アリ・フォルマン監督 TOHOO FILMS
これはなかなかの良作。絵柄がぶっ飛んでます。あと、ホントに愛の話しなのかな?なんかエゴの話しに見えました。宣伝では「愛」の物語とうたってるけど、何か、微妙に違った印象を受けました。
女優として華々しくデビューし、一時代を築いたロビン・ライト(という役を演じているのが実名ロビン・ライト というメタ構造です)。しかし息子が難病に罹り現在は仕事があまりありません。ロビンの代理人であるアル(ハーヴェイ・カイテル)はそんなロビンの唯一の理解者でありますが、新たな契約を映画会社ミラマウント(!)と結ぶべくロビンの家族とも話し合うのですが・・・というのが冒頭です。
映像が実写とアニメーションを組み合わせたものになっていて、幻覚剤を使用している場面をカッコつきの「幻想」をアニメーションで、カッコつきの現実世界を「実写」表現で表しています。その表現方法からしてかなりぶっ飛んだ映画になっていると思います。しかも役名をリアルな現実の役名でわざわざ採用している部分も考えると、かなりのメタ構造を含んだ作品になっています。
これはおそらく、何度か視聴しないとワカラナイ構造にもなっているんですが、非常に面白い作り方だと思いました。またちょっと見たことが無い作品です。主役のロビン・ライトにはあまり好印象を持てませんでしたが、精神科医を演じたポール・ジアマッティはさすがでしたし、久しぶりにハーヴェイ・ミスターホワイト・カイテルが見られて嬉しかったです。
ネタバレを避けての感想になりますが、私は母親の愛情、というよりも母親のエゴイズムを感じてしまいました・・・とても奇妙で、リアルの底が抜ける作品、非常に近い感想を持ったのがアニメーション作家の今敏監督作品です。特に「パプリカ」と「パーフェクト・ブルー」の2作です。そしてもう一つ、これは演劇の作品ですが、最近見たブルドッキング・ヘッドロックという劇団の「1995」という作品です。どの作品も丁寧な作り、様々な伏線、細かな演出、説得力あるガジェット、素晴らしい作品に共通する何かを持っています。特に「1995」は女性の自己認識欲求の業の深さ、という意味でも似たテーマを扱った作品だと思います。
リアルという認識とは何か?という袋小路に入り込んだことがある方、母親という世界最大の秘密結社の構成員の方にオススメ致します。
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