漫画「ヒストリエ」から興味が出てアレクサンドロスⅢ世の時代関連の本を続けていくつか読みましたが、主人公エウメネスと言う人物も気になりますが、個人的にはやはりフィリッポスⅡ世にもっとフォーカスが当たっても良いのではないか?と感じることが多かったです。本ではいろいろ調べてみたのですがどうしても「アレクサンドロスの父」という切り口が多くて、フィリッポスⅡ世の版図拡大、その戦術的な硬軟両面の外交手腕、戦闘での戦略、そのための市民兵からの脱却とファランクスという長槍を用いた歩兵集団創設の過程など、気になることがたくさんあるのですが、満足できませんでした。
そんな私が検索エンジンGoogleで見つけたこれぞまさに決定版!今までの様々な欲求不満を解消してくれたサイトがここです。
フィリッポスⅡ世にちゃんと光が当たってますし、とても読みやすく、しかもかなり昔の出来事であるという歴史的観点を、様々な可能性がある、という理解をし、中腰力ある姿勢を貫いています。個人でされている、というのもびっくり致しました。もの凄く詳しいうえ、参考文献に対する配慮も素晴らしいです。
私も多少なり何冊かのアレクサンドロス関連の本を読みましたが、このサイトの管理人の方の読書量と深さは驚嘆いたしました。知りたい、と思うことでいろいろ調べて満足するものですが、そのやり方の徹底さは本当に素晴らしいですし、正直、今まで読んだどの本よりも詳しく、そして読みやすかったです。アレクサンドロス、という稀代の人物もさることながら、その周辺の人物も詳しく知ることが出来ます。そして語られる管理人の方の視線は低く、フェアであることにも非常に好感を持ちました。
古代マケドニア史を知ることは大きな物語を知ることなのですが、この物語は群像劇であり、多くの人物が出てきます。特徴ある人物たちの側面までカバー出来ているのは本当に凄い。漫画「ヒストリエ」についてもかなり詳しく書かれていますし、実際私もそうなのですが、この漫画から興味を持った人々にもキチンと目を向けられています。キッカケは確かに漫画でしたが、その後はやはり私の場合フィリッポスに興味が移っていくのを実感致しました。
この記事の中でも私が白眉だと思うのが、短いながらもフィリッポスとアレクサンドロスを比較する「補遺~フィリッポス2世とアレクサンドロス3世の比較~」です。
私の今まで読んだアレクサンドロス関連の本から受けた印象(あくまで個人的印象です、どんな人物であったかは永遠に謎ですが、私の想像する人物像では、ということです)では、フィリッポス2世は慎重で合理的な判断を優先させる戦略家であり、結果を重要視している秀才であるのに対して、アレクサンドロス3世は、無論戦略家であることは否定しませんが、自らの欲求に従った行動がほぼ常に成功する、という天才という印象を持ちました。何よりフィリッポスがいなかったらアレクサンドロスは何も出来なかったでしょうし、運のある人物であることは間違いないですが、どうしてもあやういイメージがあります。天才に惹かれる人が多いのも良く分かりますし、真似出来ないからこその魅力なのでしょうけれど、個人的には非常に柔軟なフィリッポスに私は惹かれます。アレクサンドロスの即位から東征初期の様々な行動の【大】成功がある意味増長したかのような後半生を作ったのではないか?ということです。フィリッポスの慢心も感じますし(13番目の神のあたり)、自らを見失うことは誰にでも(特に大きな成功を収めると)ありえますが、その表がアレクサンドロスよりも身近に感じられ、アレクサンドロスの場合はどこか子供じみたものを感じるということも出来るような気がします。
最後に、このサイトの管理人の方に、私のブログでご紹介を書かせていただくことをお許しいただけたことに感謝いたします。ありがとうございました。大変楽しかったです。
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