ブライアン・ヘンソン監督 パルコ
2019年見逃し後追い作品 その6
パペットって結構好きです、セサミストリート子供の頃英語の意味も分からずに観ていましたし、まぁドリフ的なコントが好きだったんですね。ちょっと前の映画になりますが「ザ・マペッツ」(の感想は こちら )の世界観と似ています。パペットと人間がリアルな世界に共存したら?というIFを扱ったコメディ映画です。
なにより、パペットって温かみを感じますし、多少口や目を動かせたとしても、表情ほどではないのですが、ちゃんと演出や演技の積み重ねによって、表情が見える、分かる、という瞬間が訪れるのが好きです。そういう意味で、クレイアニメに近いと思います。クレイアニメは本当に素晴らしい作品が多いですし、好きな作品も多いです。特にチェコの作品はすさまじい、と言っていいと思います。
フィリップはパペットでありながらかつては警官として初めて採用されたパペットでもあるのですが、今は私立探偵をしています。そんな中、パペットの仲間に殺人事件が起こって・・・というのが冒頭です。
決して、お上品な映画ではありません。しかし、ギャグとしてこの世界観を許容できるのであれば、かなりキツイ表現を含んでいますけれど、面白い作品に仕上がっていると思います。そして私は作り手のちゃんと再現する、という姿勢に上品さを感じました。ええ、映像として映っているのは下品極まりないんですけれど、真剣に馬鹿をやる、というのと同じ意味で、下品な事を写してはいるけれど、作り手の姿勢は上品、という事です。
もし、パペットが生きていたら、と思うとなかなか楽しいです。そして、規制がかかる部分を、ある程度回避する事が出来ますし、利他性について扱いやすい部分があると思います。ま、今作ではそんなことはありませんけれど、だからこそ、現代における家族の形を問う作品が増えているんだと思います。家族、大切なモノかもしれないけれど、私は個を認識の最小単位の上に家族があると考えています。既に世帯数では夫婦よりも個人が上の世界に生きているのですから。だからこそ、公共の概念をもう少し共有する必要があると思います。
見るも無残な破壊描写が、パペットのものとなるとモザイクも無しで見られますし、ほどよい笑いさえ生まれます。
大変くだらないバディモノではありますけれど、私は面白かったです。
しかし、1番面白いのはエンディングです。私はココで製作者の上品な態度、作り手の矜持を理解出来ました。パペットを動かしている人たちの真剣さ、本当に素晴らしいと共に、これほど笑えるとは思いませんでした。物事には、ほどほど、というモノがありますけれど、突き抜けています。
上品な姿勢が生む、大変下品な作品に、興味のある方にオススメ致します。
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