スティーブン・フリアーズ監督 タッチストーン
映画に詳しい1コ年上の方に強く推薦していただいたので見ました!今年も年間に日本公開した映画を36本は観ようと自分に課しているので、まだ結構足りないですし、観たい作品もいろいろあるんですが、オススメして頂いた方は、私にとっては信頼のおける方、これは観なければ、と思いTUTAYAで借りました。相変わらず、オススメ作品が凄くイイです。
ロブ・ゴードン(ジョン・キューザック)は同居中のローラが出て行こうとしている30前の男です。そして画面に向かって話しかけてきます、いわゆる第4の壁を破る演出がなされている映画です。
これは、音楽が好きな人ならタマラナイ映画だと思います。私は音楽にはそこまで詳しいわけではありませんが、冒頭にベルセバの話しが出てきて、グッと心を鷲掴みにされた感覚になりました。こういうの大好きな奴じゃないですか!しかも第4の壁を破ってくるのも、この映画にとっては向いている題材です。
しかし、大変しみったれた男の話しではあります。もしかすると、女性の方々からは、全然評価できない作品として有名かも知れません。ですが、女性にとってラブロマンスが必要であるのと同じように男性にもハードボイルド的な、いわゆる、浸る作品が必要なんだと思います。男女の間には深い河が流れていて、私は相互理解は出来ないと思っている人間の戯言なので、あまり怒らないで欲しいですけれど。
私が第4の壁を破って欲しかった映画で思い出されるのが、ジェイ・マキナニー原作、マイケル・J・フォックス主演、ジェームズ・ブリッジス監督「再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ」です。小説版は2人称形式で書かれているので、映画化する時に第4の壁を破る演出、して欲しかったなぁ、と思った事を思い出しました。いろんな人に酷評されている映画ですけれど、私はストーリィの落としどころ、あのパンの匂いまで感じられるところ、そしてマイケル・J・フォックスも良かったけれど、何といってもキーファー・サザーランドのヤッピー感がすさまじかったので大好きな映画です。良い映画だと思うんですけどねぇ。
閑話休題
ロブ・ゴードンの過去の女性遍歴について、思い出し、考察し、それと共に音楽がかかる、という大変ロマンティックな映画とも言えますし、同時に大変厳しい現実も見せてくれます。
レコード店の店員であるバリー(ジャック・ブラック)とディックの凸凹コンビも、凄くいい雰囲気を醸し出していて、常にアッパーでオプティミストなバリーと、常に内省的でペシミストなディックの、2人の音楽の好みと、彼らの行動、主人公ロブに対する態度を含めて、とても面白かったです。ああいう職場なら、私も働きたいです!
しかし、フラれた男が、何年も経って、過去に付き合った事がある女性を訪ね、何故フラれたのかを教えてくれ、と詰問されたら、普通は、怒っていいと思います。もちろん主人公ロブの精一杯の、大人な対応、友人として意見を求めるかのような、でも自身の存在意義を含めた限界ギリギリ感も相まって、女性とも会話が成立する感じは、大変好ましいモノを感じました。きっと、こういうのは男性の夢のような感覚、それこそロマンティシズムなんだと思います。あんまり褒められた行為ではありませんけれど。
また、順位をつける、というのも甚だヒドイ行為と揶揄されても仕方ないんですけれど、あくまでこれは映画、人の心の声、と思えば、誰しもおそらく経験があるはず。そんなところも面白く、心許せる仲間同士の酒の肴としては、かなり濃密になると思います。
さらに、そこに音楽の話しまで加われば、それこそ一晩くらいは続けられそうです。そういう意味で男性的な映画。
1番引っかかった飲み込みにくい展開は、あるお葬式の後の車のシーンです。本当にこんな事ってありえます?でも、ありえないからこその、ロマンティシズムなんでしょうね。
音楽が好きな方、あるいは映画「(500)日のサマー」マーク・ウェブ監督作品、そしてジョセフ・ゴードン=レヴィットの眩しい演技が観れる良作、が好きな方に、オススメ致します。
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