ネメシュ・ラースロー監督 ファインフィルムス
ヘヴィな内容です。
しかし、とてもリアルなのでしょう、きっと。
サウルというゾンダーコマンド(あえて説明しません)の2日間を描いた映画。
凄いとか、何とか言う感想では無く、ただ考えさせられる作品。
見えそうで見えない感じが非常に観終わったに胃にズシリとくるものがあります。
だからこそ息詰まる感覚がある。
ドキュメンタリーみたいなこの映画の最後を、個人的にはファンタジーと捉えたいけど、きっと数日はこの映画の事が頭から離れないと思います。
簡単に感想を纏められない感覚。
アテンション・プリーズ!
既に観た方に読んでいただきたいです。ネタバレを若干含みます。
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私はあの最後の子供の存在さえファンタジーだと感じたい。でないといくら休憩中とはいえ、見張りが気が付くと思う。
サウルが息子を埋葬(既に死んでしまっている)したかったのは、慢性的に死の恐怖に苛まれ続け、精神的にも肉体的にも限界を(およそゾンダーコマンドという恐ろしくも悲しい役目を担えば誰でも・・・)超えた結果、哀れな人々の中のただ一つの目の前に浮かび上がってきた、常にうつろなサウルの視界に入ってきて焦点のあった偶然の子供であり、だからこそ天啓にも似た何かに突き動かされるのだと思いました。
だから途中で様々な人に止めろと言われ、理屈で「死者の為に生者が犠牲になるのはおかしい」とか、お前には息子などいないと言われていても、なお突き動かされたのだと思います。
最も印象に残ったのは、あの穴のシーンです。恐ろしいです。
こんなに哀しい笑顔を見たのは初めてです・・・
雨の音を聞くと思い出す映画になりそうです。
傑作だとか、表現としてどうとかではなく、ただ単に打たれる映画でした。胃の底に鉛を沈められたみたいなショックです。
[…] 8位 「サウルの息子」 ネメシュ・ラースロー監督 […]