井の頭歯科

「イラクサ」を読みました

2013年11月30日 (土) 09:07

アリス・マンロー著 小竹 由美子訳 新潮クレストブック

ノーベル文学賞を取ったアリス・マンローさんの作品、久しぶりに読み返してみました。ノーベル文学賞を取ったから素晴らしいとか、取れなかったから残念とかは、正直ちょっと違和感を感じますし、日本人だからとか、村上 春樹さんが受賞しなかったのがニュースになる、というのはなんだか妙な話しだと思います。面白い作品は人によって違うと思いますし、何も文学賞を受賞していない作品でも素晴らしく面白い作品だってたくさんあるだろうし、受賞したつまらない作品もありえます。と、いいつつも最近知ったビブリオバトル、という書評の競技はなかなか面白そうだな、と思ったりもします。一貫してないかも知れませんが、そういうものだと思います。

短編集で何気ない一瞬の出来事が、その人の一生に影響を与えたり(ただし、大きな変化ではなく心のありようが変わっただけで表面上の変化は誰にも分からない様なモノ)、掛け違いから始まった物語が意外な結末を(でも、およそ重要な事って偶然のきっかけだったりしますよね、そんなリアリティがある物語)呼ぶモノだったり、こんな事あった日のこんな出来事だったら一生忘れられないよね(何気ない1日のちょっとした風景なのに、しかもその事をこの先誰とも共有できないけど)ってお話しだったり、楽しめます。

中でも「クィーニ-」と「恋占い」と「浮橋」と「クマが山を越えてきた」は良かったです、ちょっと膨らませたらとてもイイ映画になりそうな話しです。

別に辛いことがあってもいいじゃないと思える、もうすぐ終わってしまう人生の中でもこんな事があるんだなぁ、と思える、そしてそれなのに、あるいは小説なのにリアリティを、現実感を感じられる1冊です。なんだか視点の多様性に気付かされるような読書体験だと思います。

短編集の良いところはちょっとした時間に少しだけ読むことが出来るのがイイですね。

ちょっと疲れちゃった方で気分をすっきりさせたい人にオススメします、多少女性よりな短編集だとは思いますが、でも最後の「クマが山を越えてきた」は断然男の方にオススメです。

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