リチャード・リンクエイター監督 ソニーピクチャーズ
あの名作「ビフォア・サンセット」からさらに9年後を描いた作品です。「恋人たちの距離 ビフォア・サンライズ」から数えれば18年後!ものすごく長いスパンで考えられていますし、この情熱が続くのも凄いです。
で、個人的には最もロマンティックなのは実は「ビフォア・サンセット」でその次が「ビフォア・サンライズ」、でがらりとこの3作目はビターな、いやビターでは生ぬるいくらいのシビアな作品に仕上がっています。
何を書いても前作「ビフォア・サンライズ」のネタバレになってしまうので、ネタバレなしの範囲で書きますと、リアルな男女間の深い河についての、生活の中で積もってくるであろう澱のようなものを、どのようにしていけば良いのか?を考えさせられる映画です。
異性間交際の経験のある方、それも現在進行形の方にオススメ致します。
アテンション・プリーズ
ここからはネタバレありの感想です、未見の方はご遠慮ください.
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実際に付き合い始めたカップルに訪れる、生活することで降り積もってくるすれ違いや感覚の違いから起こる些細な食い違いが、9年間、子供、元妻、血の繋がらない息子、などという様々な重い事象と繋がっていく事で、飲み込んできたつもりの些細な行き違いが、感情的になってしまう出来事で吹き上がり、相手に責任を被せようとする様が見事に描かれています。
もうこれだけで、夫婦と呼ばれる関係に身を置く人を尊敬したくなってきますし、また同時に厄介そうだ、とも感じてしまいます。
とにかく感覚が、実感が違う他人だからこそ、その人とどうやって、相互理解していくのか?またはここは分かり合えないからこそ見て見ぬふりをしてきた部分を、感情的になって吹き上がった時にどうやり過ごすのか?を考えさせられます。
ドアを開けて出ていくセリーヌ、そして行き場もなく5分もしないで戻ってきてすぐには言えなかった反論を感情的に怒鳴るセリーヌが、私はただただ恐ろしく感じました。
9年後、新たな作品は生まれるのでしょうか?見たくもあり、見せないでと思うところもあり、複雑です。
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