イ・ジュヒョン監督 ギャガ
いろいろ忙しいのですが、久しぶりに映画館に観に行けたので!
非常に模範的に見える一家(祖父、息子夫婦、娘の4人家族)は実は北朝鮮でして、本当は他人なのですが、家族を装い暮らしています。一家の隣には、少々問題のある家族4人(祖母、息子夫婦、息子)が暮らしていて、というのが冒頭です。
家族ごっこ、を真剣にやらざる得ない状況に陥ったコメディーと、南北問題を抱える韓国のシリアスを同時に扱った作品です。
隣家同士のトラブルと言いますか、対比が非常に面白く、まぁとても紋切型の、それもちょっと大仰なのですが、しかし、それでもなお笑わせてくれます。
役者さんの演技が素晴らしく、中でも北朝鮮一家を演じる方々は皆さん素晴らしかったです。
ストーリィとして、少々直情的ではありますが、とある事情がありつつも陥った結果は考えさせられます。特に秀逸なのは、コメディとシリアスのバランスだと思います、ただただコメディ、ただただ泣ける、という作品よりも、コメディの中のシリアス、シリアスの中のコメディの方がよりソリッドになる気がします。そのバランスは素晴らしかったです。
家族という事象について、とても考えさせられる作品だと思います。「アンナ・カレーニナ」(の感想は
こちら)ではありませんが『幸福な家族はどれも同じに見えるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある』ではありませんが、幸福な家族は演じられているかもしれない、という視点に立たされます。そしてもしかすると、すべての幸福に見える家族は、その中の誰かが演じているから、幸福に見えるのかもしれないとも考えてしまいます。
今ここにある幸せに気が付ける、そんな作品でもあると思います。
家族に興味がある方にオススメ致します。
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