アテンション・プリーズ!
今回は、ちょっと特殊な映画というか、ドラマというか、ドキュメンタリーの感想です。しかもシリアルキラー(広義の意味で、連続殺人者)を扱った作品なので、そういう猟奇的な事象に抵抗のある方はご遠慮ください。そもそもそういう事を言及するのもどうかと思うのですが、これはリアルな現実の、生きていた人の、記録とも言えます。興味本位だけではない、もう少し深く、そしてどうしてなのか?という根源的な疑問を感じている人にとっては重要な事です。表層だけでおもしろがれる事もあろうかと思いますが、私は気になったものを、事を、自分で調べる人を信用しています。その事象なり人物なりが、影響を与えたモノ、影響を与えられたモノについて調べて行った先に出会う、それとこれが繋がっていたのか!という驚きを求めている気もします。
ロバート・ケナー タキ・オールダム 監督 Netflix
映画「羊たちの沈黙」をご存知の方も多いと思いますけれど、素晴らしい映画であるのと同時に、大変有名なキャラクターとして登場するのが、ハンニバル・レクター博士です。多指症で指が6本あり、精神科医であって、芸術を愛する心を持ち、美食家でもありますが、カニバリストでもあるシリアルキラーです。このモデルとされる人物が、実在の人物であるシリアルキラー、本作の主人公、ヘンリー・リー・ルーカス(1936-2001)です。
私は書籍で読んだ数冊の本の情報、また、wiki情報もそうなのですし、様々な媒体、場所で語られるヘンリー・リー・ルーカスの情報を、その様々な媒体で同じように扱っているために、信じてきました。しかし、よく考えてみると、動画として、生きて動いて喋っているヘンリー・リー・ルーカスを観た事がありませんでした。写真は、大変特徴のあるモノをたくさん見てきましたが、動画で、特に喋っている姿を見た事が今までありませんでした。
そんなヘンリー・リー・ルーカスを扱ったドキュメンタリーがNetflixあると知り、見たわけです。ドキュメンタリー、と言っても、編集や演出によって、事実を、事実のように、虚偽を、真実のように、扱う事の出来るジャンルでもありますので、注意は払ったつもりですが、今までの情報、ヘンリー・リー・ルーカスに纏わるほぼすべてを、疑るようになりました。
実際には、このドキュメンタリーを見ていただくしかないんですが、今まで抱いてきたヘンリー・リー・ルーカスに対するイメージが一変しました。確かに、よく考えると、不思議な事、辻褄が合わない事、散見されますが、そのあまりな手口、人数、そして数多くの媒体での扱いの同一性に、信用を置いてきた個人としては、本当に、ショッキングな体験でした。
改めて、検証する事の重要性について実感した次第です、ま、私の住んで国は、検証されるべき、保管されるべき資料を、簡単に捨てる政権が与党なんですけれどね・・・本当に法治国家なのか?どんどんと1984の世界になってきていますね、美しいってこういう事なんでしょうね。
写真は、時により真実を映し出しますけれど、動画も、同様に、真実を浮き彫りにしますね。ヘンリー・リー・ルーカスについて私が最も気をつけなければいけなかった事は、テキサス州、という事かもしれません。もう少し具体的に言うなら、テキサスレンジャーという存在、そして、手口の数の多さ、についても、もう少し配慮していれば、と悔やまれます。誰が、どう、捜査していたのか?そこに信憑性を担保出来るエビデンスはあるのか?整合性を確かめる行為は行われていたのか?等々、本当に面白く、ショッキングなドキュメンタリードラマでした。
また、その動画の中に、日本のテレビ番組の密着取材があり、その検証に役立っていて、やはり検証できる事は重要だと確信しました。
今の私にとって、ヘンリー・リー・ルーカスは興味の対象から、外れつつあります。
おそらく、人が見たいモノしか見ない、に通じる道の、ひとつのパターンだと思います。地獄への道は善意で舗装されているわけです。
最も恐ろしい事実は、真犯人は、生きて、その後も、特に刑罰を受けなかった、という事です。
ヘンリー・リー・ルーカスに興味のある方に、オススメ致します。
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