石川 慶監督 東宝
以前に、患者さんから、この小説が残念だった、とのお話しを聞いていました、原作未読です。その患者さんは依然にとても良い映画(『瞳の奥の秘密』フアン・ホセ・カンパネラ監督 の感想は こちら )をオススメしていただいた事もあり、でも気になっていましたが、そのままになっていました。原作者の恩田さんの著作は2冊だけ『夜のピクニック』と『蕩尽童女』(の感想は こちら )を読んでいます。
また別の仕事関係の方から、是非、とオススメされました。
で、
1、松岡さんが出演している
2、森崎さんが出演している
3、映像が綺麗
の3つが気になって、足を運びました。
10回記念のピアノコンクールに出場する、かつての天才 アヤ(松岡茉優)、アヤの幼馴染でこのコンクールでも最も本命視されている現在の天才 マサル(森崎ウィン)、年齢制限ギリギリで、家族もいて楽器屋で働く生活者の音楽を目指す努力の人 タカシマ(松坂桃李)、亡くなった天才に見出された天才が認める天才 ジン、の4名のコンクールによる音楽と、天才とは何か?を問う映画です。
天才、をどう捉えるのか?によって評価が分かれる作品だと思います、私はこの監督さんの映画は『愚行録』しか見た事がありませんが、冒頭の雨、漆黒の馬、の映像で、かなり好印象でしたが、素晴らしかったです。
とにかく、映像が、かなりクオリティ高いです。撮影が海外の方なようで、監督も海外で勉強された方と知りましたが、国籍って関係ないと思ってましたが、まず、映像が素晴らしかった。
さらに、松岡さん、森崎さん、松坂さん、に比して負けないというか、私個人は完全にやられたのが、ジンを演じた方!鈴鹿央士さん、この方を連れてきたキャスティングが本当に凄い!!
天才をネットで調べると
生まれつき備わった優れた才能。そういう才能を持って人
と出てきます。
努力し続けられる、好きなままずっといられる、とも思いますが、子供の頃からずっと天才でい続ける事は大変に厳しく難しい事だと思います。また、かつての天才が色褪せていく様は、スケールの大きさのいかんを関わらず、物悲しいモノです。
音楽について、私は全くのど素人ですし、クラッシックについては、さらに門外漢と言って良いと思います。プロコフィエフ、知ってますが、協奏曲の2番と3番なんて違いも知りません。
が、とにかく、奏でられる音楽は大変心地よく、ピアニストたちの違い、その化学反応は、ある程度理解出来ました。
また、非常に難しい役どころを斉藤由貴さんが熱演しています。彼女の、かつての天才どころ、そして、天才を探す理由について、深く頷くしかないです。
的外れなのは承知ですが、この映画を観て私が最初に思い出したのは、小説家レイモンド・カーヴァーが、小説家を目指して講義を受けにきた人に対して話したとされる、
小説家を目指して文章を学ぶ事で、良い小説家になれる事もあるだろう、しかし、もし、小説家になれなかったとしても、学んだ者は良い読書家になれる。
という事です。
音楽が好きな方に、天才とはどういう人なのか?に興味がある人にオススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ここからネタバレありの感想になります。
鑑賞された方に読んでいただきたいです。
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ネタバレありの感想としては、かつての天才が化学反応を起こし、人に触れ、影響しあい、変化していくアヤの様子が素晴らしく説得力ありました。人は関係性から、ある意味導かれるような様に、感情的になるのだと思います。
ある出来事から解放され、さらなるヒロガリを手にする様、成長に、感情的になるのだと思います、自分には無かったとしても。残酷なダメになる人を見たとしても。人は退屈を忘れられるのであれば、奇跡でも火焙りでも良い、と言ったのは名著『イリュージョン』のリチャード・バック著の中の救世主ドナルド・シモダでしたが、私も同意します。 ピ
斉藤由貴が言う、コンプレックスから天才を見出したい、と思う事、あると思います。持たない者の1人として、憧れと恐怖の両面を感じます。こんなにも自分がくだらない生き物である事を、突き刺し証明されるわけですが、同時に、輝かしいく美しいまでの圧倒的な 何か を生み出す事の出来る存在として。
最も印象的なのは、恐らく鑑賞された方々皆違うのでしょうけれど、私はアヤとジンの連弾のシーンにこそ、音楽の素晴らしさが息づいていると感じるのです。流れ、感じ合い、言葉にしないで共感しつつ、お互いを認め補う関係が奏でる音楽、良かったですし、美しい。それが寂れた物置のような一室であったとしても。
ピアノコンクールで選ばれるのは、生活者の音楽ではないかも知れません、世界的な技術や何かを、尊いモノという評価をするのであれば。 しかし、生活者の音楽を聴いて目覚める天才もいる。
個人的には、ジンの音楽に、純粋な凄みを感じました。特に2次予選は皆が同じ音楽を演奏するので、より違いを感じました。
演技で言えば、松岡さんの輝きを取り戻した後の神々しさ、凄かったです、そういう風に、見えます。
また挙動不審なジンと言うキャラクターが、私の考える天才に最も近い。天才とは現代では理解されないながらも、どうしても残るものだと思います。だから、コンクールで評価されないし、そのコンクールの審査員に理解されなかったのも分かる。
4者4様のラストを字幕で伝えるのは、上手いと思います。
コンクールで選ばれるのが天才では、多分無い。それは秀才と呼ばれるモノで、世に評価されない天才は多分たくさんいると思うし、それが世界。 日本は特に、自ら評価することはなく、だいたいにおいて、世界的な評価を、有難がる傾向が強過ぎると思います。すぐに、世界の、をつけたがるのは、正直興醒めします私はですけれど。
[…] 特に「コンクールでお会いしましょう」は映画「蜜蜂と遠雷」(の感想は こちら )の原作なのでは?と思うくらい近しい感じで面白かったです。 […]