堀江 敏幸著 青土社
短編集というか、エッセィというか、散文というかは、作者本人にも特にジャンル分けを意識して書いていないと思われす。読まれた方それぞれが判断すれば良いかと。
しかし短編一つ一つが素晴らしい出来です、きっといつかまた読み返したくなるそんな作品ばかりです。
表題作の「おぱらばん」も一体どんな意味の何の言葉なのかはあっと言う間に分かる、そこまで読めば何と言う事も無い不思議な響きの言葉が、短編を読み終わると、その言葉がひどく愛らしくまるで手の中に納まった子猫の様に感じられます。
その他にも単館上映されている映画のタイトルの様な作品名の「留守番電話の詩人」(この話しはかなり好きです!いくつもの全く関係の無い小さな流れが絶妙の関係で合流してこのタイトルの元へと流れ込んできます!最高です)、視覚的広がりと美しさを連想させるタイトルの「貯水池のステンドグラス」(私にとってのベスト1です!ゲラシム・リュカ、いつか読んでみたいです)、タイトルから想像していたカラミになっていったにも係わらずさらに深い仕掛けと繋がりを与えられた「黄色い部屋の謎」、等どの作品も素晴らしいです!
最後のボーナストラックの様な「のぼりとのスナフキン」にもヤラレました!あの(どの、あの、なのかは読んだ人だけ分かります!)スナフキンは確かに独特のスナフキンでした。
通勤時間に3か月がかりで昨日ようやく「金閣寺」が読み終わり(いろいろキツかった)、次はもっと優しい気持ちになれそうな読み物がいいと思っていたところでした!助かりました、さっそくおすすめを読んでみます。
五十嵐さん! コメントありがとうございます。
薄くて読みやすく、しかも短編のようなつくりになっておりますので、きっと読みやすいと思います。もちろん内容も気に入っていただけたら幸いです。「金閣寺」と比べたら読みやすいのは保障いたします(笑)
私は大好きな本です、多分3回は読み返していると思います、「回送電車」のシリーズや「いつか王子駅で」も好きな話しです。フランス繋がりできっと面白く思っていただけると思います。
昨年末に中学時代の友人と会った時、学生時代読書嫌いで本を全く読まなかったから、今後悔して本を読むように努力していると彼女が言ったので、「私も私も!」と同調してしまいました。聞けば本を読まない理由も全く同じで驚きました。
・・・読むのが遅いから・・。だから投げ出してしまうのです。
猫を飼い始めた彼女は「吾輩は猫である」を読んでいて(私はその時「金閣寺」)、小学生の息子に「全然進んでない」とチェックされているそうです。
この本読みました!でも、まず2編読んだところで「わたしはパリをよく知らない」と気づいて「Paris、Je t’aime」(訳すと「パリ愛しているわ~」?!)というフランス映画(DVD)を借りて見て例の{お・・・」をセリフの中にみつけ、オオッ?!でした)、その後立ち読みで「パリが呼んでいる」を斜め読みし(前作ほどピンときませんでした・・)、また雪降る中「レ・ミゼラブル」を見に行き涙が止まらず(これは私も思うところたくさんです)・・・と、中断しながらも「パリ」にひたりつつ読み終わりました。
遅読は困りものなのですが、その原因の1つがこの本を読んでわかりました。読んだ文章の一片から自分の過去の出来事が次々に浮かんで、その連想でつまづいて読んでいる物語の流れがわからなくなり、文章を何度も読み返す派目になっていたのでした。これだからだ、と思いました。
しかもさらに、この本は著者の連想(引用)が折り混ざっているじゃないですか・・。私の連想に、物語に物語・・本当に・・混乱でした。
目の前の現実をみて過去読んだストーリーが浮かぶのは、読書を愛する人の回路なんでしょうか?先生はどうですか?その部分、堀江さんに共感するんでしょうか。
おそらく堀江氏が渡仏したのは私の行った数年前で、滞在年数を予測するともしかすると同じ時期にフランスいたかもしれないです。ケイタイもネットもない時期ですね。だからか、状況に「わかる部分」が多かったです。日の落ちた時刻に知らない町で道に迷う、とか、家探しに苦労する、とかいろいろ同じことがありました。そういう意味でも、私が特にいいと思ったのは「おぱらばん」「BLEU,・・・」「クウェートの夕暮れ」「手数料なしで・・・」「M」などです。(人質事件の最中だったのでマグレブ話に動かされました。)
JP西さんよりも堀江さんに会ってみたいです。
五十嵐さん!コメントありがとうございます!
私も読むの遅い方だと思ってます。時間かかる作品、知らない事をたくさん扱っている作品、文体が馴染み無い作品、単純に難しい単語が多い作品、どんな場合であっても時間かかりますよね。
ただ、私は読書の面白さは想像力にあると思います。頭の中で個人的な絵が出来上がっていく様はまさに限界が無いと思います。だからかこそ、原作のある映画化された作品は贔屓目に見ても残念に感じてしまう事が多いのだと思うのです。最近はやっと監督の「映画化するに当たっての意図」を汲み取れるようになってきましたが(もちろん勝手な私個人の思い込みでしょうけれど)。
映画「パリ、ジュテーム」は面白そうですね、是非DVD見てみようと思ってます。パリが舞台だと、私は映画なら「アメリ」ジャン・ピエール・ジュネ監督作品と「パリのランデブー」エリック・ロメール監督作品、そして「汚れた血」レオン・カラックス監督作品が好きです。
堀江さんの作品は、特に私も思考が脱線しますよ。また恐らく意図的に堀江さんの作品はその傾向が強いと思います。だからこそ、その散文的な魅力は非常に高いと思います。個人的には大好きな作家さんの1人です、私も会って見たい方です。
堀江さんの文章はとてもヒロガリがあって、大好きです。私も子供の頃から空想や妄想の世界に出入りする傾向の強い人間だと思いますし、読書が趣味の人はこの傾向が強い方が多いと思います。ので、私も現実をみて過去の作品やその本を読んでいたときに思ったこと、その時の匂いや光の加減なんかを思い出します。よくメンドクサイ人、と言われます(笑)
堀江さんの本に触れて、しかも面白かったと言って頂き、とても嬉しいです!読書は他の娯楽と比べても非常にコストパフォーマンスの良い娯楽だと思います。是非オススメの作品あれば教えて下さいませ!
堀江さんの作品ですと、「回送電車」(中公文庫)「いつか王子駅で」(新潮文庫)「熊の敷石」(講談社文庫)がオススメです!
特に「熊の敷石」はフランス郊外の話しで有名なあの場所が出てくる部分の描写は、まるでその場に立ったかのような錯覚に陥りました、私は海外渡航経験が無いのに、です。素晴らしい文章ですよ。
「おぱらばん」のあと、引き続きフランス物を読もうと思って日を置かずに読めそうな本を物色しました。タイトルが変わっていて薄くて、パラパラめくったら舞台がフランスのようだったので何の前情報もなしで読みだしたのが、1編めの登場人物の設定が「金閣寺」とそっくり(!)でため息・・。しかもさらにキツイ物語で、フィクションなのですが全てが作りごととは言えないのでその分キョウレツでした。著者が宗教の人だというのにどうしてここまで思いつくのだろう・・と、ホラー映画より心底恐ろしかった。(「白い人・黄色い人」・・私は苦手です)
こんなわけで、またおススメの助けをお借りします。「熊の敷石」読んでみます。
単刀直入に、好きです!
文章に控えめな知性を感じられて、なのになんとなく母性本能をくすぐられるというか、おそらく、女子は好きじゃないですか?堀江さんの本。
おすすめの「熊の敷石」も読みました。
私にとってもヤン的存在に思える年下の友達マリーが同じ寮にいました。彼らのような知的なやり取りは全くなくて、映画学科(映像学科?)の彼女とは、映画に行ったり、フランスの歌手のダビングテープ(手書きの歌詞カード付き)をもらったり、ライブに行ったり、私は彼女の話すことの半分も理解できてませんでしたがよく誘ってもらっていました。寮が閉まるクリスマス休暇に、ブルターニュの彼女のご実家にお世話になり、「有名なあの場所」が間近かに見える所まで彼女のお父さんの車で連れていってもらったこともしっかり思い出し、読みながら度々、みなさんどうしているかなあ・・と、また懐かしくなりました。(彼女のすぐ下の弟もヤンといいます)
その場面を読んだその日の帰り、吉祥寺の改札近くの店頭に、偶然「あの場所」の美しい写真が飾られているのを見つけたとき、思わず「うわっ」と叫んでしまいました(心の中で)。
おじさん達は読書、おばさん達はメール、若者達は音楽(いや、寝ている)の状態の朝の通勤電車はほぼ座っていけるので、初夏にまた試験勉強が始まるまでのこれから、おじさん達に混ざって正味20分、読書時間に充てたいと思います。
ただ、堀江さんの読み物は一気に次々読んでしまうともったいない気がするので、今後の読み物選択ミスのために「取って置き」にしておきます。
それから、文中に堀江さんが普段ぼんやりしていると言われていると書いてありましたが、彼も「メンドクサイ人」と言われているかもしれないですね。(これ、愛のあるコトバです、よね?)
五十嵐さん、コメントありがとうございます!
良かったです、良い印象で!堀江さんの文章は特徴あって好きな人とキライな人が極端に別れるこあもしれないと思っていて。
五十嵐さんは行ったことあるんですね、いいなぁ。とても素敵な光景だと思います。私もいつか行って見たいです。もちろんパリも。
昨晩「パリ、ジュテーム」を見たのですが、いいですね。個人的に響いたのがジョエル&イーサン・コーエン監督のスティーブ・ブシェミ主演している地下鉄の話し、そして監督が誰だかまだ調べてないのですがカウボーイの話し、そして1番好きだったのは妻と別れ話をしようとして・・・の話しです。
遠藤周作の「白い人・黄色い人」はかなり変わった作品ですよね。この人がクリスチャンというのも結構意外です。歴史的事実を扱った「沈黙」と「侍」はなかなか重いテーマを扱っていて面白かったです。五十嵐さんにオススメは出来ないかも、ですが・・・
メンドクサイ人を支持していただけ、メンドクサイ人の一員として、嬉しいですね。