山戸結希、井樫彩、枝優花、加藤綾佳、坂本ユカリ、首藤凛、竹内里紗、夏都愛未、東佳苗、ふくだももこ、松本花奈、安川有果、山中遥子、金子由里奈、玉川桜 監督 ABCライツビジネス
若手女性監督による8分の映画×15の短編集作品です。テーマは「自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っている事」です。
「また一緒に寝ようね」(の感想は こちら )、「なっちゃんはまだ新宿」(の感想は こちら )の首藤凛監督作品は外せません!ですが、やはり1人8分は私は短いと感じてしまいました。もちろん8分の間にも首藤監督作品の刻印はされていますが。
「21世紀の女の子」というタイトルからして、私からはかなり遠い存在の映画なので、私自身が汲み取れない、よく知らない世界を描いている訳で、とても難解な部分もありました。共感する事が苦手というか、多分全然分かっていないからなんだろうと思います。難しいですね。
でも基本的には楽しめた作品です。もちろん退屈に感じてしまう部分もありましたが、これは間違いなく、私の感性の問題です。本当に共感するって難しい事だと思います。自然に出来る人は出来るし、出来ない人は出来ないです。例えば、感情移入、なりきる、という事に近いんでしょうけれど、もっと自分事として捕える、という事がとても難しく感じます。
15本の作品の最も良かったのは、やはり首藤作品『I wanna be your cat 』でした。冒頭の今から何が始まるのか?も凄かったですし、大変狭いセットの中であるにも関わらず、凝った画角を感じさせたり、バリケードを外側から(!)というのも首藤作品を感じられて良かったです、特に乱雑な感じが良かった。しかしまあ相変わらずパンキッシュです。
名前を出す仕事って、如何様にも受け手に様々想像させる事を意味しますし、まして監督ともなれば、さらに、だと思います。主演の方は知らないけど、脚本家が書けない、と言っているだけで、あ、首藤さんの分身なんだ、と思われる事をいちいち背負ってるんだな、と思うと、表現者としての覚悟の重さ、それでも、する側に立つ人の強さを実感しますね。
私はあまり共感出来ないし、それでも何回かは経験した事がありますが、 相手を 思い通りに 困惑させたい 、という瞬間を感じましたね。そういう意味でもパンキッシュ。
その他の作品ですが、あまりネガティブな話しはしたくないのですが、先に断っておくと、あくまで感性の鈍い50間近のおじさんの感想としては、8分は短いし、15人は多い企画だと思ってしまいました。
また、写真、カメラ、はかなりの作品に共有されていて、これは何かを意味するのだろうとは思います。写す側であったり、写される側であったり、いろいろありそうです。
首藤監督作品に次いで印象に残った作品で、やはり映画だな、と感じられたのは、山中遙子監督の 『回転てん子とどりーむ母ちゃん』です。カメラアングルも題材も面白いし、好きと言える作品でした。
とてもヘンテコリンな映画ですけれど、掴みは上手いし、ノリがこの作品だけ異質であるのも印象に残ります。大変ストレートなセクシャリティのゆらぎなんですけど、8分では仕方ないかも。
井樫彩監督の 『君のシーツ』も面白い題材を扱っています。まるで白昼夢のような白の演出が良かったですし、うん、これも大変ストレートなセクシャリティなんですけれど、悪くないと思います。
山戸結希監督の 『離ればなれの花々へ』は少女性を特に全面に押し出している作品で、個人的には拙さと感じる部分こそに、その少女性があるのかも?と思いましたが、映像的な上手さはありますね。何処となく演劇っぽく、何処となくミュージカルっぽい感じ、これに共感出来たら、素晴らしく響く作品になるんだろうと感じます。
惜しいのが、ふくだももこ監督の 『セフレとセックスレ』で、これはもう少し尺が必要な話しなのでは?と感じました。ただ、直接的過ぎて、感覚としてはもう少し捻りが欲しいです。
同じように金子由里奈監督『 projection』ももう少し時間が欲しいしその先が見たいと思いました。あくまで導入な感じがしましたので。
結局、8分だと難しいかも。
逆にあまり好きになれなかったのは、何の疑いもなく自分を全肯定するのには、どうしても乗れませんでした。姫って単語、凄いと思います。お姫様ですよね。エンドロールでかかる曲の歌詞にある「わたしは特別」という言葉の意味、もちろん一人ひとり違って特別でもあり、その特別な人がたくさんいる普通の世界の1人なわけで、その辺を「カワイイ、お姫様」と肯定的に育てられると、凄く現実がキツく感じてしまうようになってしまうんじゃ、とか考えてしまいました。
小川沙良監督には入って欲しかったなぁ。
女性映画監督、に興味のある方にオススメ致します。
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