テリー・ギリアム監督 ショーゲート
私のマイベスト映画「未来世紀ブラジル」のテリー・ギリアム監督作品ですから、大変期待して観に行きました。何度も頓挫した企画ですし。
CM監督のトビー(アダム・ドライバー)はスペインにCM撮影に来ています。やたらと周囲はトビーを天才扱いしていますが、本人はお世辞にしか聞こえていません。しかも撮影は困難を極めていて、トビーはすべてをキャンセルしたいのですが、ボスは許してくれそうもありません。そんなトビーにボスは何気なくジプシーから購入したDVDを見て気分を変えろ、と言い放ちます。そのDVDが実は・・・というのが冒頭です。
テリー・ギリアム監督作品は「未来世紀ブラジル」が断トツに大好きで、次いで「フィッシャー・キング」が好きな作品なのですが、やはりモンティ・パイソンズの一員である事も、好きな理由かも知れません。逆に言うと今観たらまた違った感想かも知れませんけれど「12モンキーズ」や「ゼロの未来」はもうひとつに感じています。
今作はそんなテリー・ギリアムの、私が好きな頃のテリー・ギリアム作品っぽくて、でもアップグレードされ、モダンになっている作品だと思います、というかとても自伝的で集大成な作品だと思います、少々後半は込み入り過ぎな感じもしますけれど。とは言え、2020年の今の若い人には恐らく古臭く感じる部分があるであろうことも何となく理解出来ます、これは経験してしまった、ある種刻印とも言えるほど、未来世紀ブラジルが、テリー・ギリアムが私に与えた、ショックと、センスと、芸術性が大きかった、という事だと思います。ショック、という言葉じゃ足りないくらいですが。
笑いがあって、シリアスで、入れ子構造で、何が現実なのか?を考えさせる、とてもテリー・ギリアムっぽい作品!
アダム・ドライバーのコミカル演技もたまりませんし、歌を歌うシーンはサイコーです。テリー・ギリアムに興味が無くても、アダム・ドライバーに興味が無い人は少ないはず!
その上、ジョナサン・プライスがドン・キホーテなんですよ!!!もうこれ以上ないテリー・ギリアム性で満載な、壮大で滑稽で絢爛豪華な作品。
衣装も美術も最高ですし、ロケーション含むセット、舞台美術も素晴らしい。
そして、今作を観て、私の好きなモノの系譜、という意味でも、ジャン=ピエール・ジュネ、マイク・キャロ、ギレルモ・デル・トロ、今敏、が好きになってしまうのは当然だったんだ、と気づかされました。
ファンタジーという単語では理解されにくいけれど、あくまでリアルを風刺する為のファンタジー。夢という夜見るだけでなく、想像する、夢見るというニュアンスの夢のような世界を、映画内リアル、という形で表現される芸術のひとつ。そんなテリー・ギリアムの集大成に興味がある方に、オススメ致します。
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