スティーブン・ソダーバーグ監督 プレシディオ
サイコサスペンス、それも精神を扱ったものに興味があり、しかもソダーバーグの劇場映画最終作、そのうえルーニー・マーラとチャニング・テイタムが出演しているので見ました。この作品も最近見た「ゴーストライター」(の感想はこちら)に近い作品でクオリティ高くてとても良かったです。
有能な精神科医ジョナサン・バンクス(ジュード・ロウ)は、ふとしたきっかけで、車の事故で自傷しようとした女性エミリー(ルーニー・マーラ)を担当することになります。エミリーに処方した薬の効き目が予想通りの効果を得られず、前医であるシーバート(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)にも意見を聞きますが、エミリーの家庭環境にも問題があり、緊迫した状況です。そんな折に、新薬のテストに関わることになり・・・というのが冒頭です。
非常によく練られた脚本であり、その演出も見事です。伏線の張り方、その回収、それぞれの登場人物の思惑が絡み合う展開が見る者の興味を惹きつけて止みません。役者さんの演技も、どの方も素晴らしく、登場人物が少ない代わりに、どの人物にも重きを置いて撮影、演出されていて、その丁寧さが光ります。
ネタバレなしの感想ですが、些細なミスリードはあるものの、どちらとも取れるように描かれていますし、それでもこの展開を感じ取るのはかなり難しく、すべてを見終わった後のカタルシスはヒッチコックの「めまい」にも似た恐怖が味わえます。そして今 敏監督作品のような現実が溶解していく恐怖を味わえます。
精神の話し、というのはある意味宇宙のように広大な世界の話しですし、人類に残された未踏の大地テラ・インコグニタだと思います。そこへの介入に言葉と薬を使う精神科医の存在はとても不思議に感じますし、興味があります。特に個人的には春日 武彦先生(の著作の感想はこちら)の考え方に強く惹かれます。
題名の「サイド・エフェクト」が副作用というのが本当に何重もの意味を帯びていて上手いです。職業柄、どんな薬にも副作用が存在することは知っていますが、ここまでの鑑賞後の副作用は想像していなかったです。
サスペンス映画が好きな方にオススメ致します。
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