ジャン=バティスト・レオネッティ監督 キング・レコード
いわゆる近未来SFモノ、結構好きです。「汚れた血」レオン・カラックス監督作品、「12モンキーズ」テリー・ギリアム監督作品も、「ブレード・ランナー」リドリー・スコット監督作品も、「時計仕掛けのオレンジ」スタンリー・キューブリック監督作品も大好きです。どちらかというと暗い結末なモノを嗜好する気がします、1番好きなのは「未来世紀ブラジル」テリー・ギリアム監督作品ですから・・・未見で気になってるのが「ソイレントグリーン」リチャード・フライシャー監督作品と「1984」マイケル・アンダーソン監督作品です。
小説で言えば最も完成度というか作りこみが高いのがジョージ・オーウェル著「1984」(の感想はこちら)です、この本の凄さはちょっと無いレベルだったと思ってます。
そう遠い先ではない未来、全体主義的でかつ人肉食を肯定する荒んだ社会で生活している少年フィリップとその母親。しかし母親はついに耐え切れずに世界の外に出ようと試み、息子であるフィリップに心を閉ざして生きなさいという言葉を残して去ります。フィリップは心を閉ざそうとするのですが、あるとき耐え切れず・・・というのが冒頭です。
今回観た「カレ・ブラン」もそういったディストピア映画の最新作で、フランスの映画監督ですからどんな結末なのか?どんな世界観なのか?気になったんですが、何より良かったのは映像のスタイリッシュさです。見せ方の素晴らしさで言えば最近観た映画では飛びぬけてスタイリッシュだと思ったニコラス・ウェンディング・レフン監督「ドライブ」(の感想はこちら)と同じくらい斬新だと感じました、個性的です。
ただ、ストーリィは残念ながら汲み取れなかった部分が多くて、謎を謎のままに残すのは(私が理解出来なかっただけかも知れませんが・・・)アリだと思いますが、手がかりが少なすぎるのは気になりました。もう少し映画の舞台になっている社会の説明はあっても良かったように感じます。熊の暗喩のようなカットもあるのですが、もしかするとフランスでは一般的な寓話があるのかも知れませんけれど、正確には理解出来なかった気がします。
なんと言っても、結末がもう少し説得力が欲しかったです。その先こそが扱って欲しかった内容なのに。子供の存在、笑顔の意味、社蓄と家畜の選別の結果、不条理の見せ方も、もう少し工夫出来たように感じました。なんとなく何処かで見た映画的不条理よりも直接的過ぎてせっかくのスタイリッシュな映像に対してピントがずれてしまっているような印象を受けました。
ディストピア映画がお好きな方にオススメ致します。
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