ノラ・トゥーミー監督 スタジオカナル
ラジオの番組でユーリ―・ノルシュテイン(ロシアの前衛アニメーション監督です、ずっと作っている『外套』完成したのかなぁ・・・『話の話』とか『霧につつまれたハリネズミ』とか素晴らしい作品です)の特集をしていた時に紹介されていた作品なので観ました。カブールでの少女の話しです、物凄く重たい話しですので、感想にまとめるのもなかなか考えさせられました。
2000年代のタリバーン政権佳下のカブール。父と共に行商を行うパヴァーナは10歳前後と思われます。イスラム文化の影響なのか、はたまたタリバーン政権の為なのか?不明なんですけれど(なんとなく、タリバーン政権のせい、と私は思いたい)、男性と一緒でないと外出もはばかられる世界。教育、読み書きさえ、読書でさえ、女性が関わる事を禁ずる世界で、父、母、姉、弟と暮らすパヴァーナ家族に・・・というのが冒頭です。
正直、イスラム文化について全然知らないので、何が何処までイスラム文化に由来があったり、解釈が歪められているのか?が判然としないのですが、非常に悲しい世界が広がっています。この映画が事実に近いのであれば、それは本当に地獄を感じられる世界でした。
男性でないと基本的に生きていけない世界。差別というよりも迫害と言っていい世界でパヴァーナが体験する、ただ、生き延びるためにするための犠牲と苦悩。大変重い話しですが、観て良かったです。イスラムの文化にも、もちろん良い部分はあるでしょうけれど、これはあまりに悲惨な状況と言えると思います。読み書き、読書、外出に制限をされて生きていくのは無理だと思います。また、それに逆らった場合の暴力が本当に酷いです。こういう事態を知ると、大変現代の日本は有り難いと思うのですけれど、この中でも女性への偏見がまだ残っている事態や偏見を見るにつれ(もちろん私も無意識で行っているかもしれない、という恐怖と共に)哀しい感覚に包まれます。
それでも、この映画の中のパヴァーナが、物語のチカラを得て、現実に立ち向かうシーンは、そのアニメーションという手法との相性の良さとの相乗効果を持って、素晴らしく美しい映像体験になっています。
文化について、タリバーンについて、そして男女差別について知りたい方にオススメ致します。ヘヴィーではありますが、観て良かったです。
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