知事マイク・モリス(ジョージ・クルーニー)は対立候補であるプルマン候補と厳しい選挙戦を繰り広げています。討論会場の下見に訪れたモリス陣営の選挙参謀主席を勤めるベテランのポール(フィリップ・シーモア・ホフマン)とその補佐であり広報官スティーブン(ライアン・ゴズリング)。2人の補佐によりモリスの支持率は僅かながら対立候補であるプルマンを引き離しています。討論会場ではプルマンの選挙参謀であるダフィー(ポール・ジアマッティ)とのつばぜり合いもありますが、モリスの人柄、弁舌、信念に心酔しているスティーブンは何とかモリスを大統領にしようと選挙戦を戦っています。そんなスティーブンに電話があり、なんと相手はダフィーなのですが・・・というのが冒頭です。
まず、邦題に違和感があるんですが、原題が「The Ides of March」でこのニュアンスもよく分からなかったです。何故か「ジュリアス・シーザー」の台詞のようなんですが、裏切り行為を指すのでしょうか?副題の~正義を売った日~というのもちょっと違う気がします。ネタバレになるので違和感を説明するのは避けますけれど。
映画の出来栄えとして、かなり良かったです。ロンド形式になっていてるのも余韻が楽しめますし、何よりキャスティングが絶妙で素晴らしかったです。ポールにフィリップ・シーモア・ホフマンは最高でしたし、アイダという新聞記者を演じたマリサ・トメイが最高にフィットしていたと思います。この2人は「その土曜日、7時58分」(シドニー・「12人の怒れる男」・ルメット監督作品)でも共演してますがこの作品(かなりの傑作と思ってます)にも負けない面白さがあります。もちろん主演のライアン・ゴズリングも、ジョージ・クルーニーも良かったです。知らなかったんですがダフィーを演じたポール・ジアマッティも素晴らしかったです。逆にインターンのモリーを演じたエヴァン・レイチェル・ウッドはイマヒトツに感じました。背伸びはしても子供感があまり感じられなかったですし、終盤の決断までの幅を感じられなかったです。が、基本的にはどの方も良かったです。
脚本が面白く、スティーブの成長物語としても面白いですし、選挙戦の様々な事柄とその対処や落としどころ、妥協のと言われても実現のために必要な事を築いていく手法が面白かったです。何を持って信頼に値するのか?とかアイデンティティの崩壊に近い出来事、そして演者ライアン・ゴズリングの顔の見せ方見られ方、最初と最後で同じ人が違って見える、という部分が素晴らしかったです。その効果を最も高める演出であったのが記者アイダを勤めたマリサ・トメイも良かったです。
ある意味今タイムリーな選挙の話しに興味のある方に、ライアン・ゴズリングが、ジョージ・クルーニーが好きな方にオススメ致します。
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