ボブ・ペルシケッティ ピーター・ラムジー ロドニー・ロスマン 監督 ソニーピクチャーズ
2019年見逃し後追い作品 その4
私はスパイダーマンについて、詳しくありません。正直アメリカンコミックを買ったのは1回だけで、それは「ウォッチマン」という映画があまりに面白かったので、原作を読んでみたくなったからです。ですので、アメリカンコミックのスパイダーマンの話しは知りません。そして、映画版のスパイダーマンも、いくつか観た事はあると思いますが、余り印象に残っていません。そんな私にとってのスパイダーマンと言えば、それは幼少期にテレビで見た東映スパイダーマンの事になる世代の1人です。そして、その東映スパイダーマンは、原作者のスタン・リーさんにあまり気に居られてなかった、という噂を知っているくらいです。
ですが、この映画は友人数名からオススメして頂いたので、映画館に行きたかったのですが、なかなか予定が合わなかったので見逃してしまっていたので、手に取りました。なにしろ絵がとても綺麗だったので。
NYに住むアフリカ系アメリカ人のマイルス(小野賢章)は高校生。ですが、ある理由から進学校へと編入しています。父は警官なのですが、そんな父にパトカーで一緒に通学するのをとても嫌がっています、思春期なので。そんなある日・・・というのが冒頭です。
スパイダーマンの事をほぼ何も知らなくても、とても楽しめる作品に仕上がっています。ハッキリ言って私はちょっと舐めていました。確かに、絵がとても綺麗です。そして散々友人に勧められていたのに、映画館に行かなかった事を、後悔しています、今、激しく。
今年の映画の中でも上位に来ます、絵だけでも相当凄いです。でも、それだけではありません。この映画はストーリィと、その根幹に関わるメタ構造が、とても素晴らしかったです。今年はアメリカンコミックの原作映画が、その中でも大変重要な映画「アベンジャーズ」という大作がありましたけれど、個人的には比べるべくもない大作です、この「スパイダーマン:スパイダーバース」は。長い物語の重厚さ、あるでしょう、それぞれの意味を知らないで観ている私にはワカラナイ事もいっぱいあると思いますが、それは結局ハードルの高い、いわゆるマニアの人向けとも言えます。が今作は何も知らない人が、スパイダーマンがなんなのか?知り、興奮して、成長し、笑い、勇気とは何か?を知る物語の、進化系を見せてくれます。特に笑いについて、大変良かったです。
また、オススメしていただいた友人のなかでも、吹き替えを勧めてくれる人も多かったので、普段は字幕派なんですが、あまりに情報が多いのと、大変たくさん喋る人が大勢出てくるので、是非字幕で、と言われて吹き替えを選んで正解でした。それは声優さんの仕事の素晴らしさを学べたからです。特に、ある人物が、コメディパートを一手に引き受けているのですが、その人物の声を当てている宮野真守さんに、非常に驚かされました。非常に幅の広い、大変難しいキャラクターだと思いますが、まさにピッタリの印象を持ちました。字幕版の予告を見ましたが、予告だけでも吹き替えの方が良いと思います。
どの場面を止めても構図として、絵として、コマ割りの漫画のような完成度の高さが連続して続いていて、まさに漫画が動いている、という感覚に襲われます。これはかなり衝撃的に凄い事です。映像表現をさらに1コ押し上げた感じがしました。それも技術の革新として、です。詳しい事は分かりませんが、映像を綺麗に手間をかけました、以上の革新がなされていると感じました。
脚本は、正直もう少し練れたのではないか?と思う部分もありますけれど、多分私がスパイダーマンに詳しくないせいもあると思います。コレを見ればスパイダーマンに理解のある人なら分かる、という部分があったのだと思います。でも、知らなくても、最初のバディになる人(ネタバレ避けての表現です)の深みがあります、この人の内面を描けていれば私はイイと感じました、残りの仲間の事は尺の問題もあって難しかったのかも。
ただ、相手側の説明はもう少し欲しかったですね。ここが弱い感じがします。
それでも、映像表現として革新的な体験を味わえ、その上吹き替えの技術の凄さを見せつけるだけでも素晴らしかった。私は「グラハム・カーの世界の料理ショー」と「モンティ・パイソン」は字幕よりも圧倒的に吹き替えこそに、価値を認める派なのですが、この作品も、同じ意味で吹き替えをオススメします。
アニメーションの革新的作品として、また、メタ構造のストーリィが好きな方に、オススメ致します。
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