井の頭歯科

「ホテル・ムンバイ」を観ました

2019年10月3日 (木) 09:38

アンソニー・マラス監督          ギャガ

本当は中国映画の『帰れない2人』が観たかったのですが、時間が合わず、こちらを選択しました。なんとなく、実話ベースの話しって何処かにフィクションが入っているもので、その辺がとても気になったりするので、割合気分的には斜に構えてしまっていましたが、内容は大変ヘヴィーでした。本当に映画ってちゃんと見るまで分からないものです。

2008年11月26日にインド南部のムンバイで怒った同時多発テロ事件の舞台のひとつである、タージマハル・ホテルで働く人々、その利用客と、襲った側である少年たちを扱った映画です。もちろん劇映画ですから役者が演じていますし、再現映画ですが、かなりリアリティーを感じる、そして凄まじい事件を扱った映画です。レイティングはR15指定ですが、納得のR15指定です。

映画を観た後、本当に、実際に、何が起こったのか?を調べてみたくなり、ネットを使って見てみると、通常は1番概要を把握するのに使うWikipedia情報ですら、犯人の人数さえ、特定出来ていません・・・2008年の事件で、世界にも報道されましたし、大変痛ましい事件ですが、犯行グループの実行犯の人数さえ、10~25人という幅を持った情報になっています。つまり、大変混迷を極め、確定に至る事実の少ない事件である、という事しか分かりませんでした。その背景には、インド・パキスタンのカシミール地方の権限を巡っての緊張問題もあり、単純に分かり易い展開はありませんでした。

思いのほか、あっけなく、人間が撃たれ、死んでいく様は、映画と分かっていても、大変感情的に揺さぶられます、というか全編、異常な緊張感が続きます。

テロ行為、悲惨で絶対に許せない行為です。が、これしか方法が無いほど追い込まれた人々がいる、という事にも考えが及びます。戦争行為も同じです、国家間の最悪の交渉とも言えます。その戦争にもなりえない国家ですらない集団の権力への抵抗手段としてのテロを無くすために何が出来るのか?を考えてしまいます。多分話し合いしかないんですけれど、それか、集団の根絶、というまた別の非人道的な行為(ホロコースト)に至ってしまうわけです。2001年9月11日の事件の時、ツインタワーの崩壊を映像で見せつけられた後、とあるアラビア文化圏で同じようにビルの崩壊を目にした子供たちが喝さいを挙げるシーンを目にした事があります。ビルの崩壊、という破壊行為(敵対国とはいえ)に、これほどまでに歓喜してしまう 子供 がいる事を考えると、この世界の残酷さを、意識しないわけにはいきません。また、私は戦争中の特攻という行為を称賛する事が出来ません。特攻も自爆テロも形を変えたテロ行為と言えなくもないと思います、志願を募る形を採っていても、上官から下士官への圧力をゼロにする事は不可能だからです。無知にかこつけて、美談にして良い話しではないと思います。

とにかく、映画内では、襲撃グループの、というか少年の無知、刷り込みも描かれています、大変に恐ろしい。そして首謀者の顛末・・・これこそまさに恐怖だと思います。

ある種の、映画的予定調和を(悪人は悪人らしく、善人は善人らしい顛末を、観客の刷り込みを含んだ予想を)崩し、非常に重い現実を突きつけられます。仮に、私がホテルの従業員だったとして、このホテルの従業員と同じ行動が取れるか?大変考えさせられます。そして、もっとあり得る可能性として、ホテルの宿泊客だったら、私はどういった行動を取れるのか?大変考えさせられました。

テロ行為は許せないが、ではどうすれば良いのか?について、考えてみたい方にオススメ致します。

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