佐々木 睦監督 ブロードバンドピクチャーズ
友人の方からお借りしたDVDなので視聴しました。劇団おばけおばけの同名戯曲を映像化した作品です。
舞台演劇、とても面白いモノがたくさんありますし、そんなに多くはないですけれど、私も見に行くことあります。が、映画のつまらない作品はなんとか2時間我慢できますけれど、演劇のつまらない2時間は本当に苦痛な体験になる気がします。より生感覚に近いので、余計にいろいろ感じてしまうんだと思います。
ですが本作は大変面白く見る事が出来ました。という事は、もしこの作品をDVDでなく、生の舞台演劇で観ていたら、もっと衝撃度のある体験になっていたと思います。演劇の面白い時は衝撃度が増すように感じます、良くも悪くも生モノは強いですね。
とある町工場の夜勤を務める仲の良い3人組、工場長の息子で既婚者のアラキ、中堅どころのハラグチ、どことなく印象のつかめない感じの新人杉山くんが夜のシフトの休憩時間に入ろうとしていると・・・というのが冒頭です。
5人だけの舞台ですので、会話劇を楽しむ演劇だと思います。突飛な演出は、ほぼ皆無です。だからこそ、会話の妙が重要なんですけれど、私が知っている人は1名だけでしたが、この方がまさに奇妙奇天烈なキャラクターで、その意味でも、知っている作品のキャラクターにも似ていて、そこがまず面白かったです。庵野秀行監督『シン・ゴジラ』の巨災対メンバー、厚生労働省医政局研究開発振興課長(医系技官) 森文哉 を演じられていた津田寛治さんです。この方がこの物語を動かす最初の動力になっているのですが、いろいろ話しているうちに、この方の狂気のようなモノを徐々に理解していく事になり、物語がひっくり返っていく様がとても面白かったです。
その他の男性役者さんはみなさん頑張られていらっしゃいますし、悪くないと思います。ですが、やはり戯曲を基にした演劇なので、ややオーバーな感じにはなってしまっていたと思います。特にそれぞれ感情を激高させるシーンがあるんですけれど、ある種の見せ場でもあるんですが、その場面でのオーバーさは否めなかったです。でも演劇ってそういう熱が大事でこれは、私の視聴方法に問題があって、やはり生の演劇で観るべき作品だと感じました。
女性の役者の方は、少々物足りなく感じてしまいました。もう少し声のトーンを落としていただけたら聞きやすくなったと思います、でもこれもある種の困惑して感情的にゆとりのない事への演出なのかも知れません。『好意』を受け止める側の不安を表すキャラクターとしては、良いキャスティングだと思います。
最後はまた全然違う話題になっていくんですけれど、この辺を面白く感じるかどうか?で話しが変わってきます。主な話題が『好意』の表現方法についてなんですけれど、急に国際情勢に話しが飛ぶんですけれど、そのブリッジも上手く行っていて違和感なかったです。そして、この話題の最大のポイントは、ドライになれない関係を築けるパーソナリティーがあるのか?という事だと思います。
演劇が好きな方、巨災対の要(と言いつつ、要になろうとしているだけで、実際はなれてないけど、こういう人もいないとね)森 文哉さんが気になる方に、オススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ちょっとだけネタバレありの感想をまとめてみたくなったので。
ですので、この先ネタバレありますので、未見の方はご注意を!
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ストーカー行為、確かに、完全に、犯罪です。が、ストーカー行為をどこから犯罪とみなすのか?にはかなり個人によって認識の差がでる行為である気がします。さらに、被害者側がどう感じているか?に思慮が及ばない、視野狭窄的で身勝手な部分があるのも事実。実際はもっとヒドイ事になっていると思いますし、この手の犯罪は常習性が高いとも思います。
最初は単純な好意から始まったわけですけれどね。やはり客観性って重要だと思いますね。
杉山くんの話しは、最終的にとても面白いと感じました。まぁ私が思うに既に私の住む、国籍を持つ、日本という国は、今後衰退していくと思いますし、少子化は避けられていませんし、もともと国土の広さを鑑みれば異常に人口の多い国とも言えます。ただ、確かに平和な国家ではありますけれど、これって少なくとも短期的に珍しく平和が続いているように感じます。それでなくとも自然災害の多い国で、残念ながらとても同調圧力の大変高い国民性があってこそな部分も大きいと思います。
3人組のキャラクターと関係性は凄く面白かったです。
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