岡本 喜八監督 東宝
すっかり見逃してしまっていましたが、岡本喜八作品、凄く気になってます。まだ大好きと言えるほど作品見てませんが、仲代達也主演の「殺人狂時代」は最高の作品だと思います。そんな岡本喜八作品の上映会がラピュタ阿佐ヶ谷で開催されている事に、気が付いてなかったのが悔やまれます、最後の週に気が付くなんて本当にがっかりですが(ああ、「激動の昭和史 沖縄決戦」観たかったなぁ・・・「座頭市と用心棒」も観たかったし、本当に悔やまれます・・・)、唯一見れそうだった時間帯にかかっていたのがこの作品なので、ラピュタ阿佐ヶ谷で観てきました!
山口瞳の原作に仕上げた、かなり不思議で、前衛的な表現の、まさに岡本喜八作品!って感じに溢れる作品です。
江分利氏(小林桂樹)はサントリー宣伝部に勤めるサラリーマンです。お酒が非常に大好きで、毎日午前様な生活です。そんなある日、酒場で知り合った2人組に口約束をしてしまい・・・というのが冒頭です。小林桂樹、山口瞳の自伝的な作品なので、非常に寄せてきてるんですが、設定ですと38歳!!!驚愕です、私よりも10歳年下ですよ!!全然見えません、本当に馬齢を重ねてしまいました・・・
なんだろこれ!面白い!!という要素がぎゅうぎゅうに詰まった作品です。主演の小林桂樹さん、私は映画での記憶がないんですけれど、めちゃくちゃ有名な方ですよね?「ゴジラ」も「椿三十郎」にも出演されてます!が、この人の、かなり愛嬌ある演技が素晴らしい。今で言ったら(や、その当時もなんですけれど)相当に説教臭いんです。でも、その説教にも教養を感じられるし、何といますか、愛嬌があるんですね。この愛嬌を感じられるか?でかなり印象が変わってしまいます。
そんな江分利氏の優雅と言えば聞こえは良いですけれど、決して優雅だけではない、戦中派の戦後生活者の目線での、社会サバイブ自伝史ものです。
ストップモーションだったり、円環構造だったり、アニメーションを差し込んだり、かなり演出は凝ってます。そして素晴らしい効果をあげていると思います。
重要なのは、かなり軽快に、当時のサラリーマン風俗を掬い取った作品なんですけれど、あの、岡本喜八作品(僅かに観てるのは「独立愚連隊」、「殺人狂時代」、「ブルークリスマス」、「ジャズ大名」なんか取っ散らかってますけど)の中ではかなり踏み込んだ作品になってます、はっきりとセリフで説明してくれてるかなり珍しい作品じゃないかと思います。恐らく反戦な作風であるのは映画を見れば分かると思うんですけれど、言葉でセリフで説明してくれているのは珍しいし、岡本喜八っぽくないとさえ感じましたが、これは原作がそうなのかも。
私は今のところ「殺人狂時代」が原作についても映画でも役者でも、やはり1番好きな作品ですけれど、この作品もとても好きな作品になりました。
あぁあ、せめてもう少し早くラピュタの特集を知ってたら、激動の昭和史 沖縄決戦 を見に行けたのに、本当に残念。
あと、原作山口瞳さん、ちゃんと読んでないのが恥ずかしい感じですけど、いわゆるエッセイストとして有名ですよね。
岡本喜八作品が好きな方、山口瞳作品我好きな方にオススメ致します。
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