リー・ワネル監督 ユニバーサル・ピクチャーズ
映画雑誌でもかなり上位に入っていましたし、でもなんとなく地雷臭もしたのですが、2021年も3週間以上経つのに、いろいろ忙しくてまだ1本も映画を射てなかったので、まぁちょっと見てみようかな、と言う感じで手を出しました。
物凄い豪邸で寝ている女(エリザベス・モス)は同じベッドで寝ていた男から逃れるべく、ジアゼパムまで使って逃げ出そうとしているのですが・・・と言うのが冒頭です。
タイトルに透明人間と言ってますので、そりゃ透明人間が出る映画なんだろう、というミスリードが大変上手いです。
執着、という人間の感情をエンジンにした映画として面白いと感じました。
さらに、透明な存在を映像で見せる面白味にも溢れていますし、悪くない作品だと思いますが、正直、これが昨年公開作品の中で、それほど大きな扱いを受けるのはどうかと思いました・・・映画としては致命的な欠点がある作品だと思います、私は。多分ホラー作品という事で、ホラーの文脈的には、原因とか設定とかはどうでも良くて、面白ければいいんだよ、という事でしょう。私も映画の中の韓国警察の杜撰さや間抜けさは受け入れてしまう部分があるので分かります。分かりますが、世界観を飲み込めるくらいに没入する為にはある程度のリアリティを整える必要があって、その後でなら、ある種のブラックボックスが出ても構わないのですが、そこまででは無かったように思えますし、非常に致命的な欠点だと思います。
とにかく、エキセントリックとか、メランコリーとか、ヒステリックとか感情的な、エモーショナルな事が好きな人(ええ、男女差別者と言われようとも、私の実感では女性の方が感情的だし、共感的だと思います)向けの作品。
あとね、いわゆる犯罪行為だと思うんですけれど、私個人は、本当にこういうのイヤですけれど、執着されるくらい感情的である、という事をもって私を特別視している→好かれている、と思い込む事で共依存している人を見かける事がありますけれど、今の所私調べだと9割以上が女性なので、そういう人が見たら、これも幸せ、とか言い出すんじゃないかと思います。何のことだかワカラナイとは思いますが、映画「ミッドサマー」のラストの笑みを肯定的に捉えられる人はこの映画が好きになれると思います。
執着をエンジンにしたサスペンスであり、精神のありようを扱った作品なので、好みで言えば好きなはずなのに、よくなりそうなのに、肝心のポイントが全部外れていた映画作品です。
ホラー作品に興味のある方に、オススメ致します。
アテンション・プリーズ!
ここからネタバレありの感想です、文章に乱れがあるのですが、それも込みでの、表現です。しかし、わざわざそんな文章を読みたくない人が大多数だと思いますので、生暖かくスルーして頂けると助かります、あくまで備忘録としての記録です。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
ネタバレありだと、まず、執着を扱ってるのに、その執着が生まれた原因を、何故映画内に見せておかないのか?が意味不明でした。出だしの不穏感がどうしても欲しいのであれば、何故工夫してないんでしょうか?執着を起こした原因が不明だと、このエンジンは燃料が無いのと同じだと思います、全く機能していない。最大の欠点はココだと思います。
しかも、美醜の話しは個人差があるとはいえ、大変申し訳ないけれどエリザベス・モスさんには私は40代の普通の人、くらいの美意識しか持ちえないし、あまりに軽んじられていると思うのです。これではキャスティングの人は謗られても仕方がないと思う。もし、誰しもが認める美貌なり、特徴なり、人とは違う何か(特技でも、何でもいい、それこそ知り合った偶然でも構わないのに!)が見いだせたら、まだ感想は違ったものになっていたと思うのです。これは美醜だけの問題ではないのですが、余りに説明が無いので、美醜の事を持ち出さざるを得ない。
この執着という物語のエンジンに原因という燃料が全くないので、そもそも、あ、そうですか、という感想しか出てこないようになりました・・・なんでこの男はここまでこの女にこだわってるか?全然どうでもいい話しとして語られる感じになります。
その上、動機として女を自らの思うがままにしたいのだとして、弟も組んでるとして(主犯はどちらでもどうでもいい結果は同じ)、途中までは明らかに面白がってるだけだし、驚かせる為だけなのに、精神病院という施設に入ってからは、明らかに度が過ぎて、他者に対しても犯罪行為を働いているし痕跡を残し過ぎています・・・これでは警察なり公権力の基にさらけ出されても構わない、と言う風にしか見えないので、何でこの手法?今までのいたずらは何のための布石なの?執着のゴールは何処に設定してるの?辺りが非常にいい加減に扱われていて、凄く不快な気持ちになりました。
それと、光学迷彩なら、重み、そして影は絶対に生じると思いますよ。
あと、生理現象はどうしてるでしょう・・・食事とか排泄とか・・・しかも精神病院って結構厳重に立ち入りに際してチェックがあるんだけれど、それはどうやって突破したのか? 細かいとこだけど、あの光学迷彩スーツを着ると、拳銃のトリガーに入れる指が入らなくなるくらいだと思うんです・・・
まぁこういう話しがあっても良いけれど、最後は普通に同じ手口で殺すのが、また引っかかります・・・しかもそれを録画や音声で聞いてる警察がいるのにやるのが、どうにも腑に落ちないです。だって警察は当然あの屋敷を家宅捜査しているし、あの男からある程度の説明を受けた、しかも弟は光学迷彩スーツを着た状態で射殺されているのですよ?どう考えても主人公の女が持ってる、使える、しかも動画に映ってないから容疑はかからない、なんて馬鹿な事を警察が許すものでしょうか?と言う感じで感情的な、共感ベースの人にはある程度響く作品かも知れませんが、なんかコレジャナイ感しか残りました。
ですので、「ミッドサマー」のラストで主人公の女がこれからはこのコミューンで楽しく生きていける、等ポジティブな感覚を持った、そういう笑みだ、と解釈された、という人はこの映画を楽しめると思います。私は全然違ったな・・・
そもそも、巨額のお金に手を出すのが、もうダメだと思いますし、友人宅は早めに引き払わないといけないとも思いました・・・
コメントを残す