本多 猪四郎 円谷 英二 監督 東宝
シン・ゴジラを見に行こうと思うにあたり、恐らく、庵野監督の作品ですから、多分この1作目は重要なのではないか?この1作目を観てから劇場に行くべきではないか?と思って予習の意味で見ました。
かなり古い作品ですが、子供の頃にテレビで見ています。何度目かの視聴です。
大戸島に出てくる最初の登場シーンの恐ろしさ、とてもいいです。白黒だからこその怖さなのかもしれないですし、民衆の服装のリアルさ、人々の逃げ惑う様の描写に、とても創意工夫が見られ、そこも素晴らしかったです。
最も衝撃的だったのは「皆さんさようなら」と言うセリフです。ネタバレは避けての感想ですが、「みなさん、さようなら」と言えるレポーターの職業意識があれば、プロ意識はとても重要だと思います。多分これどの職業に於いても重要だと思いますし、死がもっと身近な存在だったんでしょう。いつもこの事考えると緊急権(の事についての文章は こちら )について考えてしまいます。
キーになる人物芹沢博士が若い!昔はもっと年齢が上だと思ってましたが、とにかく若いです。そして、ある種のマッドサイエンティスト、昭和の時代には居ましたけど、今はお目にかかれないですね。
オキシジェン・デストロイヤー、昔から強そうな名前だと思ってきたけど、良く考えると、そのままの名前なのに、完全に刷り込まれています。
唯一の被曝国が、ゴジラという原子力兵器の暗喩に勝つ為に編み出した兵器を、使用する為に自らも命と情報を断つというのが、とても日本的な選択だと感じました。
で、この予習は大変良かったです「シン・ゴジラ」観に行かれる方は是非予習でこの作品を観ておくとより面白い対比になると思います。
庵野秀明 樋口真嗣 監督 東宝
ネタバレを避けての感想ですが、基本的には1番最初のゴジラを踏襲しています。つまり人間対ゴジラの戦いを描いた作品です。やはり観ておいてよかったです!
ある種の群像劇と言っても良いと思います。
とても1作目ゴジラに対するリスペクトを感じさせるだけでなく、現代2016年の日本を舞台にした、リアリスティックな、それも非常に細かい細部まで神経をとがらせた、素晴らしい出来栄えになっています。
そして、間違いなく、庵野秀明という監督の作品と言えます、ゴジラの造形だけでなく、見せたい絵、構図、画像、破壊がありますし、今まで見た事が無いアングルへのこだわりも感じられました。
リアルでないゴジラに対して真っ向から挑む人間側の、日本の、リアルな描写が非常に秀逸です。会議での決定、憲法の規約、手続きにおける順序、外交手段、特使の役割、とても情報量の多い部分を字幕で解決させる手腕も、素晴らしいモノがありました。
基本的にはゴジラは生物だとしても、1作目では明らかな原子力兵器の暗喩でしょうし、今作もその流れを汲んでいますが、さらに一歩進めた扱い(「マットアロー1号発信命令」からずっと庵野監督のテーマだと思います)になっています。
役者さんも素晴らしく頑張ってくれています。1作目の「ゴジラ」の役者さんと比べてどうだろう?という不安があったのですが、かなり良かったです。
特に目を引いたのは、論理的で冷静沈着な赤坂を演じる竹野内豊、権力の最高決定者でありながら選択肢がほとんどないという日本的な内閣総理大臣を演じる大杉連、息次ぐ暇を与えないで抑揚のない喋り方をする事で感情表現を嫌う事実のみに傾倒して人間味が薄く見える(まるで「ソーシャルネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグのような!!)環境省のつまはじき役人を演じた市川実日子、そして何と言っても熱意を持ち直言を繰り返し未来を信じて諦めない主人公を演じた長谷川博己です。それ以外の役者さん、ある種のダブルバインドに縛られている防衛大臣を演じた余貴美子、黒子に徹しているようで実は裁量の幅は総理ようも大きく見える官房長官を演じた柄本明など、カット的には短い出演だったとしても、少しもクオリティが落ちない緊張感が続くのが素晴らしいと感じました。
ただ、確かに美人さんですが、正直石原さとみさんがちょっと浮いてる感じはします、その他の人物(多分、片桐はいりさん以外)はほぼ官僚的な人しか出てこないので、その分浮いてるし、特使に見えないのもちょっと。でもそんな事は些細な事です。
あるチームが結成する様を描くのも気分が上がりますし、そのいわゆるはぐれ者集団をチームに仕上がっていく様の演出も素晴らしかったです。
予告編でも流れましたが、あの電線の上を巨大な尻尾が通過してゆくシーンはとても良いのですが、同じくらいクオリティの高い絵が続きます。予告編だけでこの映画の評価をせずに、是非劇場で観て頂きたいです、予告編は前半の圧縮であり、もっといろいろな驚きがあります!
出来れば邦画が好きな方に、男女問わず、そして政治が好きな方にもオススメしたい作品です!
コメントを残す